2025年4月9日より放送開始、監督:春藤 佳奈 キャラクター原案:竹本 泉 シリーズ構成・脚本:村越 繁によるテレビアニメ『アポカリプスホテル』の感想記事です。ネタバレを含みますので注意してください。
11話『穴は掘っても空けるなシフト!』感想
ヤチヨさんの休日
先週の謎の宇宙人襲来に伴うとんでもないエピソードから一週間、今週は一体何を見せられるのかと思いながら待っていた今週のお話でしたが、ある意味1話の雰囲気を思い出す正統派なアポカリプスものといった感じのお話になっていました。
ポン子から、労働基準法により働きすぎとされたヤチヨさん。働かせすぎるとよくないことが起きるとのことで、強制的にお休みを取らされることに。とはいえ、これまで数百年単位で機能停止していたことはあれど、意識があるのにお休みという概念に触れることのなかったヤチヨさん。ホテルのお客さんになろうとしても、ついホテリエとしての業務に気が向いてしまい休み方がわからないといった感じ。
更にはシステムチェックをしてみると、一部のパーツに不具合が発生と何やら不穏な空気も流れる。人が消えた世界の静かな雰囲気も相まって怖さすらも感じるお話となっていました。
静けさにあふれる世界
ヤチヨさんですら、言葉をほとんど発することのないお話。これまでも描かれていた人がいなくなった世界ではありますが、そこをヤチヨさんが一人で歩くという機会はほとんどありませんでした。
そんな中今回は、ホテルでお休みを告げたポン子が登場した程度で、ホテルから離れたヤチヨさんと遭遇する人は誰一人存在しない。すっかり緑で覆われた世界で生きる動物たちとの交流のみとなる、ヤチヨさんが言葉を発することすらほとんどない。
最初は暇を持て余していたヤチヨさんですが、自分の交換パーツ探しも兼ねて歩み始める。これまでも度々描かれていた滅んだ世界の背景美術の中を黙々と歩きまわるヤチヨさん。主目的は交換パーツ探し、そして、最初の内こそこれまでの自分たちの軌跡を見つめ直す道のり。醸造所、ロケットの発射場を見たり、そして、いつの間にか緑化していたかつての砂漠を再び発見する。しかし、段々とその行動は変わっていき、かつての人間たちがすごしていた余暇を追体験するような行動が増えていく。
ショッピングモールでは、服を着替えてみたり、パチンコに挑んでみたり、更には雑誌で見かけたキャンプに挑戦してみたり。ホテリエロボットとしては、決してやることのなかった事柄に一つずつ取り組んでいくシーンはなかなか意味深でした。
生きている感じがした
ある意味原点回帰ながらも、独特な空気の元進んだ今回のお話は、最後ヤチヨさんが機能停止した他のロボットから交換パーツを発見できた辺りで空気が変わったのが印象的でした。
不具合の起きているパーツがその身の中にあることで、ある意味ヤチヨさんは自分の死という概念を意識し恐怖を覚えていたのかなとも思える。交換パーツが見つかり、そのパーツを感謝を込めていただく。相手が修復の可能性がないロボットだったとはいえ、ある意味自分もそうなっていたかもしれない一つの可能性を目の前にしたことで、より深く自分が生きているという事を実感したようにも見える。
パーツ交換後に出会ったペガサス?とペガサス?により達成されたイースターエッグの解放のシーンは先週までの本作らしさにあふれたシーンとなっており、そこまでのヤチヨさんが感じていた緊張が解けるようにも見えました。
そんな、ヤチヨさんが今回の最後に残した「生きている感じがした」という一言はなかなかに印象的。一人黙々と歩き続けたヤチヨさんは、これまでの銀河楼での出来事を振り返り、人間がかつてすごしていただろう余暇を追体験する。そして、それは自分の停止に関わる死と向き合いながら歩いた故であるからこそ、ある意味自分自身の存在と向き合いながら歩いた一日。
自分自身が生きていると感じたヤチヨさん。これまでも非常に生き生きとした姿を見せていた彼女ですが、ロボットである彼女が自分自身を生きていると称したのは、今回のお休みを経た大きな変化だったように思えます。
いよいよ、次回最終回となるアポカリプスホテル。今回見せたヤチヨさんの変化が、どのように話に絡んでくるのか、なかなか気になってきます。
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