2024年12月4日配信開始、週刊少年サンデー2025年1号で連載された龍と苺219話『黒田道化師』の感想記事です。ネタバレもあるので注意してください。
黒田道化師
未来の世界のAI
今回は黒田道化師のバックボーンに触れるエピソードといった感じで、道化師がなぜ将棋の道を選んだのかという点が語られる。
まず100年後の時代背景には、AIの発展があることが改めて語られ、スポーツの練習などにも採用されるAIによる指導は、果ては人の将来の道の選択にすら影響を与えている。道化師は、AIによりテーブルゲームの適性を見出された故に、将棋の道を選んだことが語られる。まさにその適性診断は最適、苺ちゃんの口から100年に一人の天才とまで語られるほどの逸材でしたが、同じく天才であり、将棋を始めてから100年鍛えて続けてきた化け物である苺ちゃんには3戦目も勝つことができず。いよいよ戦いは4局目へと持ち越され、果たして一矢報いることはできるかというところが次回気になる所として残る。
AIがやはり話の肝?
今回の話は、全体的にAIに勧められた最適の道を選ぶのが正しい事なのか?というあたりに話の軸があったように思える。黒田道化師は、自身に最適なテーブルゲームの道を選び、確かに実力を残していますが、彼の回想の中では、サッカーに対する心残りのようなものが描かれている。
特に回想のラスト先生に、サッカーでプロを目指したいと言っていたらどうした?という質問と、それに対する先生の答えは、苺ちゃんの最後の「やりたいことをやればいい。」に繋がっているようで、このあたりに結構深い意味が込められていそうです。AIの言う事に身を任せ、任せ自分で考えるのを放棄するというケースが増えていそうな未来世界の描写。こういった、AIに対する対抗というのが苺ちゃんのやりたい事なのかなと思わせる話でした。
そして、3局目を負けてしまった黒田道化師。苺ちゃんとの会話の中にもサッカーという言葉を口にしており、進路を選ぶ際に時気軽に将棋を選んだ後悔は今も心の中に残っている様子。しかし、苺ちゃんに負けた今、この瞬間やりたいことは、目の前の苺ちゃんを倒したいこと。道化師の苺ちゃんを見る目から確かにそんな感情が見えてくるのが良い塩梅でした。四局目、苺ちゃんに一矢報いる展開が見てみたいところです。
しかし、黒田道化師の先生も最後の道化師への一言だけでぐっとキャラがたってる感じがするのが良いですね。相変わらず良い先生がたくさん登場する作品です。
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