2024年11月6日配信開始、週刊少年サンデー2024年50号で連載された龍と苺215話『苺の正体』の感想記事です。ネタバレもあるので注意してください。
苺の正体
ハワードの乱入からまさかの苺ちゃんの体が機械であることが判明した前回から非常に気になっていた続きのエピソード。
未来編冒頭にあった警察ロボットとの追いかけっこの描写がまさかの伏線という事で、改めて読んでみると確かにここで一瞬で姿を消す苺ちゃんはおかしいと言えばおかしい。しかし、突然の未来編が始まったインパクトでまぁそういう事もあるだろ…と流していた部分をきっちり拾われあまりに衝撃にちょっと笑ってしまいました。
さて、相手はロボット、当然そうなれば戦っているのはAI、検知するセンサーもありますが、将棋連盟の会長も協力していたのであれば、切ることはできると、寒河江も戦う意思を失ってしまいますが、まだそこでは話が終わらない。
まさかの30年前に死んだとされていた藍田苺(115歳)が、延命処置を続け生きたままロボットの体で将棋をうっていただけということが明らかになりました。
その事実が明らかになったあたりは、登場人物みなポカーンとした顔をしており、読んでいてもそういう方向の可能性はあるのかなとは思っていましたが、いざ本当に来てみるとおそらく作中人物と同じような気持ちになる。以前の塩原が言っていた人間ではないという言葉も、何やら違うニュアンスに聞こえてきてしまいます。
115歳という現代では考えられない年齢については、これまで描いてきたちょっとトンチキながらもかなり進んでいる未来世界の技術があれば、ギリギリありそうなラインですし、急にとんだ100年後の未来編という読者の混乱を前提にして話を突き付けてきた感じがあって面白かったです。
いよいよ正体を明かした苺ちゃん、若い頃から見せていた威圧感はその経験と実績、そして生きた年月も加わりとんでもないものになっており、寒河江がちょっとかわいそうに見えてくる。さらには、腕を斬ったハワードに対する100年借りを返さなかったことはない。の言葉の説得力の凄さに思わず笑ってしまいました。
今回、苺ちゃんの正体については、明らかとなりましたが、まだまだその目的についてはまだまだ謎。単に未来の棋士と戦いたいというだけであるなら、そもそもバックに会長がついているので、わざわざアマチュアから登っていく必要もなさそうですし、どのような考えがあるのか。
今回本人が生きていたといった展開がありだと明かされ、結局過去で戦うところを見られなかった大鷹あたりが、また違う未来技術で絡んできたりするのかもしれません。また、ここまでの将棋の描写を見ていると苺ちゃんの対局ですらもAIによる最善手はきっちりと正しい手を計算しきっているあたりから考えると、未来の将棋AIを打ち倒したいなんてこともあるのかも。
特に、今回の話を見ていると一度、藍田苺が死んだことを告知する必要はなさそうですし、自分は死んだことにして一度藍田苺という存在を世間から完全に消し、AIに自分の情報を学習させず戦える状況を用意しようとしていたというのはありそうな気もします。
何やら今回の竜王戦で決着をつけるつもりで、ここまできた苺ちゃん、果たして何を目的として戦っているのか。このあたりも、次回明らかになるのか、気になるところです。
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