2023年秋に放送開始した『葬送のフリーレン』アニメ。金曜ロードショーで公開された1~4話をまとめて配信されました。その感想文となります。ネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
葬送のフリーレン 初回スペシャル配信
エルフの時間と人の時間
エルフの時間と、人の時間の違いによるすれ違い。それをフリーレンが理解し旅に出るというのが物語の始まりでした。
暗黒竜の角を大事にタンスに入れていたヒンメルも、フリーレンとの関係を大事に思っていたのでしょう。そして、きちんと星を見る約束を守るために戻ってくる。フリーレンもヒンメルのことを大切に思っている。ただ、あまりにもいるのが当たり前で、何もかも変わらないエルフからすると、それも変わらないことが当たり前と思っていたのかもしれません。
しかし、時の流れは無常でヒンメルは死の目前となっている。そして、ヒンメルの死を知り、フリーレンの考えが変わり始めるという導入は、どこか寂し気でしたがきれいな作品でした。
今回の話の中だけでも、勇者の戦いから50年。そこからさらに死に別れから20年、26年と大きく時間が動きました。
しかし、ヒンメルとの別れで人を知ろうとし、ハイターからフェルンを託される、その後のフェルンとの旅の中で、人との時間の違いを考えて動くようになり、アイゼンとの再会でそこを明確に描く。長い時間を生きるエルフの変化が今回の一挙放送の中でよく描かれていたと思いました。
ハイターとフェルン
酒が大好きだったハイターが、酒を飲まなくなっている。これもまた大きな時間の流れを感じさせる部分でした。ハイターのフリーレンへの頼みはフェルンを旅に連れて行ってもらう事。しかし、足手まといは連れて行けない旅。そこで、ハイターは、フェルンを育てる時間を作るために、フリーレンに任せるために時間をかけさせた。
親代わりであったハイターの死期を感じているフェルンもまた、自らが一人前になり安心させてあげたかった。しかし、ハイターは一度大切なものを失ったフェルンに自分が死ぬ姿を見せたくはない。ある意味互いを思う故に、どこかから回っているような話。しかし、そのすれ違いをフリーレンが解決する。
この時のフリーレンは、ヒンメルと自分のことがあったからこそ、ハイターとフェルンの気持ちを感じてあげられていたように思えます。
かつてのフリーレンと少し変わったフリーレン。かつてのフリーレンならばそうはしなかったかもしれない、フリーレンの変化を最後にハイターは見ることとなりました。
ヒンメルを理解する旅
今回の放送で配信された4話までは、一貫してフリーレンがヒンメルを理解しようとするお話でした。
フリーレンの魔法集めの趣味も、かつて集めた魔法をほめてくれたヒンメルにつながっている。
ヒンメルの銅像掃除と故郷の草、蒼月草を集める話はまさに過去の約束を果たそうとしており、海岸の掃除も、人助けをしていたヒンメルと同じことをしてみるという点も大きそう。
清掃から繋がった新年祭のお話では、かつての、自分一人では、楽しめなかった夜明けの太陽を、共に誰かと見るから楽しめるということに気づく。これもまたヒンメルが過去、フリーレンに伝えようとしていたことで、今回フェルンとそれを楽しめることを知ったというのはよかったです。
フェルンとフリーレンの「一人では楽しめなかった。」の意味合いがちょっとすれ違っているのが、互いを思う故といった感じでよいですね。
ヒンメルとの別れを持って初めて知った、それまでの意味を改めてフェルンとの旅で理解してくという形がよい物語でした。
そして見つける旅の目的
今回の一挙放送、その締めとしてのお話では、大魔法使いフランメの手記が登場。今回の放送の中でも、ほとんど偽物、とされていたものですが、ハイターが何やら調べていた。
フランメ自身が、フリーレンの師匠であり、いつか誰かの死をもって後悔したときに、彼女を助けるための手記を残していた。そこに記されていたのは、死者との対話の術。かつて、フランメ自身が大陸の北の果て、魂の集まる場所オレオール、そこで死者と対話した。そして、現在のその場所はエンデと呼ばれ魔王城がある場所であることが示される。
大きな旅の目標が示されもの物語はいよいよ始まるといった感じでした。
次回第5話 死者の幻影
今回金曜ロードショーでの1~4話の一挙放送ということで、次回は5話へと続く。
1~4話の話で、フリーレンと旅した勇者パーティーとの再会を描き、ヒンメルと話すという目標を示す流れがまとまっており4話まで金曜ロードショーで一挙放送とした理由はなんとなくわかりました。
淡々とした空気で、やわらかい絵柄と丁寧な空気が描かれており、次回以降も楽しみな作品でした。
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