2024年1月17日に公開、監督:鶴巻和哉 脚本:両榎戸洋司庵野秀明 キャラクターデザイン:竹による機動戦士Gundam GQuuuuuuXの劇場版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)Beginning 』の感想・レビュー記事です。ネタバレを含みますので注意してください。
機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)-Beginning-
パラレル宇宙世紀
上映開始、開幕にこれまで隠してきていた宇宙世紀要素を一気に開放、聞き覚えのあるナレーション、聞き覚えのある効果音、とても既視感のある映像が見えてきて思わず笑ってしまう。
今回の映画前半で描かれたのは、まさにGQuuuuuuXのBeginningとなるシャアによるガンダム奪取成功から始まった新しい歴史のお話。このあたり、あくまで序盤に軽く流して終わりなのかと思いきや、がっつりシャアがガンダムを奪取した1年戦争の話を描いており、ある意味この映画の本番と言っても過言ではないパートでした。
シャアがガンダムを奪ってからは、シャア自らがガンダムを操縦しながら、元の歴史で彼が口にしていたセリフをセルフオマージュとでも言わんがばかりに繰り返していて思わず笑ってしまう。「見せてもらおうか 連邦軍のモビルスーツの性能とやらを」等々のセリフを少しずつ改変しながらも、きちんとガンダムを奪って操縦する立場に合わせたセリフで言わせておりある意味やりたい放題。作っている方も相当楽しかったんじゃないかと思ってしまいます。
シャアの声優さんは新祐樹さんに新たに変わっており雰囲気も異なっていましたが、それでもどことなく元のシャアっぽさが出ている部分もあってよかったですね。
そういえば、本作の歴史ではシャアの活躍によりガンダムだけでなくホワイトベースまで奪われてしまい大きなターニングポイントとなっており、そうなると、アムロがどうなったのかというのはかなり気になるポイント。映画の中では安室に関しては一切は触れられておらず、そもそもあの場にいたのかも怪しいのですが、ソロモンでの最後の戦いでは、アルテイシアが登場していたあたりそもそも戦いに巻き込まれていないのかもしれません。ちょっと気になるのはGQuuuuuuXの方にハロが登場しているというのは、この世界でのアムロに何か関係しているのかなという気もします。
そういえば、さりげなくガルマが戦線を離れたとのことで生き残っているらしき話があったり、シャリア・ブルとシャアがマブの関係になっていたりと、大きく登場人物の運命が変わっているというのも面白い。Beginningは、ガンダムを手にしたことでまさにシャアが主人公となったような物語となったとも取れる展開でしたが、逆シャアをオマージュしたようなソロモン落としへの対処の際には、きっちりザビ家にもダメージを与えようと抜け目がなく、やはりシャアの根っこにある部分はシャアのまま。果たしてそんな彼が、光に包まれ消えた先で何があったのか、今後のGQuuuuuuX本編で語られるのが楽しみです。
GQuuuuuuX本編
シャアと赤いガンダムが消えたことで終わったBeginningの物語から続いて始まるGQuuuuuuXの本編映像。Beggingパートの初代ガンダム組のキャラデザと、GQuuuuuuX組のキャラデザがなかなか離れており、今後本編でシャアやキシリアが登場した際に、同じ画面にこのキャラ達が並ぶのかなとか思うとどんな絵面になるのか気になってしまう。シャリア・ブルに関しては、どちらかというとGQuuuuuuX寄りになっており、ある意味彼のデザインが橋渡し的な存在にも思えてきます。
そんな今回の映画ですが、正確にはわかりませんが半分ぐらい(以上?)の時間がBeginningに割かれていたこともあり、機動戦士Gundam GQuuuuuuXの序盤の映像に関しては、ダイジェスト気味に感じる部分もあり。とはいえ、こちらの物語はテレビ放送が始まってからが本番という事もあり、逆にテレビで映画ではカットされてしまっただろう部分が間に挟まりより深く話が描かれるのを楽しめそうなのは逆に良いかもしれません。映画の上映時間がきっちり長く、テレビ放送序盤の特別編周辺という話もあり、映画を先に見てしまうとテレビ放送の序盤を楽しみにくくなるかなと不安に思っていた部分もあったので、逆に短めだったのは個人的にはありがたかったかも。
今回上映された範囲では、マチュとニャアンの二人のキャラクターのイメージがこれまでのイメージアートから受けてきたものから結構違うというのが面白い。マチュは想像していた以上にアグレッシブで話を動かしていき、ニャアンは思っていたよりもずっと普通の女の子。特にニャアンはクールそうなビジュアルから何やらシビアな印象を受けていましたが、むしろ難民という弱い立場にあり、ガンダムに関しても偶然かかわっただけ、どちらかといえば厳しい世界で何とか生きているといった感じだったのは意外。しかし、そんな彼女だからこそ今後マチュとの関わりを通して本作の中でどんな意味と役割を持っていくのかというのはなかなか気になってきます。
そういえば、今回の映画を見ているとマチュの耳につけた赤い三日月の形をしたイヤリングがどことなく印象に残ったのですが、ここにも何か意味があったりするのでしょうか。
GQuuuuuuXの謎
今回の映画はGQuuuuuuX側はまだまだ序盤ということで、様々な謎が残ったまま終了。特に大きな謎としてはゼクノヴァと呼ばれる現象や、消えたシャアがどうなったのか、そして、なぜかシュウジが赤いガンダムに乗っているのかというあたりがあり、今後のテレビ放送でどのように明かされるのが楽しみな要素。
マチュとシュウジは、シャアが消えた際に見た光(キラキラ)を見ているようで、このあたりニュータイプとしての何かが絡んでいそう。フラナガンスクールを首席で卒業したとされるエグザベですら起動できなかったオメガサイコミュを起動できたマチュについてもその特異なニュータイプとしての才能の理由も気になりますし、ソロモン落としの際のゼクノヴァ発生は、グラナダの地下にあったシャロンの薔薇なるものが影響を与えていた描写もあり、このあたりも重要なカギとなっていそうです。
とはいえ、今回の映画の範囲は、まだまだGQuuuuuuXに乗って初めての戦いを終えたばかり、これから物語がスタートといったところ。ここからどのような話が広がっていくのか、テレビ放送が楽しみになってきました。てっきり映画の終了後に放送時期の発表も行われるのかな?と思っていたのですが、そちらの発表はなし。とはいえ、かなり映像は出来上がっているようですし、年内には放送開始しそうです。
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