2023年11月11日にNHKにて放送開始した円谷プロダクション、原作・脚本・監督:磯光雄によるアニメ『地球外少年少女』の第二話『霧と闇』の感想文です。
最新話のネタバレを含みますので未試聴の方は注意してください。
2話『霧と闇』
今回のサブタイトルは霧と闇とのことでしたが、霧というよりも氷や霜が宇宙の寒さの中で強調されていて怖かったです。地球にいるとわからない、世界の冷たさというか、何もなければ凍り付いてしまう宇宙の暗さと寒さ、薄暗い闇の中じわじわと目に移らない形で迫ってくる死への恐怖とでもいうものが少し感じられました。
しかし、それを乗り越えるのが人の知恵と技術、ましては未来の世界という事でその力はすさまじい。今回登場のオニクロの服はまさにそれを象徴する感じ。着るだけで寒さとは無縁、呼吸の対策も取られている素晴らしい簡易宇宙服。
AIの怖さ
AIに依存しきってしまっている故に、AIがなくなることに対する備えの薄さを感じる話で所謂AIが暴走してみたいな一昔前のAIに関するお話に合った未知の怖さではなく、便利に使っているからこそ起こりうる怖さといった感じの話でした。
今の社会でも、ネットから切り離されたら、できることができなくなり困ることは容易に想像できます。私なんかは特にGoogleマップには最近頼り切り、知らないところに行く際は、それで情報を調べてから動いたり、何なら現地でもマップの地図情報かを確認したりと非常に依存している。
それが、さらにAIをより様々なことを任せてしまっているとして、そんな人々ネットワークから切り離された際の恐怖と言ったらどれほどのものなのでしょうか。前回のお話の中でも、ちらっとネットワーク機器などの管理自体がAI任せ、事故などの際に学習して自力で対応しているようでしたが、そういったAI任せにより便利になるが、人間が理解していない部分が増えていくことへの怖さを感じました。
しかし、人任せが良いものかというとそうともいいきれないのは悩ましい。今回のお話でも、母体が変わるからと色々いい加減なまま作りかけの避難シェルターの話なんかは、まさに人間であるゆえのトラブルといった感じもある。
AIの怖さと、人のいい加減さ、何もかもすべてどちらかに任せきりにすればいいというわけでもないのかもしれません。
インプラント
今回のお話的で気になったのは、今回明かされた登矢と心葉に残ってしまったというインプラントの件。
さらに、月で生まれた子供たちに何があったのかという点も語られました。やはり月での成長が子供が育つことのできる環境ではなく、生き残ったのは5人。その5人の子供たちも、インプラントを埋め込み、ホルモンバランスの制御をすることで何とか生き残る。そして、その残された二人が登矢と心葉という事でした。
最高のAIであるセブンにより設計されたものとのことですが、なぜかセブンによる設計ミス?により本来は生体部品として消えてしまうはずだったインプラントが残ってしまい、それが第二成長期に問題となり死に至るとのことでした。登矢が自身のインプラントをハッキングしていたのは、いずれ心葉を殺すインプラントを制御するため自分を実験台としているようです。
しかし、機能的には心配などの管理まで行えるようで、もはや生殺与奪すら握られている状況にも見えました。しかし、今回は、そのおかげで助かったとはいえ、そのレベルのアクセス権のパスワードが000000なのは大丈夫なのでしょうか。
最高のAIが、そんな不具合をわざわざ残す失敗をしてしまったのかというのが、今回やはり思った疑問。何らかの狙いがあってセブンはあえてそういう設計にしたという可能性もあるのでしょうか。
インプラントを体の中に残すことで、人とAIがつながる懸け橋にでもしようとしたとか、色々考えられますが果たしてどうなのか。今回、心葉は人ではない何かの声を聴いているようでした。そのおかげで、最後のステーションの隔壁崩壊に気づくこともできていました。あの声が一体何なのかという点が、このインプラントの埋め込みミスの話に繋がりそうな気がします。
セブンルナティック
明確に明かされていない部分で気になるのは、セブンルナティックという事件。最高のAIであるセブンが行った事件のようで、この事件のせいでセブンは処分されてしまったとのこと。この事件をきっかけに、AIの知能レベルにはリミッターがかけられるようになったとのこと。
今回の大洋の話を聞く限り相当悲惨な事件とのことですが、詳細については不明。果たして、当時何が起きたのか、そしてセブンはなぜそんな事件を起こしたのかというのは、やはりお話のカギとなりそうです。
そういえば、今更ですが宇宙ステーションの管理AIがトゥエルブ(12)なのは、セブンからのナンバリングで作られたAIということなのでしょうか。
2話感想まとめ
事故が起こりメインのキャラクターも揃い、いよいよお話が動き出してきた2話でした。ラストは、地味ながらもなかなかのピンチで次回に続き、果たしてあの場をどう解決するのかというのは気になるところ。そういえば、今回ラストで機敏な動きを見せたあんしんくんは何者なのでしょうか。なぜ、主任と呼ばれているのも気になります。
AIに関しては謎が多く、宇宙の子供二人のインプラントとも何か関係していそうです。果たして、最高のAIがしてしまった失敗は、本当にただの失敗なのか。今後のお話で気になる要素が増えてきました。
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