2023年11月11日にNHKにて放送開始した円谷プロダクション、原作・脚本・監督:磯光雄によるアニメ『地球外少年少女』の第一話『地球外からの使者』の感想文です。
最新話のネタバレを含みますので未試聴の方は注意してください。
1話『地球外からの使者』
舞台は宇宙ステーションあんしん
宇宙ステーションあんしんを舞台に未来と宇宙を描く作品。舞台となった宇宙ステーションあんしんは、日本が打ち上げた人が宇宙ホテルとしての役割を持つ宇宙ステーションとのことです。
今回、ここに企業のキャンペーンで当選した子供たちが宇宙に上がるというあたりから物語は始まりました。
宇宙ホテルとして運用されているらしく、外側にも瓦や蟹など、様々な日本らしい要素が用意されていたりするのは面白いのと同時に、既にそういった部分は自由にできるほどに宇宙技術が高まっていることを感じさせてきました。
そういえば、管理人らしき叔父さんが市長と呼ばれていたのは、宇宙ステーション自体が、日本の市の一つとして認められていることなのでしょうか。
もう一つ気になったのは。あんしんのマスコットキャラクターという紹介の『あんしん』はいったい何なのかというところ。腰をいわしたり、温泉に入ってくるという話があったりするのを見るに、中に誰か入っている?ただ、地球環境のフロアとは別のところで生活しているようでしたし、ロボットということなのか?
SF描写
宇宙ステーションを舞台にということですが、それ以上に未来のSF描写のあたりが非常に心に残る。一番わかりやすいのは手のひらに映像が投影されたようなスマートというデバイス。公式サイトの説明を読んでいると、手の甲など肌に直接映像出力媒体を印刷しているようです。宇宙チューバーの美笹は、その手を使って映像を配信をしたり録画したりしていましたが、あれカメラやマイクの機能もあるんですね。
電脳コイルなどの作品では、あくまでARデバイスとして重なっているデジタルの世界が見えるといった感じでしたが、更に未来の世界といった雰囲気が感じられました。
そういえば、ちょっと気になったのは、宇宙ステーション内部には、びっくり電気とか鳥裸族とか、吉野家みたいなロゴがクッションでもある床や壁に描かれていましたが、あれは何を意味していたのでしょうか。宇宙ステーション開発のスポンサーとしての広告?それとも、宇宙ステーション内部での食品を提供していたりするのかもしれませんね。
宇宙ステーションあんしん内部の無重力と重力の描写もよかったです。ガスを入れた靴により体のバランスを取り低重力下で飛ぶように移動する様子なんかが面白かったです。
特に今回の話のラストの相模と筑波のバトルシーンでは、重力の変化が描かれていたようですが、少し理解が及ばない部分もあり。本来はエレベーターで移動するはずのシャフト部分を生身で移動するということで、場所により重力の向きが変化、それに合わせた複雑なバランスをとる必要があったというような事なのでしょうか。
こういう描写を細かく検証して描かれているのならすごく労力がかかっていそうですね。
AI
SF描写の中でも特に本編と絡んできそうなのは、AIに関する描写。
あんしんの管理AIである、トゥワイスは、黙れと言われると周りの会話に顔を向けつつもしっかり黙っていてかわいかったです。
さらに登場人物たちもそれぞれAIを相棒の様につれている様子で、人とAIの関係が非常に密接したものだというのを感じさせました。
さらにそもそも電子機器の管理などもAI任せにしている面もあるというのはかなり進んでいますね。独自にAIが学習して今回起きたAIのダウンなどのトラブルへの対応まで行っているようで、技術レベルの違いを感じます。
しかし、こういった部分が人の手に負えない部分で管理されるというのは便利なのと同時に怖さもある。AIなんかに任せておけないという、叔父さんの考えがよくわかりますが、子供たちの世代だとそんな違和感もなくなっていたりするのかも。作中登場する人物の世代毎のAIに対する考え方の違いなんかも描かれるのかもしれませんね。
月で生まれた最後の子供?
月で生まれた最後の子供という肩書でフォロワー10億人を誇る有名人「相模登也」。しかし、その体というか、頭に埋め込まれたインプラントに何か問題がある様子。彼同様月で生まれた「七瀬・心葉」もちらっと見せた、手の震えなどの症状の事なのかもしれません。セブンと呼ばれる史上最高のAIによる失敗作という話で、あえての失敗なのか、そもそもその不具合こそがAIの目的だったという可能性もあるのかも。
そもそも、月で生まれた子供というのが何か特別な様子があるようで、そのあたりは今回のお話では語られませんでしたが、今後のお話の中でも大事な要素となりそうです。
何やら宇宙生まれというのは、まだ一般的ではない様子で、地球の人の中には、嫌ってもいる人もいる様子。そもそも、最後のとつく以上、何らかの理由があって月ではもう子供は生まないというルールが定まっているようにも思えます。
そういえば、あんしんも初の子供が滞在可能な宇宙ホテルとの話がありました。あんしんの市長も宇宙滞在者は、相模を引き取ることはできないといった話もしていました。
宇宙のような特殊な無重力の環境だと子供の成育に何か問題があるので、その点を考慮して宇宙での出産や、子供の宇宙での滞在なんかに制限がかけられている世界という事なのかも。もしかしたら、月で生まれた子供には、その面で何か問題が発生してしまっていたなんてこともあるのかも。
リハビリと称して、訓練を受けている描写や、重力があるエリアでは、ハイテク奈車いすのようなものに乗って動いていた姿も見られ、このあたりが関係してくるのかもしれません。
彗星
今回ラストで、宇宙ステーションあんしんに衝突してしまった彗星。本来は炭素や水素などの原料として運んできたものが想定外の動きをしてしまったとのこと。
それに対する、連絡もない核攻撃、さらにそれは失敗し彗星は宇宙ステーションあんしんと直撃。大きな事故となり、いよいよ次回から本格的に話が動き出しそうです。
一切の連絡もないかなり緊急かつ特殊な事態だったと考えられる今回の事故。その裏にはどんな理由が隠されているのか気になるところです。
1話感想まとめ
細かいSF描写などを見ていると何となくワクワクしてくる作品。月で生まれた子供、連絡もなく行われた彗星の処理、そして、彗星直撃の事故。セブンスとよばれるAIが起こした事故など、気になるフレーズも盛りだくさんで、今後これらの要素がどう絡んで話を作っていくのか非常に楽しみな作品でした。
1話のサブタイトル、地球外からの使者の意味も気になります。今回地球外から来たものというと彗星がありましたが、やはりここに何か秘密があるのかもしれません。
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