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映画「アイの歌声を聴かせて」感想文

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アイの歌声を聴かせて感想文 アニメ感想文
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2021年10月26日に公開されていました、JCスタッフ様政策の映画「アイの歌声を聴かせて」の感想となります。物語に関するネタバレは極力なしで、私の感想が中心となっております。

公開当初から気にはしていたのですが、なかなかタイミングが合わず今更見に行きましたが、途中、ちらちらと恐怖を感じるシーンもありましたが、最後は一抹の疑問を残しつつも心地よく映画館を去れる作品でした。

個人的にすごく気に入りましたので紹介してみます。

映画『アイの歌声を聴かせて』公式サイト|2021.10.29 ROADSHOW
最後にきっと、笑顔になれる。ちょっぴりポンコツなAIとクラスメイトが織りなす、ハートフルエンターテイメント!映画『アイの歌声を聴かせて』は2021.10.29 ROADSHOW!

あらすじ

おそらく企業のAI・ロボット技術のモデルシティのようになっている町に住む、主人公サトミは、母子家庭の少女です。彼女はとある事情により学校で孤立気味となってしまっています。

そんなサトミの通う学校に、ある日シオンという転入生が現れます。

シオンは転入初日、挨拶すら終わり切らぬ間に、サトミの前に駆け出すと突然歌いだしてしまいます。その不自然な行動に沸き立つ学生たち。なんと、シオンは、AIロボットだったのです。彼女はロボットが人々の中で自然に馴染む、極秘試験を行っていたのでした。

AIロボットの秘密を知ったシオンと、何やら悩みを抱えていそうな子たち。

トウマ君は、パソコンが得意な男の子、何やらサトミに思うところがありそう。

ゴッちゃんは、みんなに人気のイケメン。だけど、時折浮かない顔を見せています。

アヤは、ずっとごっちゃんを目の端で追いかけていて、柔道部のサンダーは努力をすれども試合に勝てない。

そんな学校のクラスメイトたち、かくして、それぞれの若さと迷いに縛られた彼ら、彼女らは、AIロボットシオンの転入を機に変わっていき、やがてその変化はシオンの秘密にもつながっていく……といった感じの作品になります。

コミカルでありながら、まっすぐな作品

学校でのお話は、特にAIロボットシオンの予想のつかない行動に周りの人たちが振り回されていくさまが描かれて行きます。映画を見た方にはわかると思いますが、あの何かを思いついた瞬間のまじまじとした表情は、またろくでもないことを思いついたな…と思わざるおえない素敵な表情です。

トラブルメーカーとなったシオンが周りを巻き込んでいく中で、こじれた関係、それぞれの悩みが余計にかき混ぜられていく様を非常にコミカルに描かれ、しかし、一度凝り固まった関係、悩みはその渦の中で新しい形へと変わっていきます。

ある種、劇物ともいえるAIシオンの行動が人々の関係を好転させていくさまが非常にまっすぐに描かれているように感じました。

こちらの映画は約2時間程度ですが、正直言うともう少し長く見てみたかったです。シオンの繰り広げる学園でのドタバタの部分は、もっといろんな学生のパターンでも見れたら面白かっただろうなと思いました。

何気なく描かれるAI技術と生活が融合した世界

AI技術と人の生活の密着具合という点にも興味を惹かれました。

主人公サトミの住む家は、ぱっと見田舎にある普通の和風の民家、しかし、実はその家は、声をかければカーテンが開き、テレビをつけてくれる、声をかければ外気温を教えてくれる、高度なAIによる制御が行われている住宅なのです。

だけど、それだけならば、最近よく聞くスマートスピーカーのようなもの、最近のAIの描写としては特に珍しくもない、なんなら現実でもありえそうなものです。

では、私がなにに興味をひかれたのでしょう。それはサトミが朝食を作るシーンでした。

AIと一緒にただ朝食を作る、何気ないシーンなのですが、まるで二人が協力して料理を作っているようなのです。

食材を切るサトミの何気く聞こえる掛け声に反応して温度を調整する。

疲れた母親のためにご飯を柔らかくしてというと、水をどの程度減らすか確認をとる。

命令をすればただそれをこなすだけというAIではなく、サトミと会話するように、話の意図を察して調理を助けるAI。それはまるで、サトミとAIが呼吸を合わせて料理を作っているように見えてくるシーンでした。

AIにすべてを任せるのではなく、人の手が足りない部分を補ってもらう、そんなAIと人との関係が自然に融合した世界が描かれているように思えました。

丁寧にまかれた何気ない伏線

物語前半では、AIロボットシオンのミュージカル調に描かれる行動など、一見奇をてらった物語という印象も受けます。しかし、ちょっとした若者の悩みを解決していく中でも、非常に丁寧に伏線が撒かれていきます。

何気なく背景に描かれているもの、さり気ないキャラクターのセリフ、少しだけ目立つように印象的に描かれたものは、物語が進むにつれて意味が分かってくることが多いです。そういうことを気にしなくても面白い作品ですが、そういった部分を気にしながら見てみるとさらに物語を楽しめるかもしれません。

大人と子供そしてAI

どの大人も現実と向き合ううえで何もかもまっすぐというわけではなく、ある種の現実との折り合いをつけています。どこか無機質な対応、冷たさ、時には生々しい恐ろしさを感じさせることもあるのがこの作品の大人です。

それに対して、この作品に登場する子供は、まっすぐな子ばかりです。当然子供としての悩みを抱えてうまくいかないことも多いですが、誰もかれもが純粋に自分の気持ちを見せています。

子供の純粋さと、大人のある種の生々しさ、それぞれを対比されているからこそ、この作品に登場するAIに対して何を思うかという点の違いが生まれる、そんなことが描かれているのかなと思いました。

物語の最後、良い終わり方だった、と思うと同時に何かとんでもないものが野に放たれてしまった、と思ったのもやはり私がある種純粋な美しさだけでは物語を見ることができない、大人らしさを少しは持っているからなのかもしれません。

この映画を見たときにあなたは、どのような感想を持つのでしょう。

ちなみに公開から既にそこそこ時間がたっており上映が減ってきている映画ですので、興味のある方は急がれた方がいいかもしれません。

おまけ:イヴの時間について

未来、たぶん日本ロボットが実用されて久しく、アンドロイドが実用化されて間もない時代。

この一文が非常に印象的に残るのがイヴの時間という作品です。こちらは監督、吉浦康裕様が以前制作した、AIを主題にした作品となっております。イヴの時間自体は以前から知っていたのですが、監督が同じ方だと知ったのは映画を見た後でした。

アイの歌声を聴かせてと同じく、こちらもAIと人の関わり方を描く作品となのですが、星間エレクトロニクスという名前は実はイヴの時間にもちらっと登場しているとか、これが世界観的なつながりを意味しているのか、はたまた単なるファンサービスなのかは不明ですが、少し興味を惹かれますね。

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又三郎

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