2024年秋に放送開始の作品、監督:上村 泰によるネガポジアングラー 10話『常宏と貴明』 の感想文となります。ネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
10話『常宏と貴明』感想
嵐
前回のあら足の中ながらも穏やかであった時間は、嵐の中ながらも今回訪れた嵐の前の静けさであったようです。
話の中心はいよいよ常宏の余命2年の件へと向けられ、それと同時に、常宏に対して妙に優しかった躑躅森の過去にも同時に触れていくという二人の話にいよいよ焦点が当たる。
店長がまた馬鹿なことをやって検査入院。しかし、その病院が常宏が余命宣告を受けた病院ということで、様子がおかしくなる。それをきっかけに、過去の常宏のこれまでの自身の余命に関わる発言がつながっていき、彼の余命の件が躑躅森に気付かれてしまう。
そして、同時にお店にやってきた躑躅森の叔父により、躑躅森が弟を亡くした際に疾走、更には弟の死は、単に病気で死んだだけではなかったという事が匂わされる。躑躅森が異様に常宏に優しかったのも、単に弟と重ねていたというだけではなく、弟の死に何かの負い目があったが故だったのがわかり何となく彼の行動の理由がしっくりとはまった気がしました。
今回、躑躅森と弟の死の件に関しては、はっきりとはわかりませんでしたが、これまでの、弟との回想を見るに躑躅森自身は弟を非常に大事にしていたことを見るに、末期の弟を最後に釣りに連れて行ってあげたなんてことはあるのかもしれません。
二人の気持ちのずれ
躑躅森は常宏を思うが故に、早く病院にいけと急かしますが、余命2年、もしかしたら次は本当に死を告げられてしまうかもしれないという恐怖と、それまで信じていた躑躅森も弟の件から逃げていたという事が明らかになったことで、不安定になる常宏。常弘は叔父から聞いた弟の件を、躑躅森へとぶつけてしまう。そして、自分がこれまで逃げてきた過去を突き付けられたことで気持ちを抑えられなかった躑躅森は外へ飛び出して行ってしまう。
今回躑躅森が見せた表情は、これまでの彼からは想像もできないもの。しかし、そんな表情を見せたという事がまさに、常宏の言葉が彼に刺さっていた証拠で会ったように思えます。
仲良くやってきた二人の関係が、互いに隠してきていた事実により崩れてしまうのか?と思わせてくる二人それぞれの必死さがひしひしと伝わってくる終盤の展開。まだ10話の時点でこれということで、果たして次回この二人の話がどのように進むのかなかなか気になる展開となってきました。
とはいえ、本作釣りの楽しさや、周囲の人との関わることで人が変われるという部分を押してきている作品という印象はあり、今は再びネガティブな中に落ち込んでしまっていても、最後にはきっちり皆で釣りをして解決してくれるんじゃないかと思わせてはくれます。
特に今回あまり話の中心にはいなかった鮎川さんなんかは、こういう時に周りを引っ張っていってくれそうですし、他の釣り仲間たちも動いてくれそう。色々とつらい状況にある二人ですが、最後には二人沿って逃げていた過去に向き合う展開となるのかなと思わせてくれる下地がきっちりできているのが良いですね。
やはり、これまでの話で積み重ねてきたキャラクターの描写が生きてくる、終盤のシリアスな展開。なかなかつらい状況の二人ですが、きっとポジティブな結末を迎えられると期待したいです。
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