2025年4月9日より放送開始、監督:春藤 佳奈 キャラクター原案:竹本 泉 シリーズ構成・脚本:村越 繁によるテレビアニメ『アポカリプスホテル』の感想記事です。ネタバレを含みますので注意してください。
8話『おしおきはグー!なかなおりはパー!』感想
ヤチヨさん帰還
前回ラストの地球に戻れなかったヤチヨさんという衝撃のラストから続いた今回。果たして、どうなるのかと思って見ていましたが、更なる時間経過が発生。まさかのポン子が大人に成長に加え、働いているロボットたちのボディも見た目がボロボロになっており、これまで以上の時間の流れを感じさせる展開でした。
ちょうど1話を彷彿とさせながらも、ポン子を代理人の代理人の代理人とした状態で銀河楼での朝ミーティングからスタートし、てっきりOPで踊るのもポン子に切り替わってしまうのかな、などと思って見ていましたが、流石にそこまでの変化はなく安心。
そんなこんなで始まったヤチヨさん不在の、アポカリプスホテル。今回、正直ヤチヨさんの帰還に絡むお話が展開されるものと思っていたのですが、また想像もつかない予想外の方向に話が転がっていくことになりました。
まず、何より早々にヤチヨさんが帰還したというのが、最初の予想外の展開。宇宙に一人残されたヒロインとなれば、丸ごと1話使って地球に帰還なんてエピソードにしてもよいものが、まさかの冒頭に帰還。無事再起動を果たすも下半身はタンク、腕はいかにもなロボットと、なかなかひどい姿になってしまう。
今回の本題になると思っていた、ヤチヨさんの復活があっさりと果たされてしまい、果たしてどうなるのかと思いながらお話を見ていくことになりました。
変わる世界を受け入れられない反抗期
相当な年月の経過、更に衛星による宇宙広告の効果もあってか、銀河楼は多く…とは言えないものの、以前とは比べ物にならないほどの宇宙人のお客様が来てくれるようになっていました。ノージューマーが残していた種も、大きく成長し、水槽の中に育つ。
ただ、当然宇宙人のお客様を迎え続けてきた銀河楼は、ヤチヨさんがいない間に大きく変化してしまう。外観は変化し、湯が出ていただけだったはずの温泉は建物まで完成、自分がいなくてもお客さんは増え、挙句の果てにシャンプーハットは廃止。そんな銀河楼の変化だけであったなら、ヤチヨさんも受け入れられたのかもしれませんが、そこに加えて自らのボディの変化によりホテリエとしての仕事すら満足にこなせない状態になってしまうというのが、最後の切っ掛け。
ホテルから飛びだしたヤチヨさんは、ミサイルを乱射。更に、時間が経過する中で完全に暴走族のような姿になり暴れまわるようになってしまいました。
そんなヤチヨさんを放っておくことができずに向かうポン子。まさかの本格的なロボットからの、見ているアニメを間違えたかのようなバトル展開。そして、その中で互いの気持ちをぶつけあうという、ロボット者の王道の展開はなかなか良い感じ。
ポン子と拳を交えたことで、何とか落ち着いたヤチヨさん。その時期の事を自ら反抗期・思春期という言葉で言い表していましたが、何やらここにすごく大きな意味を感じる。
これまでAIとして仕事を続けてきたヤチヨさんは、ある意味生まれたばかりの自我を持った存在。しかし、そんな彼女が今回受け入れられないほどの変化と自らの無力さを痛感したことで気持ちを荒げた、与えられた役割であるホテルから自ら飛び出したというのは、何か大きな意味があったようにも思えます。AI、人工知能が遥かに長い時間の流れを経ることで、創造である人間から本当の意味での自立を迎えるというのが、もしかしたらテーマにあるのかなという気もするお話でした。
サブタイトルのサプライズ
これまでのサブタイトルが、銀河楼十則を題材にしてきた中、今回のサブタイトルは『おしおきはグー!なかなおりはパー!』とポン子のセリフのような言葉が残っているのが印象的でしたが、その理由がラストで明かされる流れは、今回のエピソードの主題を描き出しているようでよいサプライズでした。
しかし、今回改めてヤチヨさんがかなりこだわりが強いことがわかる。色々と変化があった中でも、自分の像はともかくとしてなぜ涅槃像なのか、というあたりや、シャンプーハットが消えたあたりは特に気にしていた様子。その中でも、シャンプーハットの方は、いの一番に復活させる辺り、相当気にしていたようで思わず笑ってしまう。
1話でも見せていたあの異様なまでのシャンプーハットへのこだわり、実は何か理由があるのかなとも思ってしまいます。
今回もなかなかぶっ飛んだ話ながらも、面白い回でしたが、気になるのは借りパーツで運用されているヤチヨさんが、元に戻るのかどうかという事。次回、また大きく時間が経過する中で復活するのか、はたまた、今の姿のまま次回に続いてしまうのか、なかなか気になってきます。
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