ヘルタースケルター
2025年9月21日に配信されたフェイクドキュメンタリーQの新作『ヘルタースケルター』の感想と考察記事です。ネタバレも含まれるので注意してください。
西川瑞穂とVTC
ベトナムの輸入雑貨店を営業していた母が死に、その娘が残された雑貨店での不可解な点を騙るといった感じで始まったドキュメンタリー風の映像から始まる。
母が経営していたという輸入雑貨店、普段の仕入れとは別に、異様に高額なVTCからの仕入れが行われており、更にその翌月の売り上げが大きく伸びているという不可解な帳簿が付けられているとのこと。売り上げの内訳については書かれていないため、果たしてどういう形でお金が入ったのかは一切謎とされていますが、明らかに怪しいお金の動き。
さらに、母が残したいわくありげなものや、顔がぐちゃぐちゃになってしまった写真が登場。最後に娘がまだ自分は見ていないとした謎の映像がある意味今回の作品の本編ともいえる内容となっていました。
大量の写真を配置した謎の部屋、そこで行なわれるHuyさんなる人物による謎の儀式。そこまででも何やら不穏な空気は感じられるのですが、、突然Huyさんが消えたことで状況は緊迫。映像が切り替わったのち、謎のすみませーん。とひたすらに叫び続ける声が響く中を探索するシーンは、ひたすらに不気味で、驚かせるような演出は一切ないにもかかわらず、静かな怖さを感じさせてくる映像となっていました。
VTCは呪い代行?
全貌をはっきりと分かったとは言えませんが、映像の要素からあのベトナムの家で何が行われていたのかという点を考察してみる。
考えてみる中で思い付いたのは、西川瑞穂さんがベトナムとの輸入雑貨店で行っていたVTCへの仕入れとは、呪いの代行のようなものだったのではないか、というもの。
最初あの屋敷に入った時点で置かれていた歪んだ写真は、既に呪いが済んだもの。それを新しい写真に取り換え一枚一枚記録しておいたのは、その呪いの前後をきちんと説明するためのもの。瑞穂さんが残した不気味な写真に関しては、呪いが実行された証拠として渡されたものという事だったのかもしれません。
屋敷には中央に四人家族の写真が飾れていましたが、そもそもあの場所自体が何か過去に何らかの事件がおきた強い力が残った場所、あの家族が、あの場で呪いを行う強い力の源になっていたのかも。
中央に飾れていた写真の家族は、最初は笑顔でしたが、合わせ鏡の配置の後再びアップになったシーンでは、無表情になっていました。これは、合わせ鏡により繋がった死者の世界から彼らの霊が写真に影響を与えたと考えられそう。そもそも最初呪われたような写真があふれる中であの家族写真のみが笑顔だったことを考えると、あの家族は自分たちの身に起きた不幸故に、幸せな家族の写真が許せずその対象を呪う。そして、呪いが完了した部屋の中では再び中央の写真が笑顔に戻るなんてことはありそうです。
また、部屋の中央に置かれていた荷物は、瑞穂さんが残した謎の包みとよく似ていたことを考えると、あの場で呪物を作ってそれの輸入と販売も並行して行っていた可能性はありそう。ラストに登場した血が付いたリュックも、そういった呪いをかけられたものの一つと考えられるのかもしれません。
Huyさんとカメラマン
ただ、今回の映像には、まだまだ不可解な点も多く残されており、気になるのはHuyさんなる人物とカメラマンの人がどうなったのかという事。
何やらHuyさんも屋敷に入る前に日本語で指示を受けているようで、持っていた荷物の手順に従って作業を行っているように見えました。つまりこの人が専門的な知識を持っていたわけではなく、あくまで現地で作業を実行するよう頼まれただけのように見える。とはいえ、Huyさん自身はかなり手慣れた様子だったことを考えると、瑞穂さんからの仕事をよく頼まれていた関係だったのかもしれません。
また、もう一人カメラマンを担当されていた人については、明らかに事情をよく知らないまま仕事に望んでいた様子。途中突然消えてしまったHuyさんを探して彷徨い、その果てに上の階にいた「すみまーせん。」と叫び続ける人を見てしまう。そこにやってきたHuyさんの指示の元、階段を静かに下っていくものの、最後の最後にHuyさんが何かをしてその後の消息は一切不明となってしまいました。映像のラストシーンはHuyさんが一人で屋敷を去っていくところで終わっており、どうやらカメラマンの人は屋敷の中に取り残されてしまったようです。
映像では何が行われたのかは見えなかったため、はっきりとはわかりませんが、あの場で呪いを行う上で生贄が必要だったという可能性はありそうです。そうなると、上の部屋で叫んでいた人は、以前にあの屋敷で呪いが行われた際に、今回のカメラマンと同じようにアシスタントとして呼ばれ生贄になった人だったのかも。なんにせよ、あのカメラマンは無事ではない事だけは間違いなさそうです。
娘は何を思うのか?
今回の映像、ベトナムでの映像も怖いところはありましたが、それ以上に母の不気味な遺品を嬉々として触る娘にもまた何やら恐ろしさを感じる。
怖いと口では語りながらも、何やらその奥にある好奇心は隠せない様子で包みを解いており、今回の考察が正しいのならあの母にしてこの娘蟻といった感じのする展開。
ベトナムからの輸入雑貨店は、仕入れも出来ないので畳むとは言っていましたが、あの手紙の住所を娘は知っているわけで、これからあそこに向かい呪いにまつわる事業は続いていくなんてこともありそう。
呪いすらもビジネスに仕立て上げてしまうというお話であるなら、そういう人間の怖さ的なものも描かれていたのかなという気がしてきます。
こちらは余談なのですが、今週配信されたトム&クーピーという漫画は、タイミングが近いこともあり何かあるのかと思っていましたが、映像を見る限りつながっている様子はなさそう。そうなると、こちらはこちらでまだ何か動きがあるのか気になってしまいます。
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