2026年4月10日に公開、原作:青山剛昌 監督:蓮井隆弘 脚本:大倉祟裕、による映画『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』の感想・レビューです。ネタバレも含みますので注意してください。
劇場版 名探偵コナン ハイウェイの堕天使
バイクアクションが良い感じ
お話的には、今回被害者ではないオリジナルの登場人物のほとんどがそれぞれ立ち位置が違うながらも犯人だったり、そもそもルシファーがエンジェルそっくりだったりと、先の展開は予想しやすい物でしたが、エンジェル開発者の中でも更に対立する軸があったり、過去のそれぞれの因縁を事件の動機として絡めていたりで、最後まで楽しんでみることができました。
ただ個人的には、首無しライダーの事件はちょっと残念に思う所もあり。序盤に自動運転は不可能、という話をわざわざしていたので、てっきりこの謎にもうひとひねり何かあるのかなと期待していたのですが、ただ人形を乗せていただけ、という答えでした。しかし、そもそも自動運転は不可能と言っていたのが犯人だったので、これに関しては仕方ないのかもしれません。
予告では千速の過去に関係するような爆弾要素がピックアップされており、話の軸に関わってくるのかなと思っていましたが、あくまで証拠隠滅の一環という程度でそこまで大きなものではありませんでした。それでも、萩原研二や松田陣平の過去のやり取り、それを今の重吾につなげる展開は良い感じ。今回の映画では、既に死んでいる二人に絡む話が主題となったわけではありませんでしたが、そのあたりも既に千速は乗り越えているが故なのかも。そういえば、本作の犯人の一人である霧子さんが、弟の死に未だ縛られていたことを考えると、弟に対する意識は千速と対比する面もあったのかもしれません。
アクションシーンに関しては、バイク周りの動きがなかなかド派手で見ていて楽しいものが多い。ただ、千速さんの運転は、序盤からなかなかに過激なものが多く、いきなりの壁走りなんかは思わず笑ってしまいました。そういえば、いつもならコナンのスケボーでやっていそうなラストシーンのアクションも、バイクが題材とした本作なだけに、まさに言葉の通りぶっ飛んだ走りを見せてくれたのもよかったですね。
また、コナン映画と言えば派手な爆発ですが、上映前からピックアップされていた爆弾が積まれていたバイクの方は思ったほどではなくちょっと寂しく思う。ただ、代わりに終盤のヘリコプターパートは、ここぞとばかりにド派手に爆発していて面白かったですね。
もう一つ忘れてはいけないのは、蘭に絡む描写。終盤、蘭が攫われたと知った時のコナンの態度なんかも非常に良い感じ。ただ、一度目覚めてしまえば、一応腕は縛られていたはずなのに、あっさり突破して二人を捕まえてしまっていて少し笑ってしまいました。新一・蘭の描写は、そこまで多いわけではありませんでしたが、その辺は来年の映画がまさに本題といった感じなので期待したいですね。
しかし、今回のコナン君、調査開始があまりにも早くて少しびっくりしてしまう。特に世良の靴に発信機を付けたあたりは、序盤も序盤、何やら事件の匂いがする程度の状況で動き出しておりちょっと怖いぐらい。盗聴器、発信機とまだ事件もはっきりしていないのに動き出していたコナンに、蚊がいたと歩美ちゃんのパンチが入ったあたりは、一瞬やりすぎを怒られたのかと思って少し笑ってしまいました。
アサギさんのトロフィーについて
ルシファーのドライバーであり、千速の警察としての先輩であったアサギさん。今回の事件の犯人の一人ではありましたが、過去の事件によりバイクという自分の大切なものを失わされた傷を背負ったキャラクターでもありました。
そんな彼女、自身の復讐よりも、千速ともう一度戦いたいという想いがそこにあったようですが、そのあたりはちょっと描写的に薄めになっていたようにも思える。ただ、彼女の優勝トロフィーが描かれたシーンの中に、準優勝のものが紛れ込んでおり、この辺が彼女が千速との勝負を求めていた一つの理由だったのかもしれません。
ただ、アサギさんが警察であることを捨てて千速に強い想いを向けていたのに対して、千速はあくまで警察官として事件の解決のために動いていた、というのが本作で好きなところ。ルシファーに乗るアサギさんとの勝負にのったようで、その目的はルシファーの裏にいた人物を探り出すこと。最初から、コナンの作戦に合わせていただけで、その目的は事件を解決させるという事にある。
アサギさんが警察という立場を捨て、悪魔に魂を売った本作の堕天使を象徴するようなキャラクターだったからこそ、それに対する千速が警察という立場を貫き通したというのが本作の話の筋を描いているようでした。
そんな今回の映画の警察の描写としては、共にエンジェルを任されていたドライバーの方の、咄嗟に無人車にぶつける流れなんかも、さりげないシーンながらも数少ないエンジェルのドライバーに選ばれるだけの事はあることを示しているようでよかったです。
千速と重悟
今回の映画のメインキャラクターとなった、千速と重悟。映画中、二人で話すシーンは結構ありましたが、終盤二人が別行動、対ヘリコプターのシーンでもミニパトの上を潰して乗せた割にはさほど出番もなく、思ったほど二人を描くお話ではないのかな?と思っていたところに特大の爆弾が放り込まれる。
それは、クライマックスの重吾が千速をキャッチしたシーン。更にその後の演出があまりにもおしゃれすぎて流石コナン映画としか言いようがないものがお出しされて少し感動してしまう。
刑事服とルシファーのレーシングスーツを身にまとった二人、その黒い服がまばゆく照らされるライトで真っ白なタキシードとウェディングドレスに見えるという、ちょっとやそっと頭をひねったぐらいでは思い付くこともなさそうなこの演出、直前の重吾の回想も相まって、この映画のクライマックスにふさわしい物でした。
その後のシーンでも、いつもはからかわれてばかりの重吾が、ここぞとばかりに千速にやり返しており、いつもの凛とした感じとは違う彼女の一面が見えたというのもよかったですね。
今回の映画での二人、直接的に二人の関係がどうのというものが描かれたわけではないですが、互いの気持ちがうっすらと見えてくる塩梅が良い感じ。昨年も映画のお話に関連したテレビエピソードが後日放送されましたが、今年もそういうものがあるなら、この二人のお話となるのかもとちょっと期待してしまいます。
2027年はロンドン 新一と蘭
そんな本作、上映開始前からXアカウントで予告に期待、といった感じの投稿がされ、来年は30作品目という節目でもあり何があるか期待していましたが、やはり新一と蘭、二人をピックアップした映画となる様子。
予告のセリフは過去の原作の告白エピソードに関わるもののようで、それに絡んだ新たなお話となるのか、はたまた、リメイク的なものとなるのか、色々と気になる所で、来年の映画が実に楽しみです。


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