2024年2月15日ジャンプ+にて公開された『ヒトナー』の感想記事です。ネタバレもあるので注意してください。
ヒトナー
『アイアンナイト』、『レッドスプライト』の屋宜知宏の最新作。獣人が住む星に、訪れた一人の地球人。獣人が初めて目にするヒトの姿にどう接していくのかが描かれる。
ヒトという未知の生き物に触れた獣人達に訪れる変化が面白かったです。最初は、自分たちと違う低俗な生き物、物珍しさから興味本位で調べているだけだったその生き物でしたが、調べれば調べていくほどに、その生き物の賢さを知る。
ヒトと触れ合った獣人はヒトに好感を抱き、そうでない獣人は、その賢さに恐怖する。同じ対象を見ているにもかかわらず、それぞれの立場、考え方によって対立が生まれていく様がよく描かれていました。
しかし、考えてみるとお話の軸としては、主人公たちの元に未知の生き物がやってきて、それを調査するうちに好意が生まれる、やがて、深い関係にあった主人公はその生き物を守るべく行動するという、よくあるお話。しかし、その主人公こそが獣人で、その未知なる存在こそが読者たちの良く知っている人間、という役割を好感して描かれた物語になると、どことなくそこから受ける印象も変わってくるというのが面白い。
物語終盤では、作中に登場する獣人のヒトに対する対立が描かれ、タイトルの『ヒトナー』という言葉が大きな意味を持ち、それが最後の主人公の選択に影響を与える。
このお話を見ていて思ったのは、果たして現実を生きる人間は、宇宙から来た未知の存在に対して、本作における『ヒトナー』といえる行動をとることができるのだろうかという事。なかなか、知らない相手を理解するというのは難しく、何かを受け入れるためには、その相手と触れ合う事こそが大事なのだということが感じられる作品でした。
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