主演:小宮 璃央、吉田伶香でおくる 淡い恋心と現代の社会問題をテーマにした新感覚恋愛ドラマ『初恋ハラスメント』の感想記事です。
何やら放送前から不穏な要素がネット上で見受けられ、ただの恋愛ドラマとは思えなかった作品。そちらについては以下の記事でまとめています。
放送でのネタバレも含まれますので注意してください。Tverなどでも視聴可能となっています。
※2024年3月31日7時20頃:連続ドラマと勘違いしていたいたため一部記事修正
事前番組から感じる違和感。
放送開始とともに始まる事前SP。そこには助監督の菅沼が登場。そこで描かれる、菅沼にまつわる何か。さりげなくというにはあまりにも露骨に挟まれるインタビューの裏で行われているパワハラ。桜吹雪を集める菅沼は、監督に蹴りを入れられたり、雨の中何かを踏みつけられた菅沼がそれを取り戻そうとしていたり、事前SP内では、いじられキャラとされていた菅沼ですが、それはあくまでイジメ、パワハラの対象にかけるいじられキャラという対象。
そして極めつけは、菅沼の死。クランクアップのシーンでは、菅沼はいなくなっており、その背景に遺影が置かれるのみ。
この事前番組気になるのは、小宮璃央さんの演技。浮かない顔。そして、最後に番組宣伝のために作った笑顔に切り替えたシーンを見ても、明らかに何かを思って事前番組の収録に取り組んでいることが伺えます。
動画撮影、クランクアップのシーンでも、一人だけ浮かべている表情はかなり悩ましげ。さりげなく台本に書かれた最低という言葉もあり、一人だけ少し見ている世界、思っていることが違うように描かれているように見えました。
常に笑顔でインタビューに応じる隣の、吉田伶香さんとの対比でわかる、微妙なニュアンスをしっかり見せる演技といった印象を受けましたが、果たしてこれらのシーン小宮璃央さんは何を思っていたのか。
ノイズから始まる菅沼の登場
そして、ある意味この作品の本題ともいえる、菅沼。おそらく、撮影中に何らかの理由で死んでしまった菅沼ですが、映像のいたるところに出没。
最初のあたりは、ノイズのシーンの後の背景にちらちら登場、保護色みたいな色で姿を見せたりと、ホラーテイストを保っている。しかし、次第にその登場が露骨になっていき、招き猫、の顔が変わっていたり、音楽室の画家の画像が、菅沼に差し変わっていたり。
だんだんと頻度は増えていき、小宮璃央が演じる春田の瞳に写っていたり。「誰、誰だなの、誰ですかこの人は。」のシーンでは合わせるように菅沼が登場。後ろのガラスに写りこんでいる菅沼。更に頻度は増えて、いたるところにうっすら映り込んでくる菅村。
そして極めつけは、エレベータの奥に登場してからの「ココカラダ」の声の後。顔をパンッとした後ろのモニターに映る菅沼、背景ガラスに足だけ写る菅沼、カメラ映像の両サイドに写る菅沼。
「メチャクチャニシテヤル」の声の後には、もはや映像自体もぐちゃぐちゃになってしまい、菅沼の登場も露骨に。怖いを通り越して、笑えてきてしまうほどに過剰な演出。『初恋ハラスメント』での作中の演出に合わせて「最重要事項なので5秒数えてみました。」にはちょっと笑ってしまう。
さらには、大量の菅沼以外のモノクロの顔、そして登場する菅沼以外の幽霊達。この人たちも、何らかのハラスメントを受けて死んでしまった人たちということなのかもしれません。
持っていたキーホルダーに描かれていた模様が度々登場しましたが、これは菅沼の演出によるものなのか、そもそもの呪いの根源がこちらに関連しているのかというのも少し気になるところ。書かれていたのはヘブライ語の言葉の様ですが、どんな意味があるのでしょうか。
終盤の菅沼の行動を見るに、菅沼の憎しみが向いているのは主演である『吉田伶香』と、監督の二人のようです。
誰?
冒頭の映像で少し気になったのは、初恋ハラスメントに登場する、小宮璃央がさんが演じる、清村の「お前、仕事舐めてんの?」という印象的な言葉から始まる再開シーン。
このシーンの清村の視線は、どことなく緑川夏希の横に向いており、その視線の先には、ちょうど扉の陰から見えている菅沼がいました。初恋ハラスメントの再開のシーンに合わせた誰?のようでしたが、もしかしたらこのシーンでは、菅沼が見えていたなんて可能性もあるのかもしれません。
初恋ハラスメント 感想
露骨な間での演出から、菅沼を探せ状態となっていた本作ですが。劇中劇的な存在に当たるドラマ『初恋ハラスメント』自体も、地獄のパワハラ上司と言われ、実際口調も強いですが、やってることは仕事をきっちりこなし切ろうとしているだけに見えてくる清村春太との関係が気になる感じで思ったよりも面白い。そして、そこに加えて菅沼を探せも合わさり、画面から目を離せなくなってしまうお話でした。
やりすぎともいえる、菅沼の演出。これに関しては、あえてギャグじみたところまでのホラー演出を差し込むことで、菅沼の助監督としての能力のなさを示しているようにも思えました。能力がないゆえに、疎ましく思われてしまう、しかし、だからといってパワハラをしてはよいわけではいけない。
さらに、菅沼の演出はこれをみている視聴者にすらも向けられているように思えるシーンもあり、もしかしたら、こういう演出を笑う人々までも含めてハラスメントに対するメッセージを伝えようとしているのかも。
意味深に語られた、「ハラスメント作品を描いた新しい試みを詰め込んだ勝負作」との言葉が差し込まれ。これは、あくまで『初恋ハラスメント』の監督のインタビューの言葉の様でしたが、この言葉こそが本作全体のテーマという感じもあります。
Huluにて除霊版配信
ちなみにHuluには、除霊に成功したらしき菅沼の編集抜きの『初恋ハラスメント』が投稿に成功したようです。Xなど他の告知媒体でも菅沼が何かをしているらしい投稿もあるようで、実際の映像以外の展開も気になる作品となりそうです。
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