アポカリプスホテル 10話『シーツの白さは心の白さ』感想

2025年4月9日より放送開始、監督：春藤佳奈　キャラクター原案：竹本泉 シリーズ構成・脚本：村越繁によるテレビアニメ『アポカリプスホテル』の感想記事です。ネタバレを含みますので注意してください。

10話『シーツの白さは心の白さ』感想

10話『シーツの白さは心の白さ』感想

隠蔽

さらっとポン子とポンスティンの娘であるタマコが登場し、前回から更なる年月が過ぎ去ったことを感じ今回のお話でしたが、最後にはその部分はもはや些細なことになってしまう問題の回でした。

今回は久しぶりに宇宙人のお客様を題材としたお話という事で、ちょっと不気味な顔をした宇宙人が登場。一見優しそうですが、写真に顔が映るのを嫌っていたり、荷物も預けたがらないとちょっと怪しい雰囲気。ホテルの中の壺に興味を持ち、こんな念のこもった壺のある所はよからぬものを引き寄せちゃうとのことで、ホラー的な展開でも来るのかと思わせてくる。

このあたりを見ていたころは、てっきりこの宇宙人がツボを盗む泥棒だった、なんて話が展開されるのかと思っていましたが、その後事態は急展開。この宇宙人がホテルの一室で死亡、更に部屋には何の痕跡も残っていないという事件が発生。このシーンを見た時に私は思いました。そうか、今回はミステリー仕立ての話なのか、と。

謎の宇宙人、突然の死、疑われるポン子。先ほどちらっと触れたホラー仕立てな話の広げ方も、ミステリーとしては割とありがち。様々なジャンルの話を突然拾ってくる本作であれば、突然本格ミステリーホテルアニメにジャンルが変わってもなにもおかしくはない。密室での突然死、ヤチヨさん達の推理がここから繰り広げられるのだな、などと頭に浮かぶ。

しかし、そんな私のチープな予想はあっさりと打ち砕かれ、ヤチヨさんが提案したのはまさかの隠蔽。被害者の宇宙人を見ながら、これまでの銀河楼での出来事がフラッシュバックする演出を見た時は、そのシーンがこれまでの本編での映像、つまり人間がお客様ではない今の銀河楼に繋がるものだった事から、今のホテルに対するヤチヨさんの思いが感じ取れるいい演出だな…などと思ったところに隠蔽。

これまでもヤチヨさんがホテル一筋なことはわかっていましたが、まさかここまでホテル一筋とは流石に思っておらず、なかなか刺激的なお話となっていました。

もう一人の犠牲者

何かを隠そうとするなら、その秘密をあばこうとするものが出てくるというのが物語の必然。翌日、何やら死んでしまった宇宙人を探しにもう一人の宇宙人が登場する。

新たにやってきた宇宙人は、どうやら前日やってきた宇宙人を探しているようで、警察と自称する。この二人の宇宙人、顔がそっくりなことが後々のポンスティンに絡む勘違いと悲劇のきっかけとなってしまい、こちらはなかなか可哀そうな展開となっていました。

正直、こちらの宇宙人が登場したタイミングでは、まだ前日の宇宙人が実は生きている可能性や、実はこちらが悪い宇宙人なのでは？という可能性が頭に思い浮かんでいました。しかし、この宇宙人の調査している様子や、特に映画を見て感動するくだりを見ていると、どうにもそういうわけではなさそう。また、アメ型の爆弾を持っていたという話も、前日の宇宙人がタマコにアメを渡そうとして一度ひっこめて違う雨を渡した描写もあり、かなり信憑性は高そう。

ただ、ホテル側から見ればこの宇宙人が言っていることが正しいともわからず、お客様のプライバシーを大事にするというのはよい事なのでしょうが、如何せん隠蔽に走ったという情報がなかなかノイズとして常に頭に残ってしまいます。

しかし、最終的には警察の宇宙人まで原因不明のまま死亡。特に説明もなく、おばあちゃんの墓の側に埋められてしまったようで、何とも言い難い感じのラストとなっていました。