HUNDRED LINE 最終防衛学園
Aniplexより2025年4月24日に発売される極限×絶望”のADV『HUNDRED LINE 最終防衛学園』のSteamDEMO版が、2月19日に配信されましたのでその感想と気になった部分の考察記事です。
DEMO版のネタバレも含まれますので、未プレイの方は注意してください。なお、DEMO版はボイスなどすべて聞かずにテキストを読みながら進めましたが、プレイ時間は3時間程度となりました。
とってもダンガンロンパな冒頭
本作のビジュアルを見た瞬間、知っていれば誰しもが思うだろうダンガンロンパの新作かな?という感想を徹底的にネタにした展開が続くDEMO版序盤の展開。こと体験版範囲においては、全体的にダンガンロンパのセルフオマージュなのだろうなと思わせる展開が続く。宅海が教室で目覚めるシーン、SIREIの登場シーン、どこかでみたようなUIや教室、ダンガンロンパをプレイしているとあまりにも似通ったシーンが度々登場して序盤から思いっきり笑ってしまう。
学校内の探索パートや、会話のシーン、それぞれのキャラクター紹介のシーンなんかももろにダンガンロンパっぽい演出が度々重なり、わかりやすく狙ってやっているようでした。
特に飴宮怠美は、現状をデスゲームと捉えてテンションが上がっており、この子の発言が余計にダンガンロンパらしさを感じさせてくる気がする。SIREIなんかも、クラッカーを鳴らす立ち絵にモノクマの顔がちらっと混ざっていたりと、もはや隠す気もないダンガンロンパっぷり。
そういえば、これまでのゲームの紹介でも時々映り気になっていた巨大な金庫のような扉は、ダンガンロンパを知っていると何やら非常に意味深なもののように思えたのですが、いざゲームで選択してみると、ただの冷蔵庫の扉でちょっと笑ってしまいました。
ただ、そんな体験版の終盤には、ダンガンロンパであればモノクマに値するだろう、マスコットキャラクターであるSIREIがズタボロにされてごみ箱に捨てられるという衝撃的なシーンが挟まれることになる。それまでの話を主導していたキャラクターの死を描き、この先の展開をより混とんとさせる話運びでもあるのでしょうが、ダンガンロンパであれば黒幕であったモノクマに当たるマスコットキャラクターの死を描くことで、ここからはダンガンロンパとは違う作品だ、と明確にプレイヤーに見せようとしているのかなと、と思わせてくる展開でした。
死ぬことを求める戦闘 しかし殺していいのか?
本作の戦闘パートは、マス目に配置されたキャラの行動を決定し戦うというSLG的な戦闘となっています。ただ、本格的なSLGというよりも、攻撃位置に綺麗に敵をはめる防衛パズルゲーム的な感じでそこまで長丁場となる感じではなさそう。個人的には本作はADVゲームとしてとらえており、シナリオを追う事こそが主な目的のゲームかなと思っているので、戦闘パートが軽めになっているのは良い感じでした。ただ、まだ序盤だから軽い戦闘という可能性もありそうで、終盤になれば長丁場でガッツリとした戦いとなるなんてことはあるのかもしれません。
そんな本作の戦闘で、ちょっと気になるのは本作におけるキャラクターの死の軽さ。最初の戦いはチュートリアルのようなものだったので死ねば終わりでしたが、本番となる2回目の戦いからは、死んでも次のWAVEには復活、体力が減れば命をかけて放つことができる必殺技に、果ては死んだほうが試合結果にボーナスが入るなんてシステムまで用意されており、まさに味方を殺して勝ちきれと言わんがばかりのお膳立てがされている。
