2025年1月29日配信開始、週刊少年サンデー2025年9号で連載された龍と苺225話『市場テスト』の感想記事です。ネタバレもあるので注意してください。
市場テスト
50:50の試合
AI相手に50:50の試合を続ける苺ちゃん。とはいえ、当然ムサシの手は事前研究から外れ長考に入ってしまう。このあたり、それを見守る棋士たちは諦めこの後を自分たちが継いでいくと気持ちを新たにしていく中、それでも50:50の状況で食らいついていく。
苺ちゃんもAI評価に対してはベストな手を打てなくなっていますが、同じようにハードとしての限界がある対戦相手であるムサシもベストな手は打てなくなり、あくまで五分五分の状況。まさに自力でAIに食らいついていく、苺ちゃんの力を見せながらも、一歩間違えば一気に負けに向かうこれまでの人間相手の対局との違いも感じさせてくるお話でした。
いらだちを見せるムサシ
前回の時点でもどことなく感情の影を感じなくもないムサシでしたが、今回の苺ちゃんとの対局を五分五分から動かせないでいる中で、少しずつ感情のようなものが見えてくるのが面白い。
イケダ社は、ムサシに搭載した新たなチップの宣伝として利用しようとした今回の竜王戦ですが、AI相手ではなくまさかの人間相手への苦戦という事で慌ててきてしまう。
今後の商品に影響する今回の対局、心配のあまり側で様子を見て居たいという気持ちなのでしょうが、むしろ、あの状況で慌てて専務が戻ってきてしまうということ自体が商品に対する悪い印象を持たせてしまいそうです。
最後の一コマ、まさかのムサシの舌打ちには思わず笑ってしまいましたが、ムサシからすると五分五分で抑えていた相手に五分五分であるという状況が伝わってしまうという、ある意味AIとしてのプライドを踏みにじられるような試合だとわかってしまったが故か、はたまたいい勝負に水が差されてしまったと感じたからか。次回の反応も気になるところです。
しかし、前回は自分たちに挑むのは神に挑むようなものとまで言っていたムサシ、それがどことなく苛立っていることが伝わってくる中で、読者としてはそのムサシの態度にどことなくキャラクターが出てきたようで面白い。正直、AI相手の対局という事で対戦相手との交流を通した面白さみたいなものをどう表現していくのか少し不安でもありましたが、今後相手するAI達も楽しみになってきました。
初戦は素直な実力での勝利となるのか、まだムサシが巻き返してくるのか、次回の展開が気になってきます。
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