2024年夏より放送開始の作品、えーでるわいすにより制作されたゲーム『天穂のサクナヒメ』を原作とし、監督:吉原正行によるアニメ化作品『天穂のサクナヒメ』 5話『きんたの恩返し』のゲーム未プレイでの感想文となります。ネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
5話『きんたの恩返し』
きんたとゆい
今回は、きんたとゆいに焦点が当たるお話となりました。何やらひたすらにきんたに尽くすゆいと、それをないがしろにしているように見えるきんた。二人のどことなく違和感のある微妙な関係の理由が描かれる。
サクナヒメが間に入るも、すれ違う二人。手拭いが必要と思い付きで伝えてしまったサクナヒメに対して、ゆいも、てっきり余計なことをと怒るのかと思いました。しかし、サクナヒメが自分を思っての行動としっかり認めてくれたのは、序盤での不和を見ていると、これまでの共同生活でそれぞれの関係が深まったことを感じさせる展開でした。
これまできんたは異様にゆいの事を嫌ってるように描かれており、正直何故そこまでゆいを嫌っているのかというのは結構大きな疑問だったのですが、今回は、そのあたりにはっきりと触れる内容。きんた自身は、自分の事を常に気にかけてくれるゆいの事を最初こそその理由がわからず不安に思っていたものの、それでも大切に思うようになっていた。しかし、大切に思うがゆえに、きれいなゆいが、自分に構う事で不幸になると突き放そうとしていたというのは、これまでの話がしっくりくる落としどころでした。
ゆいを助けるためにきんたが渡した櫛は、どうやらきんたの手作り。石を加工したものの様で、もしかしたらサクナヒメに頼んでいた黒曜石を加工したものというものなのかも。いくらゆいを突き放そうとしても、あれを隠れて用意していたという事自体がゆいの存在に感謝していることを示している。まさに抑えきれない気持ちといった感じでよかったです。
ゆいの秘密
そして、今回のゆいの秘密も明かされる。織物をしている間は、声をかけてくれと言ったり、サブタイトルについた恩返しといった要素から、何やらツルの恩返しを連想しながら見ていたのですが、まさにそれを題材としたお話だった様子。
かつて助けられたツルであったゆいが、その恩返しのためにきんたの元へやってくる。しかし、きんたからすれば助けた覚えもない女に付きまとわれるという事で不安しかない。それでも、恩を返そうとするゆいに対して、きんたが少しはその気持ちに報いようとしたがゆえに、逆に一番見られたくないツルの姿を見てしまうというなかなか皮肉な展開。
ツルになり飛び立ってしまったゆい、原典であればここでおしまいですが、本作は神様が隣にいる物語。サクナヒメに奮起されたきんたは、ゆいを探して話は進む。再開した二人でしたが、ゆいは人の姿にはもう戻れなくなってしまっている。しかし、きんたが隠して作っていた櫛により再び人の姿に戻ることができハッピーエンドとなりました。
ツルが人の姿に変わった理由については、神様もいる世界なのでそれに絡んだものと予想していたところ、宇宙船?のようなものが出現。サクナヒメ達曰く何やら神でもないとのことで、ちょっと唐突感もあり笑ってしまいました。まさかの羽衣に絡んでいる要素とのことで、今後の話に何か関係してくるのでしょうか。
正直宇宙船?周りは唐突感がある展開でちょっと頭に疑問も浮かびましたが、これまでゆいが大切であるがゆえに、ゆいをないがしろにしてきたきんたが、逆にゆいを人の姿に戻すために恩返しするという流れがきれいに1話にまとまっていて面白かったです。
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