仲間の死と復活は、ゲームのシステムであるといえばそうなのですが、本作が周回して分岐を何度もやり直すことを前提としたADVゲームであることを考えると、キャラクターを容赦なく死なせて戦っていくとこと自体に何か悪い影響や、シナリオに関わる要素があるのではないか?とも思わせてくるのが面白い。
体験版範囲では、分岐にあるのは最初の選択肢のみ、更に戦わないことを選ぶとゲームオーバーでそのまま再開と、今のところは一本道である本作。この戦闘システムにシナリオに絡んだ意味があるのかという点を含めて色々と気になってきます。
DEMO版全体のまとめ
序盤こそまさにダンガンロンパな雰囲気をバンバン出していましたが、先に進んでいくと段々と本作の色のようなものが見えてきたように思えて面白い。
戦闘パートは、話の本筋の邪魔をしない程度のシンプルさといった感じに小さくまとまった感じもしましたが、DEMO版ではまだチュートリアル程度の内容だったことを考えると、ここからキャラクターが増えたり、強化要素が本格的に解放される中で大きく変わっていきそうな気もする。短めながらそれなりに歯ごたえを感じる部分もあり、ここから追加される要素が楽しみです。
そして、ある意味本作の肝となりそうなシナリオに関しては、作り手が小高和剛(代表作:「ダンガンロンパ」シリーズ)と打越鋼太郎(代表作:「極限脱出」シリーズ)ということで、メタ的な要素も含めて、一癖も二癖もありそうな展開がありそう。
特によかったのは、DEMO終盤に起きたSIREIの突然の死。事情を知っているはずのSIREIが死ぬサプライズが挟まれたことで、ただでさえなにももわからなかったところに、一筋伸びていた糸が切られたような気持ちになってくる。先の読めないシナリオ、そして、話がどのように分岐していくのかが楽しみになってくる作品でした。
そういえば、ダンガンロンパと言えば、体験版の話が有名ですが、本作でも何か仕掛けているのかなと少し気になってしまう。この辺を考えるとSwitch版の体験版は後日というのも何かあるのかななんて思ってしまいます。ただ、今回はセーブデータをそのまま引き継げるようなので、流石に何もない気もしますが、ちょっと期待してしまいますね。
考察
体験版範囲だけでも大量に謎が提示され、果たしてどのような世界なのかと気を引く展開が続きましたが、その中でも気になった部分をまとめて考察。
皆同じ東京団地にいたのか?
本作が始まって最初に違和感を覚えたのが、拓海たちが住む東京団地という世界観。朝になると天井に張られたライトが光ることで世界を明るくするという、そこはまさに作り物の世界。
空が壊れ、侵校生たちが襲撃、それを何とか撃退した拓海ですが、SIREIがそれを祝うと背景に花火が飛び上がるなど、そもそも拓海を試すだけに用意されたかのような世界のようにも思える展開。
また、本作の登場人物は皆東京団地の出身と言っていますが、それぞれは一切面識がない。単に広いからという話でも片づけられますが、それぞれのキャラクターに一つの東京団地が用意されており、あくまで彼らを戦うためのシチュエーションを準備するためだけに、東京団地が用意されていたなんてこともありそう。
そもそもデータがあれば体を作り直すことができる保健室という場所もあり、彼らが学園の奥に守っている奪われてはいけないものとは、彼らの大本のデータで、拓海たちはそれを守るために体を作られた存在なんてこともあるのかもしれません。
そういえば、最初の謎の施設の探索パートではDAY000と表示されていたのに、最初の拓海がベッドで目覚めるシーンの前のシーンでは、???日目と表示されていたのは気になる所。この最初の目覚めがいつなのか?というのも重要な要素なのかもしれません。
拓海の番号はなぜ零なのか?
