2024年春に放送開始の作品、監督水島努、シリーズ構成:横手美智子、キャラクターデザイン:西田亜沙子による『終末トレインどこへいく?』最終回に当たる12話『いつもって何だっけ』の感想文となります。ネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
12話 いつもって何だっけ
攫われた葉香
葉香を連れて装甲列車で逃げるポンタローを追いかける、静留達アポジー号といった感じのお話。前回押しても何も起きなかった7Gのボタンでしたが、やはり葉香自身がボタンを押すことが重要ということがわかる。元々、葉香を探しに来ていた面々、世界を元に戻すの方はだいぶついで感があるのにはちょっと笑ってしまいましたが、結局やることは同じと皆で追いかけることに。
何やら大量にゾンビが、アポジー号に乗り込んでいるなと思っていましたが、線路が途絶えた際には自ら線路になったり、必要となった7Gのボタンを持って来てくれたりと大活躍。ゾンビたちがいてくれなければ、どうしようもない場面もちらちらあり、あそこで仲良くなれていたのは本当に幸運。そして、ここまで格闘戦ばかりが目立っていた吾野弓術も、今回きちんと弓を発射。路線の変更を行っていました。
そんな中、以前再登場させる空気を匂わせていた渾沌も、ポンタローの指示の元妨害に参加。とはいえ、尺もないしそこまで重要な出番でもないので瞬殺。もはや、目的の葉香を目の前とした静留一行の前に敵ではないといった感じ。ポンタローは装甲列車の射撃をむやみやたらと乱射し妨害しようとするも、そのまま装甲列車が爆発。
追いついた静留達に対して、ポンタローは懐の銃を使って応戦。一瞬昌ちゃんがピンチになりましたが、後から追いついたポチにより助けられることに。ここまでの描写の通り、ポチ自身も葉香を第一に動いていおり、その点では静留達と同じ気持ちをもっている。だからこその共闘、無事葉香と静留との再会となりました。
とはいえ、この物語の始まりにあったのは、葉香と静留の喧嘩があり、再開できればそれだけで解決するという簡単な話でもない。二人のお話が、最後の物語の鍵となっていく。
静留と葉香
葉香との別れの際、どこか遠くに行ってしまいそうな葉香に対してひどいことを言ってしまったことを認める静留。静留自身のその時の声を発する葉香の拒絶。7Gの事件が起きるとか関係なく一人池袋に来ていた葉香だからこそ、自分自身の大切なものを、ひどい言葉で否定した静留を簡単に許すことはできないというのもよくわかる。
とはいえ、その静留がなぜそんなことを言ったのかという気持ち自体は葉香は理解しているけれど、それでもただ素直にその謝罪を認めることはできない。
最後に二人を後押ししたのは、ついてきてくれた仲間たち今楽しいかどうかという言葉。葉香が最後の一歩を踏みだすきっかけとなったのが、ついてきてくれた仲間だったというのはよい展開でした。
今の変わらない世界を元に戻すことで、再び世界を動かそうとしもう一度7Gおボタンを押すことを決める。最後の最後、ポンタローのあがきもありましたが、何やらまたちょうど落下してきたスワン仙人のおかげで解決。これまでもこの変わっていく世界を見てきた仙人だからこそ、この最後の場面にもふさわしい気がする登場でした。
世界は戻らず
ボタンを押したことで、見知ったような池袋の景色が戻ってくるも、あくまでそれももう一度変化した世界とのことで、結局全てが元に戻って終わりというEDにはなりませんでした。
ゾンビの方々なんかは、元の人間に戻るわけではなく、人間だったゾンビが人間に戻っただけとのことで、相変わらず女王を崇めるまま。大分景色は元に戻っていましたが、それでも何やら違和感のある物体は残る。吾野で動物だった人々は、何やら体だけ人間に戻ってしまい、余計不気味になってしまっていたりと、一度変わってしまった世界がきれいそのまま元通りとはいかず。
それでも、終末に向かって止まり続ける世界が、再び動き出すことができるという終わり方。吾野に帰るため再びアポジー号に乗って走り出す静留達。他の路線を走る電車を発見するというのも、世界がきちんと再び広がったことを表しているようでよかったです。
そんな中、ラストに語られたアポジー号と静留が名付けたその理由は、葉香との再会を信じてのネーミングといった感じで非常に良い雰囲気での最終回となりました。
全体的に軽快なテンポの会話劇中心で進むお話といった感じで、慌ただしさを感じさせつつも賑やかな空気が面白い作品。葉香と静留、二人の少女を中心にしたお話をきちんとまとめ上げており良い作品でした。
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