2024年夏より放送開始の作品、えーでるわいすにより制作されたゲーム『天穂のサクナヒメ』を原作とし、監督:吉原正行によるアニメ化作品『天穂のサクナヒメ』 8話『都を揺るがす米騒動』のゲーム未プレイでの感想文となります。ネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
8話『都を揺るがす米騒動』
複雑なココロワヒメ
前回都に奉納できる米作りに成功したサクナヒメ達でしたが、今回はその米に関連して騒動が発生。都に回した米に、何やら怪しい米が混ぜ込まれてしまい、中毒のような症状に陥る神様たち。そんな策略により、サクナヒメ達の米の評判が落ちてしまうという事態に。
前回のラストに、ココロワヒメの元に鬼が訪れ渡していた米こそがまさにその怪しい米。サクナヒメの頑張りが認められ都に戻ることになれば、今の自分の立場が再び怪しくなってしまうという不安の元、ココロワヒメが手を下してしまったというお話でした。
サクナヒメを思う気持ちもはっきりとある一方、その裏でサクナヒメの事を妬ましくも思うという複雑な立場に立たされていたココロワヒメ。今回は、妬ましく思う気持ちの方が勝ってしまい、悪い誘惑に乗ってしまったという状況。序盤のサクナヒメの事から考えると、自分の努力は認められないのに、何もしていないサクナヒメばかりが認められるという事に暗い感情を浮かべてしまうのもよくわかるだけに、一言では言い表せない彼女の思いがよく出ているお話でした。
まっすぐなサクナヒメ
一歩間違えばココロワヒメも鬼の一味となってしまってもおかしくなかった今回のお話でしたが、サクナヒメのまっすぐさが、親友の心を救う事になる。
カムヒツキからの疑いがかかるココロワヒメの事を誰よりも信じてあげ、自分の事を疎ましく思われていた、自分の米を台無しにする策略をココロワヒメが行っていたという事実を知ってなお、親友の事を信じようとするサクナヒメだからこそ、迷いの中にいるココロワヒメの心にも届いたようでした。
前回少し広げられた幼いころのオニジマに向かおうとしたエピソードも、常に先に行ってしまうサクナヒメに対し焦りを感じていたココロワヒメに対して、その裏では、そんな寂しい状況でもずっとそばにココロワヒメがいてくれたというサクナヒメ側からのお話が加わることで、サクナヒメが昔からずっとココロワヒメの事を信頼していたことが明かされる。ココロワヒメ自身が、サクナヒメとの差を感じたエピソードが、サクナヒメからするとココロワヒメを最初に信頼したお話ともつながっていたというのは、二人の関係を描くうえで非常にわかりやすいお話だったように思えます。
前回のラストでは、オニジマに向かうサクナヒメを遅れて見送ることしかできなかったココロワヒメ、今回は自ら追いつき飛びつくことでサクナヒメの横に並んでオニジマに向かうというココロワヒメが一歩進むお話となっており非常に良いラストだったと思います。最後の一歩、踏み出すのを羽衣で手助けしてくれるサクナヒメというのが、二人の関係をよく表しているようでした。
ただ、結局ココロワヒメに米を流した鬼については謎のままといった感じで、このあたりもオニジマでの出来事に絡んでいるのか、今後のお話が気になる所です。
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