本作のキャラクターは戦闘の際には、戦闘用の衣装へと変身しますが、その肩には腕章がついており、数字が割り振られています。
気になるのは、主人公である拓海の腕章の番号が零であること。壱ですらなく、零。更には雫原比留子は、最終防衛学園へ来る前から、既に戦っていた経験もあったとのことで、単に我駆力刀を与えられた順というわけではなさそう。
ただ、改めてゲームのシーンを見ていると、SIREIから最初に拓海我駆力刀を渡された時には、既にその刀の柄には、零の番号が振られていることがわかる。更に、我駆力刀には、刀身に文字が彫られており、よく見てみると澄野拓海と彼の名前が最初からそこにある。つまり、SIREIは、最初から拓海のためにこの武器を用意していたようで、零番という番号も、最初から決まっていた様子。
そもそも、SIREIも最初から拓海を目的として接近していたこともあり、この番号の意味も気になってきます。そういえば、他のメンバーの刀身は、おそらくDEMO版では見えるシーンはなかったようなので、他のメンバーもそこにそれぞれの名前が記されているのかというのはわからず、ちょっと気になりますね。拓海だけが特別なのか、他のメンバーもそうなのか、後々何か意味を持っていそうな気もします。
零番はやり直しの力ゆえ?
本作のキャラクターには、それぞれ特異科目という固有能力を持っており、拓海の持つ特異復習は、戦闘のWAVEや、戦闘を最初からをやり直すというもの。
この力が、如何にもシステムな感じなのも、何か意味がありそうに思える。特に本作は、分岐のあるADVゲームであることを考えると、やり直しや分岐を選択する力と考えることも出来そうで、かなり重要な意味を持っていそう。
やり直しに絡む力を持っている拓海であれば、本当はこの戦いの最初の一人であり、何度もやり直しているが故に、零を与えられたなんて可能性もあるのかもしれません。
敵の言葉とタイトル画面の謎
本作に登場する敵は、どことなく愛嬌のあるマスコット的な存在だけかと思いきや、人の姿をし意思疎通ができそうなキャラクターも存在していることが終盤明かされる。彼らの言葉は謎の言語で表示されており、ボスとして登場したい際に表示された名前もその謎の言語で表示されており、何と読むのかは不明。
ただ、途中でこの言語が見えた瞬間、不意に既視感を覚える。改めて色々触っていて気づいたのですが、この謎言語、タイトル画面のメニューの背景に一つずつ刻まれていることに気付く。
タイトル画面にこの言語が仕込まれているというのは、何やら非常に意味深に感じられる。そもそも、カーソルに当たる赤いエフェクトはこの言語に合わせたもののように見え、むしろ日本語で書かれたテキストは、その上に翻訳するように置かれているようにも見える。
このあたりから考えると、もしかすると、このタイトル画面は本来、作中の敵に向けたものなのではないかと思わせてくる。つまり、最終防衛学園というゲームを作中の敵がプレイして攻めており、本作で操作するキャラクター達は、あくまでゲーム中の敵役として準備された存在なのかななんてことを思ってしまう。
本作の導入に当たる、SIREIは虐殺等々、妙に攻撃的な発言を繰り返していたり、そのほかの主人公側の描写も残酷より、どちらかというと悪役のそれのように思えるのも気になる所。また、7日目のボスとして登場した、謎の言葉を話すキャラクターも襲撃して命を取りに来ていたにもかかわらず、いざ負けると命乞いだったり、妙に軽い感じの雰囲気を見せていたのも、何となく遊んでいるだけのような印象を受ける。この辺も、攻めてくる敵こそがこのゲームを遊ぶプレイヤーで、本作の登場人物たちはあくまでそのゲームに設定された敵キャラクターなのかな、なんてことを思ってしまいました。
ちょっとぶっとんだ考察で、正直信憑性はほぼない気もしますが、これから作中でこのあたりの要素が拾われるのか、気になってきます。
そういえば、このタイトル画面での文字、メニューに対応しているということは、一部であれば翻訳も出来そうです。しっかり読み解けば作中での敵の発言もある程度推測できそうな気もするので、発売までの時間にやってみてもよいかもしれません。
実際に翻訳してみました
実際に解読できたので記事にまとめてみました。本編に絡みそうな単語も一部見受けられ、多少ネタバレになりそうな部分もあるためご注意ください。
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