2024年1月19日に公開、監督:久保茂昭 脚本:黒岩 勉 主演:山﨑 賢人による映画『ゴールデンカムイ』の感想・レビューです。内容的にネタバレも含みますので注意してください。
ゴールデンカムイ
原作の実写化として非常に丁寧な作品でした。今回の映画では、砂金のを集める杉本が入れ墨人皮の話を聞き襲われる冒頭から丁寧に描かれています。
お話的には、第七師団、二階堂や鶴見中将との初の直接対決となった小樽からの逃走までが描かれる。杉本が金を求める理由をアシリパさんに明かすシーンがラストにあることで、一作目の締めとしてよい雰囲気が出ていました。このあたり、ちょうど白石が本格的に仲間になるあたりでもあるので、区切りとしてはよい感じに思えました。
原作におけるギャグパートの雰囲気が良い
ゴールデンカムイというと、ハードな戦いとギャグシーンでの風邪をひきそうになりそうな温度差も魅力の一つですが、そういったギャグのシーンもばっちりと描かれています。
今回の映画では、白石と杉本の初の共同作業となった、雪山転がり川に落ち、凍える中での火おこしシーンが特によかったです。
がたがたと震える二人、火を起こすために奮闘する杉本と、その状況を利用して立場をよくしようとする白石。命を懸けたやり取りながらもどうしてもその勢いに原作で笑ってしまったシーンでしたが、映画でもその雰囲気がばっちり再現されていました。
キャストのはまり具合がすごい
各キャストの雰囲気が非常によく原作のキャラクターに合わせられている作品でした。
特にはまっていると感じたのは、アシリパさんの祖母であるフチ。もうこの人が原作だろと言いたくなるほどにそっくりかつ演技の雰囲気もばっちりでした。
白石については、ちょっと役者さんのやわらかい表情のせいでうさん臭さが減っている気もしましたが、いざ動いてみるとなかなかにぬるぬるとした白石感が出ていてよかったです。
特に、体に油を塗って鉄枠の締められた窓をすり抜けるシーンは、ふと頭に妖怪…!問単語が浮かんでくるほど。原作では、絵であるがゆえにこんなもんだろと思えていた部分が、まさに妖怪と思える出来に仕上がっていて面白かったです。
また二階堂兄弟についても、あの変質的に不気味な感じがしっかりと出ている。他にも、尾形、谷垣あたりのキャラクターは、今回の範囲では出番は少なめですが、それぞれ特徴がしっかり感じられ画面に映るとすぐにわかる感じでよかったです。
流石にチンポ先生こと牛山は、その体格までは再現できていませんでしたが、アクションパートの無敵っぷりはきっちりチンポ先生といった感じで描かれていました。
ただ、全体的に衣装が小奇麗だったかなという感じはあり。杉本やアシリパさんなど、割と年季が入った服を着てそうな面々なので、もうちょっと服は汚れた感じが出ていてもよかったかなという気はしました。
グロいシーンもしっかり
ゴールデンカムイというとちょっとグロ目の肉体破損描写もちらちら出てくる作品。この映画でも、そういったシーンもばっちり描かれています。
前半パートだと、ヒグマパンチで顔がペロンとなってしまうシーンもちゃんと描かれており、ヒグマの恐ろしさが伝わってくる。更には、原作でも非常に痛々しかった、鶴見中尉にお団子のように頬を指される杉本のシーンなんかもばっちり描かれており、リアルな人間の顔が貫かれるという事で、痛々しさもマシマシ。
とはいえ、直接的にグロい部分はカメラには写さないように配慮されているようで、グロが苦手という人も大丈夫とまではいかないものの、そこまで厳しい描写というわけではなさそうでした。
チタタプやオソマについてもばっちり
料理パートもきっちりと用意されており、原作においても重要な要素となっており、この映画でもばっちり登場。
リス肉でのチタタプや、アシリパさんが警戒する杉本のオソマについても、しっかり描かれています。
特に本映画最後の料理パートは、実にゴールデンカムイらしい雰囲気が出ているシーンとなっており、非常に良かったです。
実写でわかる杉本の不死身具合
原作でも大概死なない不死身の杉本ですが、実写映画になってみるとわかるのは、その回復能力の高さ。先ほどのシーンまで痛々しく腫れていた顔、傷だらけだった口元が、ちょっと時間がたつと既に回復している。
漫画だと、まぁそういうものだろと思えていたものが、実写になると、その異様さをちょっと実感してしまう。狙ってか、場面の都合上そうせざる負えなかったからかはわかりませんが、結果的に不死身の杉本の説得力が増す描写となっていました。
続きも映画化されそう
今回の映画では、次回作決定というような具体的な告知こそなかったものの、谷垣と関係の深い『インカㇻマッ』や、アイヌ人『キロランケ』らしきキャラクターがちらっと登場。既にキャスティングも終えられているようで、このままチラ見せで終了というわけではなさそうです。
映画 ゴールデンカムイ感想
評価:
特にギャグパートの雰囲気なんかは非常によく出ており、原作をしっかり再現した映画といった感じで楽しめました。お話的には、どうしても途中で終了となりましたが、白石との合流、杉本の金を求める理由が明かされ終わるという形で、アシリパさんと杉本の冒険の始まりといった感じでキリもよく終了となっていました。
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