世界史を大きく動かした植物
この本で描かれるのは、珍しい植物ではなく、世間でもよく知られている一般的な植物。普段何気なく食べている、『トマト』、『たまねぎ』、『じゃがいも』、『大豆』、こういったものの特徴を歴史への影響を重ねて伝える中で、当たり前にある食べ物の不思議について考えさせられる本でした。
なぜその植物が一般的になったかという点を、この本を読んでから改めて思うと、それだけ影響力を持っていたからということなのを実感させられた。
植物と人の関係と歴史がうけた影響
何となくぼんやりと知っていた世界の歴史と、その植物の人に受け入れられた特徴が重なって見えてくることで、歴史の流れに一つの実感を持つことができ面白かったです。
世界中ありとあらゆるところに植物は存在し、その植物を利用して人は生きている。しかし、見方を変えれば植物により人は生かされており、ある意味植物のために人は、様々な苦難を受け入れざる負えなくなっている。
それは、単なる食料というだけではなく、衣服、機械の発展、そして、果てはお金との密接な関係を持つこともある。おそらくこの本を読まなければ、疑問にも思わなかったことを改めて知ることができ面白かったです。
トウモロコシ宇宙から来た説
作中で面白かったのは、『トウモロコシ宇宙から来た説』でした。これについては、トウモロコシの特徴や、その特異性を説明される中で、何だこのトウモロコシって植物は?とう感想が頭に浮かんできた。更にトウモロコシとの関係が深い、マヤ文明との関連を読むうちに、マヤの伝説とトウモロコシ、そして人種についての思いがけない関係を知り、素直に驚いてしまいました。
少し残った疑問点
読んでいて気になったのは、大航海時代におけるビタミンCの話や、江戸の河川敷の桜の花など、その植物における栄養価や、特徴などを具体的に人が知っていたから人の生活に溶け込んだように書かれていたところ。実際、当時の人が、そういった具体的な栄養価により、食べる植物を選んでいたのか?という点は疑問が浮かんだ。
当時の人がその栄養を知っていたからそれを選んだとは思いにくく、どちらかというと経験の中から、その植物が人が生きるのに必要と思い選ばれていったのかなと感じました。
日本人の心と桜
花見をルーツとする宴会は、現代では、徐々に忌避されるものへと変わってきている気がします。そういった人の心の変化は、その原点である農耕での協力、働き方の感性が、現代人からすると離れたものとなっていることに起因しているのかなと思いました。
最後は花見なども含め、『サクラ』で締めるのですが、どことなく切なさを感じさせるお話を展開してきて、一冊の本の締めくくりとして情緒ある終わり方をしていてよかったです。
感想まとめ
評価:
植物が歴史に与えた影響にたびたび驚かされました。さらに、逆に知らなかった世界の歴史に対して興味を持つこともできたのが面白かったです。
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