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映画 Flow 最後の黒猫とクジラの意味 人間はどこに消えたのか?感想考察

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Flow 感想・考察

2025年3月21日に公開開始、洪水にのまれつつある世界を舞台に、一匹の黒猫を主人公として、様々な動物たち流されゆくさまを眺める映像作品『Flow』の感想と考察記事です。本編のネタバレも含むため注意してください。

言葉がなくても見えてくる

本作『Flow』に登場する動物たちは、一切人の言葉を離さず、その態度と行動のみを示すのみというなかなか大胆な試みで作られた作品。しかし、それでもなお、動物たちの行動からは彼らの感情や意思が読み取れるのが素晴らしい作品でした。

その中でも、特に最初ちょっとした水に触れることすら嫌がっていた黒猫の成長が印象的でした。

水害が発生した世界で、ピンチになりった黒猫は辛うじてカピバラが乗ってきた船へたどり着く。そこからの船での旅の中で、水の中には自分たちの食事となる魚たちが悠々と泳いでいることを知る。

やがて、少しずつ水に慣れた黒猫は、泳ぐことを知り、水の底にいては死にかけることを知り、それでもなお再び自らの意思で泳ぎ魚を取ってくる。その成果を自分を助けてくれた鳥に対して与えるというのは、まさに黒猫の成長を描く展開でした。

序盤の犬から逃げるシーンでは、黒猫は水に触れるルートを避けているところを丁寧に描き、黒猫の水に対する抵抗感を描写する。だからこそ、黒猫の水に対する試みと挑戦と恐怖、そしてその成長を読み取れる流れを言葉がなくても作り上げることに成功している。このあたりは、本作の描写の丁寧さを感じさせるようでよかったです。

黒猫を助けてくれる優しさを持ちながらも、船の舵は誰にも譲りたがらず自分の行く末は自分で決めたそうなプライドの高さを感じさせる鳥。いつものんびりしているけれど、判断力と度胸、そして仲間を思う感じが伝わってくるカピバラ。物への執着を見せながらも、なんだかんだ仲間の事を思うように変わるキツネザル。気の良いお調子者、犬の仲間たちも大事に思っているけれど、最後には黒猫たちを選んだゴールデンレトリーバー等々、言葉がないながらもそれぞれのメンバーの個性がはっきりと見えてくる面白い作品でした。

水害の原因?

ここからは本作の世界観の考察となります。

本作では世界を巨大な水害が襲い、それに立ち向かいボートに乗って旅する動物たちの物語が描かれましたが、気になるのはあの水位の急上昇が起きた原因。

私は、水位が急激に上がった原因こそが、終盤黒猫が遭遇し鳥と別れることになった謎の現象だったのかなと考えました。猫すらも浮かすあの現象が、大きな引力を生んだことで大量の水を引き寄せ、その結果あのような大災害が発生してしまう。鳥が消え、猫が船を目指して泳ぐシーンでは後には驚くほどの速さで水が引いていったのも、あの現象が終わりを迎えたからと考えると納得がいく気がします。

最後の黒猫とクジラの意味

すべてが終わり、水が引いた世界で仲間たちとの再会を果たした黒猫ですが、そこに再び駆け抜ける鹿たちが登場する。異常な現象が終息したことで、全てが終わったと思わせたタイミングで、再びやってくる物語の始まり、あの水害の発生を思わせる流れに、緊張が走りました。

ですが、ある意味これは水害の終わりを象徴するシーンを描くための物だったのかなと思う。鹿が駆け抜けるシーンの直後、黒猫は冒頭のようにその水害から逃げるように走り出す。ただ、この時の黒猫の視線が向けられているのは、鳥が消えた山。おそらく、この時の黒猫は、水害を意識して走ったのではなく、再び鳥が消えた現象が起きたのではないかと思い、鳥との再会を願って走り出したのではないかと思う。

しかし、世界に再び波は押し寄せてこず、黒猫が見つけたのは大地に横たわるクジラ。黒猫たちのボートでの冒険の中で、時に助けられ、時に振り回され、黒猫たちの事を意にも介さず広がった水の中を悠々と泳いでいたクジラ。

そんなクジラが最後大地に横たわり死を待つのみとなったのは、すなわちこの水害の終わりを象徴するためのシーンだったのかなと思います。

そんな圧倒的な存在だったクジラの最後を黒猫が見たことで、山で起きた異常現象への諦めを黒猫にもたらし、今側にいる仲間たちの大切さを再び描くことで物語は完結。

黒猫を筆頭に言葉を話すことのない動物たちの描写のみでそれぞれの関係性を巧みに描いてきた本作らしいラストでした。

人はどこに消えたのか?

本作では人間は一切登場しません。しかし、使える船が残っていたり、何やら作りかけの像があったりと、人間がいた痕跡だけはしっかりと残っている。

最初は、本作で起きた水害が繰り返し起きており、その結果人間も滅んだのかなとも思いましたが、最初の黒猫が住んでいた家は水没していた気配はなくそうではないことがわかる。とはいえ、冒頭の黒猫が森の中川辺に立ち周囲が広く描かれるシーンでは、その時点で既に枝の上にボートが引っかかっており、水位の上昇自体は過去にも起きていたことが推測できる。ちなみにこのボート、細かい部分は見えなかったので明言はできませんが、もしかすると犬のグループが乗っていた船はこの船だったのかもしれません。

結局人間がどうなったのかというのを考えてみると、猫が住んでいた家の中の様子も色々途中のまま動き出した気配もあり、外の巨大な猫の石像なんかも作りかけ。このあたりから察すると、この世界では既に度々水害が起きることを察して今の土地を捨てたのかなという気もする。

ただ、あの異常な引力を発生させる減少も人の作った遺跡のようなものを起点に発生していたことから考えると、人間が消えたこと自体にもあの現象が絡んでいそうにも思える。もしかしたら、あれは強力な引力で生み出したワームホールのようなもので、鳥が消えた先に、人間たちも既にいっているなんてこともあるのかもしれません。

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又三郎

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コメント

  1. 匿名 より:

    鳥がなぜ消えたか?などストーリーに解釈の余地がありそうてモヤモヤしていましたが、1番考察として腑に落ちました。
    良いレビューありがとうございます。

    • 又三郎 又三郎 より:

      こちらこそ読んでいただいてありがとうございます。
      本作言葉がないからこそキャラクターの動きや周囲の環境をよく見ることができるというのがなかなか面白い作品でした。
      見た人それぞれ違う感想や考察を持っていたりしそうなのも面白そうで良いですね。

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