さようならプラスチック・ストロー
絵:ディー・ロミート、文:ズユェ・チェン、訳;千葉茂樹による絵本『さようならプラスチック・ストロー』の感想記事です。2024年小学生中学年の部の課題図書作品ということで、ちょっと面白そうだったので読んでみました。
ストローの歴史
タイトルからイメージする本作のイメージ通り、最終的にはプラスチックによる環境汚染の話となるのですが、作中半分ほどはストローの歴史を語る本となっています。
シュメール人たちが、ビールを飲むためにストローを作った理由、そこから始まった葦によるストロー。そして、そのストローがどのようにして、現代のプラスチック・ストローとなっていったのかという点が、その変化の理由と方法をシンプルな文章と絵によって語られるわかりやすいお話でした。シンプルにストローの歴史をなぞる本としても面白かったです。
歴史を語る上で必要となる、紙ストローの特許の取得などの話もきちんと描いており、対象年齢の子供たちには、ちょっと難しい言葉なども出てきますが、わかりやすく説明しようとしているようです。もしかしたら、この辺疑問に思った子は自分で調べたりということもあるのかもしれません。
プラスチックストロー
そして、ストローの歴史をなぞったうえでプラスチック・ストローの登場から、新たに発生してしまった問題へとお話は切り替わっていきます。
プラスチックのストロー、そして、他のプラスチック製品も含めた海洋汚染などのエピソードが語られる中で、海の生き物への影響が語られる。ウミガメの件、海鳥の件など、実際に起きた問題から、プラスチックのストローをどうしていくかを考えさせる内容。
個人的に良かったのは、主題こそプラスチックのストローをなくそうという話ですが、単にプラスチックのストローがよくないというお話だけを描くのではなく、プラスチックのストローを必要とする人もいる、というあたりも漏らさず描いている点。一面的な視点だけで何かをダメとするのではなく、だからここからどうしていくのかという点も描こうとしている作品でした。
昨今の事情から考える
昨今は、マクドナルドでの紙のストローに切り替えるという話など、実際に社会の中でも身近になりつつある話題。紙のストローは、環境にはいいかもしれませんが、この絵本でも触れられた過去のストローがもっていた課題を解決できていないというのも事実。
何かを改善するためには、例え途方もない事でも地道に考えて動いてみなければ始まらない。この本を読んで、どう判断するかは読者次第ですが、幼いころから一度そのことについて考えてみためにも触れてみると面白い作品かもしれません。
これからのストロー事情、プラスチック事情に思いをはせることになる本でした。
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