2024年7月6日に放送開始した円谷プロダクション、監督:辻本貴則による製作の2024年の新ウルトラマン『ウルトラマンアーク』。第9話『さよなら、リン』の感想文です。
最新話のネタバレを含みますので未試聴の方は注意してください。
9話『さよなら、リン』感想
山神サトル
今回はりんの恩師である山神サトル先生が登場。こちらはSKIP本部の怪獣対策に当たる方とのことで、今回冒頭で行われたネロンガの捕獲作戦に協力していました。
最近の怪獣はウルトラマンにより破壊されてしまう、だから貴重な完全なサンプルが入手できたと語っていた際には、当のウルトラマン本人であるユウマがちらっと申し訳なさそうな顔をしていたのにはちょっと笑ってしまう。
今回は、この山神とりんを中心としたエピソードという事で、りんの過去が語られることになりました。
何やら山上が教授をしていた時代に、勝手に授業に入り込み教わっていたりん。彼と共にある中で、少しずつ単なる恩師とは違う思いも募っていくのが見て取れる。そんな中、婚約という話を切り出された中で、どことなくショックを受けているりんのシーンでは、表面上は大切な恩師である体で話は進み、言葉では恋しているといった描写はなかったものの、きちんと失恋のエピソードとして受け取れる形になっている。
りんとの過去がある故に、りんに見抜かれていた嘘をつくときに口元に手を当てるという癖、本人も気づいていない様子のその癖を、かつて山神に思いを寄せていたりんだからこそ気づくことができたというのは、りんの山神へ寄せる思いの津陽差を表しているようでした。
また、今回のラストでは、嘘も付けるようになったんだな、と冷たくりんを突き放し、過去のことないと言い放った山神でしたが、最後の最後でこの描写を差し込み、本心はそうではないという事を見せている。ある意味、最後の最後、りんが自分の事で悩まなくてもよいようにとの思っての行動。そして、この最後の手の描写だけは、りんには見せておらず、視聴者にのみ見えているものだったというのも趣深い演出でした。
罪を犯した山神、過去との決別をしたりん。そんな、りんを励ますのは自分が作り上げたユピー。山神の教えから繋がった今の自分の道を、これまでの自分の頑張りが支えていることを示しているようでよいラストでした。
未来か、今か
山神が犯した罪は、回収していた怪獣のサンプルを海外に勝手に販売していたというもの。当然、そんなことは許されるはずもなく、その罪が今回明らかになり捕まってしまう。
しかし、彼の言う未来のために、今の研究を大事にするという話も分からないものではない。怪獣という、人間の科学力の範囲を超えた生物の調査を行い、それを技術として体系化できれば、それは人類にとって有益なものになるだろうという考え。未来のために、今の研究を大事にするという話も分からないものではない。
特に、今回は彼自身の子供が生まれたというエピソードが挟み込まれたことで、行動の根っこにある未来の人たち、自分の子供のために、という気持ちがシンプルに受け取ることができるのは、単なる科学技術の探求を求める科学者とは違う温かみのようなものが感じられるお話でした。
とはいえ、それは人一人の勝手な決断の上で行われて良いことではないというの考えも間違ったものではない。最後に、リンの語った相談してほしかったという言葉も、一人で悩むのではなく、誰かと共に動くべきというメッセージが込められていたように思えるお話でした。
次回 遠くの君へ
宇宙との交信を行う少年と宇宙人とのエピソード。その信号を元に怪獣が襲撃してくるとのことですが、これまでのアークでの話を考えると、宇宙人との交流自体は悪意のないもののようにも思えます。
果たして、少年と宇宙人、二人の関係はどのような終わりを迎えるのでしょうか。
見逃し・配信情報
Youtube『ウルトラマン公式 ULTRAMAN OFFICIAL by TSUBURAYA PROD.』にて見逃し配信が行われているようなので、気になる部分は見返すことも可能。
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