永久のユウグレ
2025年秋より放送開始。監督・シリーズ構成:津田尚克、キャラクターデザイン:齊藤佳子によるP.A.WORKSオリジナルの本格ラブストーリーアニメ、永久のユウグレ のプロローグ 0話『朝をこころに、一、二と数えよ』の感想文となります。
アニメのネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方はご注意してください。
朝をこころに、一、二と数えよ
アキラとトワサのラブストーリー
幼い頃に家族を失ったアキラが、トワサの家族として引き取られるところから始まった永久とユウグレ第0話。その10年後が描かれたのが今回のお話となっており、成長したアキラ・トワサの二人が互いに惹かれあっていき、恋人になるまでが語られました。
最初はアキラからの一方的にも見える想いを描きながらも、その裏でトワサからも同じ思いを抱えているのが明かされる。更にトワサ側からも効率を重んじる研究者的な側面を見せてからの、アキラへの想いを見せてくるギャップがなかなか良い感じ。とはいえ、どちらもまっすぐな性格をしており、見ていて応援したくなるカップル誕生までのお話といった感じで、時折もどかしくもあり、王道な恋愛エピソードという間でよかったです。
とはいえ、今回は第0話、さらに放送前の情報では1話以降に描かれる本編は遥か未来。ユウグレなるキャラクターが登場し、トワサの姿がないことから素直にハッピーエンドとはいかないのがわかっていたのがつらいところ。
トワサの行うAIとアンドロイド開発への反発と、そんな人たちを納得させるためのトワサによる新たなプランの発表。何やら不穏な空気が漂っているのはわかりましたが、それに納得のいかない人物の凶弾によりトワサは撃たれ、それを庇ったアキラも大怪我を追ってしまう。このあたりは、こうなる事は予想できていましたが、やはりみていてつらい展開となってしまいました。
ただ、人間に人工知能を埋め込み一体化するというアイディアは、今のAIを恐れている人にはとても受け入れられいものというのもよくわかるのがちょっと難しいところ。やったことはともかく、やはりどこかトワサが人がAIを恐れる根本的な部分を理解できていなかったようにも思える。だから撃たれてもよいとかそういう話ではありませんが、こういう部分は一筋縄に解決できる問題ではなさそうで難しいところです。ともあれ、このAIに絡む人の対立は未来のお話でも何か絡んでくる気もしますね。
未来の世界
まさにバッドエンドといった形で終わった第0話ですが、そのラストでは、アキラは目覚め、本編である未来の姿が少しだけ描かれることになりました。
目覚めたアキラの背中には、トワサを庇って着いただろう三つの弾痕が描かれており、アキラ本人であることは間違いがなさそう。
それに絡んで思い出したのが、0話の2:32秒頃のアキラが見たニュースのシーンに、何やら冷凍睡眠技術という言葉。改めて見てみた所、王真樹トワサ博士による冷凍睡眠技術に革命との記事があり、次世代冷凍技術『ゼノ・クライオシス』とのことで、細胞内部に特殊な自己修復因子を生成することで、コールドスリープ時の低温によるダメージを即時に修復するものとのこと。
これにトワサが関わっていたとのことで、アキラはこの技術を使って未来にコールドスリープすることになったというのが一番それらしい展開か。
もう一点、気になるのは、トワサの語っていたAIと人の一体化による進化という話も、未来のお話に絡んで来そうな気がします。アキラがそうなのか、はたまた、未来の人がそういう技術の元生きているなんてこともあるのかもしれません。
そんなアキラですが、目覚めてみた外の景色は、ビルを植物が侵食し、地表に大穴がいくつも空いたポストアポカリプスという言葉を連想してしまうもの。
隕石による自然災害か、はたまた、AIに絡んだ対立の果て人類同士による戦争の結果か。この景色だけではまだ何もわかりませんが、果たして次回何が語られるのか気になるところです。
イチキシマ
0話の描写の中で気になったのは、イチキシマと呼ばれているトワサをサポートしていたAI。トワサは、その人格の発展具合からAIではなく、AP(人口人格)なのでは?と言われるほどの情緒を備えていたようです。
そんなイチキシマ、今回のお話の中でも、アキラとトワサを見て、あなたたちが羨ましいという発言もあり。未来の事はまだよくわかりませんが、もしかするとイチキシマもアンドロイドの得て未来に登場するなんてこともあるのかもしれません。また、本編でのトワサがどうなっているのか?という点から考えると、人と機械が一体になって進化するという関係を自ら示して、トワサとイチキシマがその第一人者となったなんてこともあるのかも
しかし、トワサに関して気になるのは、果たして彼女はあの後どうなってしまったのかという事。冷凍睡眠技術が確立されて、アキラが助かっていたとするのなら、トワサもまたその技術で滅んだ後の世界にいてもおかしくはなさそうな気もする。そうなると、本編はトワサを探すお話となっていくなんてこともありそうです。
未来の世界でトワサは死んでしまっているのか、はたまた、何らかの形で生きているのか。どちらにしても、イチキシマは、未来の彼女の情報に迫る鍵となるなんてことはありそうです。
サブタイトルは何を意味している?
色々と気になるところが多い第0話でしたが、その中でも最後までわからなかったのは、今回のサブタイトルである『朝をこころに、一、二と数えよ』という言葉。てっきり、0話の中で登場するセリフなのかと思って見ていましたが、どうにもそれらしきものはなし。最初のお話のサブタイトルとしては何となく意味は理解できますが、このサブタイトルにも何か意味が隠されていそうな気がします。
既に1話の予告は公開されており、サブタイトルは『星の海に魂の帆をかけた女』とのこと。サブタイトル同士に繋がりがあるのか、はたまた、0話のサブタイトルが特別なのか。次回でそれが明かされるのか、はたまたもっと後になるのか、こちらも今後気になる所となりそうです。
0話感想まとめ
アキラとトワサ、二人の関係が変わる瞬間をみっちり描いた0話といった感じで、この話があるからこそ本編でのトワサがどうなったのか?という点に強く興味を惹かれそうなお話でした。これをあえて1話とせず、0話としたのも、やはりこれが前日譚、次回からの未来の話が本編であるからこそといった感じがしてよかったです。
また、こういう大きな展開が最初に仕込まれる作品だと、あえて隠しておいてなんてプロモーションもできそうですが、それをあえてしないというのもなかなか面白く、ある意味でそれだけ自身をもって届けようとしているという事なのかもしれません。
未来の世界がどうなっているのか、トワサがどうなったのか、明はこれから何を目指すのか、色々と興味を惹かれる0話となっており、次回の放送が楽しみです。
コメント