2025年冬より放送開始の作品、原作:河森正治・サテライト、監督:糸曽賢志による想星のアクエリオン Myth of Emotions 11話『遠いむかしの約束と』 の感想文となります。ネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
11話『遠いむかしの約束と』感想
モモヒメの葬式
いよいよラストに向けて話が動き出した本作ですが、今回はモモヒメの葬式から話が始まる。あくまで共感性がないだけのリミヤ君が、1話の葬式と異なりしっかりと悲しんでいるのがなかなか印象に残る。そして、そんな1話冒頭に描かれたサヨの死を連想させる話の流れから、皆の元に再び現れるモモヒメ。
今のモモヒメも死んだはずのサヨが現れていた時と同じように、まだ死が確定していない状態。今回はサッコ達の世界が世界の合体の際に優位になる条件が最後の戦いでのモモヒメの死に起因していることも明かされ、覚醒会議の面々はモモヒメに死んでもらう事を目的に動き出し、サンの言葉として全体を動かしていることが明らかにされる。
モモヒメを最後の戦いに向かわせる邪魔をさせないため、オリジナルのアクエリオンが封印され、今回サッコ達が捕まり閉じ込められてしまう事になる。結局、モモヒメが最後の出撃メンバーに選ばれるという事は変えることができずそのまま出撃となってしまう。
最後の出撃メンバーが選ばれた際に、トシ君が手を震わせていたシーンが少し挟まれましたが、このあたりは、トシ君にもモモヒメに対する後悔のようなものが感じられて面白い。それとは別にモモヒメが死ぬこと自体は認め切れていない感情が出ているようでよい感じでした。サンの事を聞かれた際に、サッコ達に対しては毅然と接していましたが、いざモモヒメが出てくるといつもの素の面が顔を出しているように見えましたし、彼は彼でかなり無理をして今の立場を貫こうとしているというのが見えた気がしました。
このあたりの展開は、最初にサヨを救えなかったサッコが、今度こそモモヒメを救うことで世界の合体を防ぐという話に繋がるようで序盤の流れが生きてくる流れで良い感じでした。
セドナの罪の理由
後半パートの冒頭では、セドナの罪が裁かれるシーンがより詳細に語られる。ここでは、セドナとハイダの父と女神との間に何があったのかが語られ、セドナがおそらく女神と父の子供であることが明かされる。
その二人の父の行いを罪として指摘され、更には実際にセドナの翼が汚れてしまったことを理由に、セドナ達は一族ごと罪人として扱われることになってしまったようです。
セドナの翼の色を変える薬をハイダに渡し飲ませたのはスクナでしたが、セドナの翼を見た際の反応は少し予想外といった感じもあり。スクナからすれば、あくまでアクエリオン完成のためにセドナを女神にさせるわけにはいかなかった、またハイダからしても、姉を女神にしたくなかったという考えから起こした事件でしたが、実際に翼が汚れてしまうという最悪の状況は想定外だったのかもしれません。
ここからアクエリオンの完成に加え、なぜ世界が二つに分かれたのか、またナヌークが何をするのか等々、気になる所ばかりが残るこの過去生パートのラスト、次回には語られるのでしょうが果たして本当に何が起きるのでしょうか。
巨大な敵とモモヒメの考え
いよいよ始まった最後の戦い、アクエリオンのパイロットに選ばれたのは、モモヒメとトシ、そして大谷君という、もしかしたらこれまで登場していたかもしれませんが、いまいち記憶に残っていないモブキャラクター。
モモヒメの死を成し遂げるために選ばれたメンバーでの戦いとなりましたが、敵として出現した神話獣もこれまでと違い巨大な物でそのままモモヒメが内部に取り込まれることになる。覚醒会議の面々からすると、この状況こそが自分たちの世界が勝利するための条件なのかなと思わせる展開となりました。
モモヒメの考えは、二つの世界が互いを求め愛し合うから合体したがっており、そのまま合体してしまえば互いに傷つけあい残るのはどちらか一つになってしまうというもの。ここで愛情が欠けているモモヒメが、その受け皿として愛情を受け取ることで、世界の合体を阻止、もしくは、互いに傷つけあう形ではないもっとゆっくりとした融合に抑えられることが出来るなんてことなのかもしれません。
ムナカタ先生の協力もあり、脱出に成功したサッコ達は、オリジナルのアクエリオンに搭乗してその場にたどり着きましたが果たして彼らがここから何をするのでしょうか。
サンの考えとモモヒメ
そういえば、今回サンもトシ君たちの元から姿を消していることが明かされており、サッコ達の元に現れ、モモヒメの死を聞いた際には、彼自身もそれは望んでいなさそうな反応を見せる。彼が望むのは世界の合体ですが、そのためにモモヒメを犠牲にするということまでは望んでいない様子。ただ、一人を犠牲にして決定しそうな世界の合体という結末を覆すには、また違う誰かの犠牲が必要となるという事も示される。
サン、自身の過去生の罪を自覚したセドナ達の父を過去生に持つカミサマ、もしくは、違う結末を迎えるために結局モモヒメ自身等々、世界の合体を阻止するために犠牲となる候補は色々考えられますが、そんな犠牲すらも必要とせずに乗り越えてみせるなんてこともあるのかもしれません。いよいよクライマックス、どのように決着をつけるのが気になるところです。
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