2024年12月24日に放送されたTXQ FICTIONによる第2弾『飯沼一家に謝罪します』第3回の感想と考察になります。放送でのネタバレも含まれますので注意してください。Tverなどでも視聴可能となっています。
飯沼一家に謝罪します(3)
TXQFICTIONシリーズ『イシナガキクエを探しています』に続きプロデューサー：大森時生によるフェイクドキュメンタリー番組。
矢代誠太郎なる人物が2004年にテレビで流した『飯沼一家に謝罪します』という架空のテレビ番組に関する都市伝説の調査報告を行う番組として作られた作品。
第3回
飯沼一家に関する謎がある程度明らかになる中で、かなり核心に迫る話が突然出てきた今回のお話。明正や良樹、色々と謎が残る中で、ラストに向けてお話が加速してくのを感じました。
時系列整理
3話で明らかになった情報の時系列を改めて追記。赤字で書かれている部分が3話で新たに判明した点となります。
| 日時 | |
|---|---|
| 時期不明 | 岸本良樹が飯沼明正の替え玉として上京 |
| 1999.7.25 PM4.35 | 飯沼一家への儀式 |
| 時期不明 | 飯沼一家の取材映像 自宅2Fに移る白い影 |
| 時期不明 | 飯沼一家 幸せ家族王 チャレンジ成功 |
| 1999.8.20 AM 10:44 | 父・母・娘 3人の映像撮影 |
| 1999.8.21 PM 2:13 | 母？の顔が映る映像撮影 |
| 1999.8.21 PM 11:51 | 懐中電灯で何かを照らす映像撮影 |
| 1999.8.24 PM 0:35 | 家の中の映像？撮影 |
| 1999.9.1 PM 8:46 | 自宅と謎の人物の映像撮影 |
| 1999.9月 | 幸せ家族王放送 |
| 1999.10.4 9.50 (おそらくPM) | 4日午後9時50分飯沼一家火災発生 |
| 1999.10.6 | 飯沼一家の火事が新聞に掲載 |
| 時期不明 | 火事で生き残った息子 飯沼明正 叔父飯沼典彦に引き取られる |
| 時期不明 | 岸本悠美子がおかしくなった息子を調査 矢代に接触 公への謝罪を要求 池田IC食品設立の指示 飯沼一家に謝罪しますの制作の指示 |
| 2003 | 池田IC食品 設立 |
| 2004.5.17 AM2:00 | 飯沼一家に謝罪します テレビ放送 |
| 2006.2.9 | 池田IC食品 廃業 |
| 2006 | 編成局長 石渡政秀 定年退職 |
| 2014 | 当時プロデューサー 山下退職 飯沼典彦死亡 飯沼りんご農園閉園 |
| 2016 | 当時営業局員 鎌苅幸雄 保険会社へ転職 |
| 2024.9 | 編成局員 高嶋祐二への取材 |
| 2024.12.24 AM2:00 | 飯沼一家に謝罪しますに関する調査番組放送(本番組) |
家にいた影と階段上の人物
今回は第3回という事で色々と新たな事実や確信に繋がりそうな事実が明らかになる。前回一人火災から一人生き残った明正は、幸せ家族王に出演した明正とは別人であることが、小学生時代の友人の口から語られる。そして、テレビに映ったその正体が岸本良樹なる人物だったことが明かされました。
このあたりから考えてみると、前回の映像で二階の窓に映っていた人物、そして、今回の飯沼家が送った自宅の映像に移っていた謎の人物こそが、本物の飯沼明正だったのではないかと考えられます。
ガラス越しに見えていた白い服装は、今回登場した2Fから覗いていた人物と同じ服装。2Fから覗いていた人物は、髪がかなり長めで一見女性のようにも見えますが、明正は引きこもっていたとのことで、散髪に行かず髪が伸びていたという事なのかもしれません。
そして、前回登場した成人した飯沼明正に関しては、今回出てきた情報から本人で間違いがなさそう。大人の明正と幸せ家族王の映像に移っていた良樹とは、別人なのではないか？と思わせる雰囲気の違いなんかもそれが理由であれば納得。また、大人の明正の態度は、飯沼家の息子といわれればしっくりときます。
