2024年12月4日に発売された週刊少年ジャンプにて連載されていた漫画『僕のヒーローアカデミア』最終巻とそこに掲載された後日談431話『More』の感想記事です。最新話のネタバレもあるので注意してください。
僕のヒーローアカデミア 最終42巻
最終巻
本編はジャンプ+で追っていたので読んでおり、どちらかというと後日談に当たるNo.431のエピソードが気になり購入した最終巻。1巻の表紙をセルフオマージュした表紙だったり、各話の合間に挟まれたちょっとした小話にクスっと来るところもありなかなか満足できる内容でした。個人的には、相澤先生の『わかるわけねーだろ』のページやら、最終話で描かれた洸汰君に関するちょっとした言いがかりになんかが面白かったです。
No.431『More』
本編最終回もなかなか明るい未来を想像させる終わり方でよかったのですが、やはり色々と気になり続きを見たいなーという部分もありました。この後日談は、まさにその気になった部分をしっかり描いてくれたお話といった感じで満足できる内容となっていました。
この話で特に印象的だったのはかっちゃんとデクとの関係の変化。大人になり事務所を開いているかっちゃんは、ぱっとみると以前と同じく尖っている感じもする。しかし、デクや切島君との会話を見ていると、その話ぶりや周りに対する反応が凄く丸くなっているのがわかってくるという流れがなかなか良い。皆、それぞれ成長している様子は描かれていますが、特にこのかっちゃんの変わりっぷりが大人になったなと思わせてきます。さらに、そんなかっちゃんに対してからかう様子で絡んでいっているデクというのも、子供の頃に相手を認め合った最後の時間の関係よりも進んだ、二人の年月の経過を感じさせるシーンでよかったです。
そういえば、このシーンでかっちゃんの車の後ろで柔らかすぎるソファに沈み込み挟まれているデク、どこか既視感があるのですが果たしてどこだったかいまいち思い出せず。ちょっともやもやとしています。
そして、今回の話の本筋にあるのは、何やら関係が進んでいそうな雰囲気こそ出していたデクと、お茶子との関係に関するお話。本編終盤からお茶子がずっと抱え続けていたトガちゃんへの想い、そのあたりが彼女の個性カウンセリングという方向に進む大きな要素となっていたのでしょうが、同時にそれは今の自分自身を蔑ろにしてでも進まなければいけないという枷にもなっていた。そして、デクも自分の事を抜きにしてやりたいこと、やらなければいけないことに取り組んでいるが故に、自分の何気ない気持ちを見落としてしまっている。
そんな二人がどことなくすれ違ってしまいそうな状況を、かっちゃんや、お茶子の中にあるトガちゃんの意識が背中を押して自分自身の幸せにも目を向けることができるようになるという話の流れがとてもきれいでした。最終回に当たって一番気になっていた、この二人の関係、きっちり最後の最後に描いてくれたことで本当に本作が終わったんだなぁという実感を感じるお話となりました。
そういえば、最終回ですらドーンと登場していたオールマイトがこの後日談では姿を見せていないというのはどことなく意味ありげに思える。色々と考えてみると、今回は本編が終わりオールマイトではなく次の世代の託された人たちのお話というあたりに意味を持たせたかったのかなという気がしてくる。後日談では、№1ヒーローもルミリオンに変わっており、デク達次の世代のヒーローが次に進む話として強調させるために、ある意味前の時代の象徴である彼をあえて登場させなかったのかもと思いました。
ともあれ、これにてヒロアカは本当に完結。ちょっと寂しい気もしますが、非常に良い作品でした。
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