仮面ライダーガッチャード47話感想・考察『大激突！宝太郎VSスパナ』

2023年9月3より放送開始した令和仮面ライダーシリーズ第5作目の作品『仮面ライダーガッチャード』47話『大激突！宝太郎VSスパナ』の感想・考察記事です。錬金術師が生み出した人口生命体ケミー。何者かによって一斉に世界に解放されてしまった101体のケミーを集めるため仮面ライダーに変身することとなった高校生・一ノ瀬宝太郎の戦い絵を描く作品。

この記事には最新話のネタバレが含まれますので未視聴の方はご注意ください。

47話『大激突！宝太郎VSスパナ』
仮面ライダーガッチャード毎週日曜9：00放送中

47話『大激突！宝太郎VSスパナ』

黒鋼スパナ

前回ラストのスパナのケミーを廃棄するという宣言から繋がるお話。宝太郎と、スパナ二人が、ある意味本気でぶつかり合った初めてのお話となりました。

錬金術協会の面々たちと宝太郎を呼び寄せ、ケミーを奪い取ったスパナ。ケミーを消してしまえば、冥黒王に対抗する術をも失うというラケシスの問いかけに対しては、意味深に言葉が隠されていましたが、ケミーを犠牲に力を得て、自分自身の命をも懸けて冥黒王を倒す、それがスパナの答えでした。

そんなスパナ、自分に力を貸してくれていたケミー達を犠牲にしようとする際には、謝罪の言葉をかけており、ケミーを犠牲にするという選択を取ることに苦しんでいるのは間違いない。しかし、それでもケミーがあふれて乱れる人の世をそのままにすることはできず、全てのケミー101体を黒い炎の力で多重錬成し、自分を犠牲に冥黒王を倒しそのままケミーとともに消滅しようとする。

それを認めない宝太郎は、アサヒさんの言葉を受け、言葉ではなく、体でスパナとぶつかり合う選択を取る。最初こそファイヤーガッチャードでのイグナイター対決となっていましたが、舐めるなというスパナの言葉に反応するようにレインボーガッチャードへと変身。しかし、黒い炎を使いだしたスパナは、レインボーに引けを取らない力を持つ。互いに力を出し合い、それでも互いに一撃を入れあう、スパナの仮面を殴り砕くシーンはある意味そのあとのスパナが本音で話をすることを表していたのかもしれません。

そういえば、スパナとも縁の深いケミー達は、スパナと共に戦っていたのを見るに、スパナの行動、ケミー達の消滅を認めて共に戦っていたという事なのでしょうか。そうだとすると、少し悲しい気もしてきます。

戦いの果て、スパナは宝太郎を認めていたことを改めて宣言する。そして、かつてはスパナも宝太郎のように、人間も動物も、全ての生き物が幸せに暮らせる世界を作ろうとしていたという夢を思い出す。しかし、それでもなお宝太郎との道は交わらず、最後に一人去っていくという幕切れ。

今回の話、宝太郎は理想を示し、スパナは現実的な対応を示した、共に力を合わせればその理想を叶えることができるという宝太郎でしたが、最後までスパナはそれを認めることはできませんでした。イグナイターも壊れ、もはや変身も出来なくなった彼が、ここからの最後の話に向けてどう動くのか気になる所です。

今回のラストでは、ヴァルバラッシャーを構えるラケシスと、呆然とする鏡花さんの二人が描かれ、彼女たちもまたスパナに対して何か働きかけるのか。そういえば、今回ギギストが何か絡んでくるのかと思ってみていましたが、まさかのワンシーンすら出番がなかったのは驚き。彼も何やら前回思うところがありそうな演出がありましたが、ここから更にスパナに絡んでくる可能性もあるのでしょうか。

アサヒさん再登場

今回も何やらチンピラのような面々が、宝太郎を探していたり、キッチン一ノ瀬が襲撃されていたりと、ケミーを利用しようとする禄でもない人間たちの描写が続いていました。しかし、それを受けてなお宝太郎を応援する母の姿が描かれたり、レスラーGとの関わりも深いアサヒさんの再登場があったりと、ある意味ケミーと人との懸け橋となりそうな面もしっかり描かれる。

今回のスパナの行動も世界を守るための手段としては、間違っているわけではないがゆえに、今後の宝太郎には人とケミーが共存できる世界を示す責任も同時に強く残ってしまっている。それに対する答えとして、アサヒさんのような人物がいるのだと思いますが、そうではない人が大勢いるからこその現在問題が起きている。ある意味本作に残された一番大きなテーマ、このあたりにどのような答えを出すのかというのは、残り少ない話数で、どのようにまとめていくのか気になる所です。

アトロポスとりんね

クロトーからの信頼を受けていたガエリヤ、クロトーに指示を出しアトロポスを誘拐させる。クロトーに対して優しく接しているようにも見えた彼女でしたが、結局人形は人形としか思っておらず、ほかの冥黒王と大差がないことがわかりました。

そんな彼女の目的は、アトロポスを究極の人形へ姿を変え自分のために働かせること。そして、前回意味深にりんねちゃんにつけていた刻印は、りんねちゃんに秘められた力をアトロポスに流し込むためのものでした。今回は、アトロポスのモデルとなった人間がりんねであったことも同時に明かされ、いよいよ序盤からの因縁も深い、この二人のお話もクライマックスが近づいてきているようです。

ちょっと気になるのは、そもそもりんねちゃんが特別であるという理由。風雅の娘だから特別ということはありそうですが、単にそれだけでそこまでの力を得ることはできるのか。そういえば、りんねの母については、これまで一切触れられていない気がしますが、ここにも何か意味があるのか少し気になります。