この推測が正しいとすると、明正が一人だけ火災から生き延びることができた件にも答えが出る。儀式に参加していたのは良樹で、明正は一人だけ儀式に参加していなかったから、そもそも大きな不運を受けることはなかったとなりそうです。
ちょっと疑問なのは、大人になった明正がハワイ旅行が楽しかったといった話をしていた事。どうにも飯沼一家がハワイ旅行に本当にいっていたのかどうかすら怪しいうえ、そもそも一家が撮影した映像には、明正の姿は映っていないということもあり、ハワイの話はできるはずがない。このあたりを考えてみると、単に取材の質問に対して適当に合わせて答えただけという可能性はありそう。明正は儀式の結果おかしくなった当時の家族の様子を見ていたはずで、当時のことは根掘り葉掘り聞かれたくはなかったが故に、適当に話を合わせていただけなのかもしれません。
良樹は夏休みを利用して飯沼家にいっていた？
今回の映像の日時を色々見ている中で、良樹がどのようなスケジュールで動いているのかが少し推測できました。
今回冒頭に公開された飯沼家がテレビに送ったとされる映像を見ていると、8月末に取られた映像には、良樹の姿が映っているが、9月1日の飯沼家の自宅の映像には、撮影者である父？と母、娘の三人に階段の上にいた謎の人物の姿だけが映り、良樹の姿は映っていない。飯沼一家への儀式が7月25日に行われたことを考えると、良樹は夏休みの期間を利用して、飯沼家の元に行き、夏休みが終わったタイミングで帰宅。それゆえに、最後の9月1日に映像には良樹が映っていないということなのかもしれません。
そんな良樹は一人徳島へと戻り、それ以降様子がおかしくなり、喋らなくなり、動かなくなった、とのこと。一人だけ火災を逃れた良樹さんでしたが、幸運の代償の不運はその身を蝕んだのか、はたまた、飯沼家から離れたが故に、衰弱していったのか色々と謎です。
さらっと明かされる飯沼一家に謝罪しますの真実
そして、岸本良樹に関する取材の中で登場した、良樹の母 岸本悠美子 の口から思った以上に確信に迫る話出てくる。家に戻ってきた良樹の様子がおかしくなった件から、知人に東京の調査を頼む中で何やら色々と矢代がやった儀式が良樹がおかしくなった原因なのではないか？という情報をつかみ、それを公に謝罪させるテレビ番組を作らせたとまで語りだす。
正直、突然矢代の名前が出てきたので、一瞬頭が追い付かずにいたのですが、番組を作るために池田IC食品を設立した話まで出てきて、彼女が『飯沼一家に謝罪します』を放送させた原因であったことがわかる。
さらに、今回ラスト今も家にいるという良樹の元へ取材に向かう際に出てきた扉と階段は、『飯沼一家に謝罪します』のラストにて、矢代が49日の裁きに入るといって進んでいったものにそっくり。矢代があの番組のラストでいたのがこの家となると、矢代はこの家に未だ囚われているなんてこともあるのかもしれません。何やら階段を上っていくシーンでは、手術などのシーンで心臓の脈動を測る機会を連想させる音が響く。これは、現在動かなくなったとされる良樹さんに関するものなのかと、色々と最終回が気になるラストとなりました。
しかし、この岸本悠美子さん、最初こそ優し気なおばあちゃんといった感じで家の中に招いてくれていましたが、だんだんと表情が見えなくなっていくのがなかなかに怖い。そこから急に思ったよりだいぶ規模の大きな核心に迫る話が出てきたというのも、人の怖さを感じさせるお話でした。
残る謎
何やら挙動不審だったＰ山下
飯沼一家に謝罪しますのPとされる山下が妙に不審だった点は、未だに少し謎として残る。このあたりは、番組制作のために企業まで作った岸本の行動を知っていたが故に、あまり不用意に話すことはできないと思っての事なのか、はたまたほかに事情があるのか。次回最終回で、そのあたりも明かされるのか気になります。
飯沼一家がテレビ局に送った映像は何だったのか？
