2023年7月6日に放送開始した円谷プロダクション、監督:辻本貴則による製作の2024年の新ウルトラマン『ウルトラマンアーク』。第5話『峠の海』の感想文です。
最新話のネタバレを含みますので未試聴の方は注意してください。
5話『峠の海』感想
山の中の海
山の中に海が突然できる、不可解な状況をいきなり突き付けられて始まったこの話。山の中に海、しかも、ちょっと水たまりができた程度の物ではなく、下手な湖よりもよっぽどしっかりした海水でできた湖が出来上がっているという状況に冒頭から興味をひかれるお話。
なぜ、山中に湖?という話から始まり、更にはそれが海水であるというより不可解な状況、海から来た怪獣が、海水を引っ張ってきたのではないかという仮説が立てられたりと、様々な原因を考え、そもそも怪獣がそこにいるのかを調べるというパートがなかなか見ていて楽しい。
SKIPの本文があくまで怪獣の調査にある点も今回改めて強調され、怪獣がいるかどうかの判断を任されるその役割、一般人に対する責任の大きさをしっかりと描き、それゆえに熱意をもってその調査に当たる隊員たちが行き来と描かれており、本作におけるSKIPの役割がよくわかるエピソードとなっていました。
牧野博士
今回登場した牧野博士、恐竜博士と呼ばれる人物で、SKIPの所長の恩師、更にはユウマの憧れの人という事で果たしてどのような人物かと思ってみていました。ここ何年か、ウルトラマンに出てくる恩師というと、何やら怪獣に絡んで事件を引き起こす側が多かったこともありましたが、今年の教授は本作のテーマでもある想像力の翼を広げて怪獣を調査するという熱意溢れる人物。このあたりもウルトラマンアークらしいお話なのかなという気がします。
何やらこの博士に対して、所長はいぶかし気な表情を浮かべていましたが、それに関してはかつての所長と牧野博士の間にあった出来事が関係。かつて、怪獣の化石だと思って所長に見せたものを、博士に怪獣などいないと否定されたという事があったからだった様子。
今回その二人の過去のエピソードが、塩の発見につながり、怪獣自体が塩を生み出しているという話につながるというのは、きれいな話のまとめ方でした。
ちょっと気になったのは、その時点では牧野博士すら怪獣の存在を認めてはいなかったという事。つまるところ、一般体に怪獣が認識されたのはモノゲロスが襲来したとされるK-DAY以降ということの様子。このあたりを踏まえてみると、地球防衛隊の装備が戦車や銃だったりと、現代的な装備の延長上のものを活用しているあたりも、怪獣対策ということ自体が割と最近始まったばかりという事を踏まえた話なのかなと思わせてきて面白いです。
怪獣の撃退が終わった後も、なぜ塩を怪獣が生み出していたのかという点で熱く議論を交わしていた教授と所長。想像力の翼を広げるのは子供だけではないというのが、よくわかるお話でした。
巨鯨水獣リヴィジラ
そんな塩を生み出す今回の怪獣。その名に鯨とついているだけの事はあり、視界の悪い水中でもエコーを発してウルトラマンの位置を探り的確に攻撃、高速での水中移動となかなかの強敵でした。
水中でのバトルという事で、ウルトラマンアーク自体も水の中に突入。地上でキューブを構えたかと思いきや、水の中で変身するユウマにはちょっと笑ってしまいましたが、あれは単に演出なのか、周囲に人がいる故に水の中で変身するしかなかったのかは気になる所です。
水中での戦い、体からあふれたり、地面についたときの衝撃で出てくる泡の描き方が丁寧で、本当に水の中で戦っているのではないかとちょっと思ってしまうようなシーンもちらちらあって凄かったです。そういえば、今回はミニチュアの演出も結構ありましたが、特に水が流れ込むシーンは、勢いあってよかったですね。
そんな水中戦で描かれたリヴィジラに対抗するため、アークは何やらバリアを加工。プロペラのようにして水中を飛ばすことで、音で探知する怪獣への囮として使う。更には、木を引っこ抜き、額の射出穴に差し込むことで相手の攻撃を封じるとなかなか容赦のない戦い方。発射できないのを見てふふん!と胸を張っているシーンはなかなか可愛げも感じられました。
かくして、リヴィジラは撃破、何やら塩分濃度も下がっていくとのことで、いずれ湖もなくなるのではないか?と締められましたが、被害的には結構大きそうな気もするエピソードでした。
様子がおかしい石堂さん?
次回は石堂さんに焦点が当たるお話とのこと。非常に良い人という印象ながらも、何やらSKIPに隠し事もしている彼ですが、予告の感じだと次回の様子のおかしさは、その隠し事とは関係がなさそうな個人的なエピソードのような気がします。
旅館の疑惑の目を向ける石堂さん、さらには怪獣まで現れて、とのことでさっぱり何が起きるのかわからない感じですが、なかなか楽しみです。
見逃し・配信情報
Youtube『ウルトラマン公式 ULTRAMAN OFFICIAL by TSUBURAYA PROD.』にて見逃し配信が行われているようなので、気になる部分は見返すことも可能。
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