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映画 ミッキー17 赤いボタンに込められた意味 感想・レビュー

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映画 ミッキー17 感想

ポン・ジュノ監督、2025年3月28日に公開。死んでもなお再び生き返らせられ仕事を命じられる使い捨てワーカーであるミッキーを主人公とした作品、『ミッキー17』の感想・レビュー記事です。本編のネタバレも含むため注意してください。

思ったほど生き返りの作品ではない

ミッキー17を見始める前、私はこの作品はミッキーが死と複製を繰り返す中で、名前につく数字のカウントも増えていき、最終的にミッキー17としてこの複製を含む因果に決着をつけるといった感じの展開を予想していました。

しかし、予想に反してミッキー17と17が死んだと判断された故に生まれてしまった18とのやり取り、同じ人間が二人いることが本題となり、16までの複製までの話はあくまで複製されるミッキーの過酷さを示すためだけに消費されてしまう。

正直、生き返りからの死ぬ前に得ていた知識を使ったやり直し的な展開を期待していたところもあり、このあたりのミッキー周りの話には少し肩すかしに感じてしまう部分もありました。

ミッキーは複製されるたびに性格が違っていたという話も重要な要素として取り上げられており、それが複製による誤差なのか、単にあのずさんな複製による影響なのかは定かではありませんが、このそれぞれの差については、作中でも重要な要素となっていました。だからこそ、性格の違うミッキーたちの行動をもっと見てみたかったなという気もしてしまいます。

植民のいい加減さへの違和感、そしてその答え?

さらに、どうにも本作を見ていると、違和感を感じる瞬間が度々あった。それは、他の惑星への植民という状況に向かう割に、あまりにも登場人物隊の行動が無責任というか、どうにも気が抜けすぎているように思えたことだ。

ミッキーが言っていた通り、船に乗り新たな星を目指した人々のほとんどは、地球から逃げだいたい後ろめたいことがあったり、今の地級では生きられない面々。ミッキーの再生産の際の適当さなんかも、そういった人員故と納得できた。しかし、そんな人々を連れて動くはずの上層部すらも、その行動を見ているとひたすらに愚かとしか言いようがない。

他の星への植民とは、映画一つのテーマにできるほどの出来事である。私が見てきた作品でも、植民自体を大きなテーマとして取り扱っていた。だが、本作でこの他の惑星への植民というのは、思った以上に軽く扱われている。

異星人とのやりとりも、どうにも向こう側の判断が人間に対して都合が良すぎたり、最後にあっさり完成した翻訳機ですんなり会話を始めてしまうのも、異星人との交流という題材にしてはあまりにも軽い。

どうにもこの映画を見ていると、このSF的な部分の違和感がなかなか受け付けずこんな状況で良く植民など続けられるなとも思ってしまっていた。しかし、色々と考えてみる中でその違和感に対する答えを思いつく。

それは、自分が想定している科学技術よりも、本作で描かれる世界の科学技術がはるかに進んでいるのではないかという事。

例えば、ミッキーたち再生成される契約を結んだ人間たちは、一つの植民惑星に1人とするという話があった。つまり、植民惑星は一つや二つではないという事だ。また、先述した通り地球ではやっていけないようなまともではないやつらが多くこの船に乗っていても他の星へ4年かけて渡っていけてしまうというのも、それだけ基礎の技術力が高いことの証明なのかもしれない。

そんなベースに高い技術力がある未来の世界だからこそ、本作のキャラクター達は、植民に対する思慮が欠け、責任感を全く感じさせず、いい加減でもなんとかなってしまっている、と考えるとある程度筋は通るのかもしれない

とはいえ、結局のところこれは私の考えであり、本作の主題がミッキーという複製される人間にあるが故に、それ以外の部分はあくまでおまけとしておざなりに扱っているのか、はたまた、私の考えが正しいのかは定かではない。

ただ、そういった背景があるのであれば、もう少しそれをわかりやすく示した方がよかったのでは?とも思ってしまい、SF的な部分のチープさが、作品への没入感を妨げてしまったようにも思えてしまいました。

赤いボタンの意味

ということで、本作のSF的な部分には、あまり好印象を持てずに映画は終わりを迎えてしまったのですが、やはりそれはあくまで赤いボタンに絡んだミッキーの過去からの克服こそが主題であるが故なのだと感じ、その部分に関しては非常によくまとめられていました。

ミッキー自身には大きなトラウマがあり、それは幼い頃母の車の事故に絡んだ赤いボタンから始まっている。ミッキーは自分がこのボタンを押したが故に事故が起き、母が死んだと思い続けている。しかし、ミッキー18が言っていた通り、そのボタンが本当に母の事故の原因になったのかどうかという事は定かではない。しかし、ミッキー17にとっては、そのボタンこそが大きな心の傷として残っている。

そして、本作ではもう一つ赤いボタンが登場し、それは最後にミッキーが推した複製装置を爆破するボタン。赤いボタンを押した事への後悔が根っこにあるミッキーの話は、最後にこのボタンを押したことで終わりを迎える。

この赤ボタンに連なる始まりと終わりを意識すると、本作のでミッキーが複製され続け死に続けることは、彼の罪滅ぼしを意味していたのではないかとも思えてくる。死への恐怖を見ないふりをし、過酷な死を繰り返す、その罰を受け続ける地獄のような時間。ある意味、それはミッキーが自身の過去の赤いボタンを押したことへの罰として受け入れているようにも思える。

しかし、ミッキー18とのやり取りを通じる中で、彼が過去の赤いボタンに囚われるのではなく、そんなものはどうでもいいと、今を生きるための一歩を踏み出す。複製される人間として地獄のような日々としての罪滅ぼしを終え、新たな一歩を踏み出したことを最後に押した赤いボタンが意味しているように思える展開でした。

ミッキー17感想

死んでは複製を繰り返すのが本編なのかと思っていたり、新たな星へ植民を描くのかなと思っていたら、思ったほどそこは主題ではなかったりと、勘違いしていたせいで違和感を覚える部分も多い作品。ただ、このあたりは公式サイトに「何度でも生まれ変われる夢の仕事」という本編では絶対にありえない記述があったりと、宣伝があえてずらして見せていたように思える部分もあり。

全体的に見ると気になる部分も多い作品でしたが、複製された同じ過去を持ちながら全く違う意識を持つ複製との触れ合いを通じてミッキーが成長し新たに生き直すという部分に関しては綺麗にまとまっており良かったです。

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又三郎

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