現時点では、飯沼一家がテレビ局に送った映像の意味が結局よくわからないまま。ガードレールなんかを見ているとハワイというよりは、日本のどこかの景色といった方が正しく思えてくる。映っているのも本当の息子ではなく良樹であることを考えると、儀式の影響でるのは間違いなさそうですが、果たしてあれは何をしていたものなのか。あの映像では、飯沼一家と良樹君は、何かにとりつかれているようにも見え、そのとりついた物ゆかりの地にいっていたのかも。
さらにこの辺に理由を付けてみる、儀式の結果、主体性を失っていった家族の面々が、映像をビデオにってくれと頼まれたことに対して、反応を返していていただけという可能性もあるも知れません。
考察
岸本悠美子はなぜ飯沼一家に謝罪しますを作らせたのか？
今回かなり唐突に大規模な真実を取材に答えた岸本悠美子に関してはかなりの謎が残っている。息子がおかしくなったので東京の調査をお願いするまではわからなくはないのですが、そこから急にその原因となった矢代に大衆に謝罪させ、そのために会社まで作らせると飛躍した行動をとっている。
しかし、その番組は、なぜ『飯沼一家に謝罪します』なのか。岸本悠美子の視点から見れば、謝罪をしてほしいのは自分たちに向けてのはず。なんなら、この儀式に息子を巻き込んだ飯沼一家すら自分たちに謝罪をしてもらいたいと考えても自然。
そうであるにもかかわらず、この番組は『飯沼一家に謝罪します』として作られている。矢代が最後に映ったのが岸本の家だとするのなら、この岸本は番組制作にも深くかかわっているはずで、この番組には何らかの意図があると考えたほうが自然。
このあたり色々と考えて一つ思い付いたのは、もしかしたら岸本は一人生き残った飯沼一家の息子を探すために、この番組を作ったのではないかという事。自分の息子をこんな風にした飯沼一家の息子が一人生きているのを許せなかった岸本は、この番組を作らせることで、世間に興味を持たせ、飯沼一家の息子の情報が集まるのを期待したなんてことはあるのかも。
とはいえ、矢代の件まで突き止める情報網がある彼女、単独でも明正の居場所を突き止めるなんてことはできてしまいそうですし、ちょっと厳しい話かなという気がします。
ともあれ、やはり番組名はどこか不自然であり、まだ何か『飯沼一家に謝罪します』には秘密が隠されているように思えます。
火事の原因は明正？
今回の話を見ていると、現在北海道に住んでいる明正にも何やら怪しさが見えてくる。何やら、当時の家族の件を語っていたり、明らかに行っていないだろうハワイの件を語ったり、一家心中だったんじゃないですかね、と当時の状況の話を進めるが、そもそもあの不気味な状態の家族を見ていた明正が本当にあの火災を一家心中だったと考えることはできるのか？
また、儀式の結果不運が襲ったという話ですが、これまでの儀式の影響を見ると不運になったというよりは、儀式参加者が何かにとりつかれたようになっているだけで、それが直接火災に結び付くというのもちょっと疑問。
このあたりを考えている中で頭に浮かんだのは、もしかしたらあの火災は明正が起こしたものなのではないかという事。9月1日の映像では、最後におかしくなった家族に追われ逃げるような明正の姿が映っており、家族がおかしくなったことを明正は認識していたはず。そうなると、おかしくなってしまった家族を恐れ、逃れるために火災を起こしたと考えることもできるのかも。そうなら、明正が火災から奇跡的に一人生き延びることができたという件も、自分で火災を起こしたからという理由が付けられるのかも。
2024年の明正が、最後に連絡を絶ったのも、今は幸せに暮らしている明正が、そのあたりの事情を拾われ、自分の火災の件が発覚してしまう事を恐れた故なんて考えると一応は筋が通っているのかも。
とはいえ、ほとんど推測なのでかなり怪しい気もします。本作、かなり大部分が明らかになったようで、まだまだ細かい部分は見えてこないところもあり、いよいよ明日の最終回がなかなか楽しみです。
そういえば、前作の『イシナガキクエを探しています』は、後々ネット公開限定の追加エピソードがありましたが、今回もそんな話があったりするのでしょうか？
Tverにて配信
Tverでテレビでの放送終了後より配信開始しております。
コメント