2025年11月22日にジャンプ+にて原作:南田 冬 作画により連載開始した漫画『生活マン』の感想記事です。ネタバレを含みますのでご注意ください。
生活マン
シュウヤ君と生活マン
何やら妙な顔立ちをしたヒーローが目立ちタイトルの生活マンと、どこか緩い感じのヒーローギャグマンガが連載開始と思い気軽に読み始めてみましたが、その絶妙なネタの出し方、話の振り方・進め方が非常に気に入ってしまいました。
今回のお話は0話・1話の同時連載となっており、私はそのことに気付かずに読み始める。0話はシュウヤ君とバイト先のテラダ君、ウエノさんの3人を中心に話は進み、シュウヤ君が苦労しながらも頑張ろうとしていく様が描かれる。このあたりは、不器用ながらも頑張るシュウヤ君が、生活マンになるエピソード0的なお話なのだとばかり思っていました。
しかし、シュウヤ君が、ウエノさんと二人で遊びに行くことになり、少し話の流れが変わってくる。二人のお出かけは、映画の後の予定を立てて居なかったり、座ってと言われて言われるがままに座っていたりと、ちょっと微妙な空気を感じさせる。ただ、それでもシュウヤ君はウエノさんの事が好きだと一人盛り上がっており、何やらよからぬ方向に進みそうな気配が見えてくる。
そこからのシュウヤ君は、ウエノさんの気持ちがテラダ君の方に向いていることを知ってしまい、まさにどん底へと落ちていく。テラダ君もいい人なのはこれまでの話でばっちり描かれていたが故に、他人へと当たり始めてしまうシュウヤ君。
どうしようもない感じにやけくそになってしまった彼が、果たしてここから彼がどう生活マンになるのだろう…などと思い読み進めていましたが、生活マンはまさかの別人。緊張感あふれるシーンに突然現れる生活マンのどこか緩い空気に思わず笑ってしまいました。
そして、始まる1話
突然の暴力をふるいそうになったシュウヤ君を救った生活マン。この緩急溢れる話の流れと、割とシュウヤ君のこと自体はどうでも良さそうな空気感に次回が楽しみだなと思っていたら、まさかの1話が続いておりさらに笑ってしまう。
そして始まった1話。てっきり、シュウヤ君の話が続くのかなと思っていたら、完全に別軸のお話。というよりも、むしろこの1話の方が生活マンの本題といった感じでした。
キノコのピザ、シェアするという発想が抜けていた点、そもそも、好き嫌いがない事を誇っていた彼が、それを恥ずかしく思うまでの心の動き。帰りの運転中という、絶妙にそういう考えに浸ってしまいがちな瞬間をじっくり描いていくのが、何とも生々しく面白い。
相手の女性からの、楽しかった、また来ようね、という言葉は生活マンに対して本心を告げていることはよくわかる。そして、おそらく生活マンもそんな相手の気持ちは理解していているだろうに、それでもなお、自分自身の今日の対応を恥じる気持ちを止めることができないという、自らの心を傷つける感情を抑えられない点はどこか共感してしまう所があり、つい応援したくなってしまいます。
何とも言い難い日常の中にある、表には出せない気持ちがこもったあるあるなお話をうまく捕えて描かれいるお話といった感じで非常の好み、次回の更新も楽しみです。


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