2025年8月27日配信開始、週刊少年サンデー2025年38号で連載されたよふかしのうた楽園編最終回「ブラックデビル」と作品全体の感想記事です。ネタバレもあるので注意してください。
週刊少年サンデー2025年39号
よふかしのうた楽園編 最終話「ブラックデビル」が掲載された週刊少年サンデー。
最終話 ブラックデビル
楽園と呼ばれる教団の全てが明らかとなり、警察が出動、教団にまつわる事件は解決となりました。
今回、はっきりと潮様はあくまで偽物の吸血鬼であることが明らかになる。これに関してはこれまでの話からも予想できるものでしたが、それでも、彼女が身に着けた美しさは人を勇気づけるという流れが、彼女が吸血鬼を求め続けてきた気持ちが決して無駄ではなかったように見えてなかなか良い感じ。
そして、そんな潮様が美容法のコツとして伝えたのが「よふかしをしないこと」だったというのは、ある意味で本作のタイトルにも含まれるよふかしを否定するものであり、それが彼女のキャラクターを描得居ているようでした。過去に吸血鬼と関わりこそあった彼女ですが、それでもあくまで彼女の話は人間としてのお話で、吸血鬼と出会う事がなかった理由にもなっているように思えます。
また、1話で登場したり、途中で二人を助けてくれたりと、なかなかキャラの濃かったおじさんにも最後にまさかの大きな見せ場が登場。最後に潮様との関係が大きく拾われたのも結構好きなポイントで、この点も潮様のお話はあくまで人の枠の中のお話であることを強調しているようでした。
そんな本作、結局吸血鬼に絡むお話はない物かと思って読んでいましたが、今回の話の扉絵が登場するのは事件が解決後。ある意味ここからが本当の意味での最終回、お話は原作の最終回のエピソードへと続き、楽園というタイトルの意味が明らかになり、今回の短編が、ナズナちゃんへつながるお話だったというのが明らかになるのもよかったですね。
流石に、ナズナちゃんの出番なしで終了では寂しかったですし、最終回までの間をつなぐお話といった感じに綺麗にまとまったラストとなりました。
全体の回想
ナズナちゃんの出番なし、時系列もどのタイミングなのかよくわからないまま始まった本作でしたが、最後の最後にきちんとよふかしのうた本編へと繋がるお話となりなかなか満足感のある短編でした。
吸血鬼が登場しないお話ということで、全体的な話の展開がどこかの因習村に挑むオカルト作品のような様相を呈していましたが、合間合間に挟まる緩いツッコミやボケの雰囲気が実に本作らしい。なんだかんだ、重い雰囲気にならず読んでいて楽しいエピソードが多い。そして、先ほども書きましたが、潮様と関係が深かったおじさんは、ちょっとホラーっぽい雰囲気の中に差し込まれるコミカルな要素といった感じでよかったですね。
全体的には、吸血鬼が絡んでいるのか?楽園とは何なのか?といろいろと考えながら読むところも多く楽しめました。
ある意味楽園編で最終回までのつながりを描いて完結といった感じですが、何やら次号には早速作者による新たな読み切りが掲載とのことでこちらも楽しみです。
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