2024年夏より放送開始の作品、米澤穂信による『小市民シリーズ』を原作とし、監督:神戸 守によるアニメ化作品『小市民シリーズ』 9話『スイートメモリー前編』の原作未読での感想文となります。ネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
9話『スイートメモリー前編』
予想外の共犯者
小佐内さん誘拐事件は無事解決、かと思いきや何やら不穏な空気が流れ出し続いた今回のエピソード。
色々と小佐内さんに怪しいところがあることは、感じていましたが、はっきりとは見えてこないままだった一週間。小佐内さんが変装して動いているあたりに意味があるのかと思っていましたが、むしろ普段から復讐を避けるべく、週末はいつもと異なる衣装を着ており、むしろ誘拐の日にあえて誘拐されやすい衣装をしていたようです。
そんな今回判明した事実の中で、特に予想がついていなかったのは、誘拐犯サイドに内通者がいた、という件。健吾サイドの話で登場していたさなえさんが、スパイとなり情報を提供しており、それゆえに誘拐される日時までコントロールで来ていたという流れは、想像外の物。しかし、誘拐側に協力者がいるとなると、前回感じていた疑問点も一気に解決する流れでした。
まず、小鳩君に助けを求めるメールが誘拐された後に届いた件については、今回メールが長文である点を触れられ誘拐されていたならできないはずでは?というあがりました。小佐内さんは、メールをうつのが早いのとちょっとごまかしている風でしたが、こちらもメールを出したのは、さなえさんだったという事なのかもしれません。
誘拐音声については、誘拐グループからのメッセージにしては妙だなと感じながら見ていましたが、こちらもさなえさんを使ってのもので、誘拐グループにより重い罪を着せるための物だった様子。
更に、さなえさんと小佐内さんの関係を踏まえて考えてみると、健吾がどれだけ言っても、24時間守ってくれるわけではないと、一切話を聞く気はなかったという理由もよくわかる。こちらは、小佐内さんの協力を得て捕まえさせる計画が裏で進んでいたからという事だった様子。いつ復讐されるかわからない相手、一時助けてもらうよりも逮捕させてしまった方が安全ですもんね。
ひと夏の意味
長々と描かれた、小佐内スイーツコレクション夏でのお菓子巡りも、今回の誘拐計画の際に、即座に助けに来れる人物を育て上げるのが目的だった様子。スイーツコレクションに絡んで小鳩君が思い返した、私の命運を握る計画なの、という言葉の意味も、今回の計画が明らかになってくると本当に重い言葉だったのがよくわかる。
しかし、小鳩君からしてみると、違和感を感じながらも、共にスイーツ巡りを楽しんでいたようですし、結構ショックな話だったのではないでしょうか。
そんな中、小鳩君の推理は少しずつ核心に迫っていき、ついには小佐内さん自らが脅迫電話を用意したことまで言い当たる。しかし、それを聞いた小佐内さん、共犯のさなえさんを電話で呼び出す。ここで外で待機させていた彼女を呼び出す形だったというのは、小佐内さんもここまで推理されることは予想の範囲内だったということの様子で、ある意味、小鳩君の事を深く理解し、信頼していることがよくわかる。
とはいえ、この計画に利用された小鳩君が何を思っているのかはわからないまま。何やら正解にたどり着いた小鳩君に満足した表情を見せる小佐内さんというところで、今回の話は終了となりました。このあたりを見ていると、前回のキャンディーをあげるというサブタイトルは、もしかすると、小鳩君に対して推理をさせてあげるという意味だったのかもしれません。
果たして最終回、何が起きるのか?
この夏の小佐内さんの計画全てをはっきりとさせた小鳩君でしたが、今回は『スイートメモリー』の前編とのことでこのエピソードは次回の後半に続く様子。小鳩君からしても、この件をこれ以上咎めることをしても意味がなさそうですし、共犯のさなえさんも、自身の声を録音したテープを預けた以上、これ以上何化するという事はなさそう。そうなってくると、果たしてここから1話何をやるのか、全く見えてこず、最終回である次回果たして何をやるのか気になる所。
最後の最後、小佐内さんのひと夏の計画を聞き、とてもとても大きなため息をが漏れてしまった小鳩君。果たして次回どのように動くのでしょうか。
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