2025年春より放送開始の作品、米澤穂信による『小市民シリーズ』を原作とし、監督:神戸 守によるアニメ化作品『小市民シリーズ』 11話『あたたかな冬 前編』の原作未読での感想文となります。アニメのネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
11話『あたたかな冬 前編』
瓜野君
いよいよ始まった小市民シリーズの2期、今回は『秋期限定栗きんとん事件』のエピソードが描かれるとのことで、1期ラスト小佐内さんと小鳩君二人の関係解消と、別人との恋人関係が始まったお話がスタート。
今回は、小佐内さんが新たに付き合い始めた瓜野君を中心としてお話が展開され、堂島を部長とする新聞部に絡んだ展開となっていました。1期でも名前が出ていた瓜野君ですが、小佐内さんを先輩と知らずに告白していたことが明かされたり、新聞で何か大きい事をやって見せたいと、どことなくこれまで達観した様子が目立ったキャラクターが多い中でもなかなか年相応な感じがする。
小佐内さんも、お姉さんっぷりを発揮しようとしているらしく、彼を助けるために動いている様子。何やら堂島に口利きをしていたようですが、瓜野君を応援すべく今回のコラムの掲載に向けて何か動いているのかなという気もします。もしかしたら、コラム切っ掛けとなったチャリティーの件も、小佐内さんが何かしたのかもしれません。
また、瓜野君の行動方針は、新聞自体へのこだわりというよりも、何かを成し遂げて有名になりたいという気持ちが強めなのかなとみていると思う。今回も相方の氷谷君と共に調査に当たっていましたが、瓜野君自身は新聞で起きていた事件の事を知らなかったり、そもそもこの事件を知ったのが氷谷君の持って来ていたスクラップによるものだったり、事件の調査でもしどろもどろになりつつも氷谷君の声掛けだから答えてくれた感じもあり、どことなく氷谷君に助けられている印象が強かったです。
この二人の様子を見ていると、どうにも瓜野君が氷谷君の行動により気付きを得て動かされているようにも見える。どことなく内面が見えにくい氷谷君、友人の為なのか、それとも何かほかに目的があるのか、彼の行動も気になってきます。
そういえば、氷谷君の描写は、さりげなく後ろ通る女生徒が彼の方を見つめていたりと、彼が女性と人気があるという描写を背景交えて描いているのがなかなか印象的でした。後々の、彼が来た瞬間情報を話してくれた生徒との会話の説得力が高まっていたように思えました。
小佐内さんと小鳩君
瓜野君と付き合い始めた小佐内さんと同じように、小鳩君もまた十希子という女生徒との付き合いを始めている。この新たに付き合い始めた二人を見ていると、小鳩君のように静かにいきたい、大人びた雰囲気に対して、大きな夢をみて若さを感じさせる瓜野君。そして、ミステリアスな小佐内さんに対して、明るく話しやすい十希子さんといった感じで、対局の相手と新たな関係を結んだといいった印象がありました。
お話の展開的に真逆の相手を登場させたのか、はたまた二人が以前の関係とは全く違う相手を選んでみようとしたのか、どちらかはわかりませんが今の二人の心内が気になるところです。
そんな二人ですが、今回のお話で接触があったのは初詣のシーンのみ。それも、接触というよりは今の相手の姿をつい目で追ってしまうといった感じで、関係を解消こそしたものの、当然相手に対して思うところはあるといった感じなのがなかなか趣深い。
さらに今回の一連の事件、最後に小鳩君が見つけた車が夏の事件で起きた小佐内さん誘拐の際に現場にあった車だったというのも気になる所。これががきっかけで小佐内さんが一連の事件に絡んでまた何かやっているのではないかと小鳩君が思う展開となるのかも。
1期での彼女の行動を思い出すと、流石にそこまでしないだろ…とはちょっと言い切れないのが小佐内さんの凄いところ。瓜野君の応援もしている彼女が、今回の事件にも何か絡んでいそうな気はしますが、果たしてどうなるるのか。
しかし、やはりこのまま小鳩君と小佐内二人の関係が終わりましたでは話は進まないでしょうし、ここから不審火の事件を通してどのように再び絡むことになるのか気になってきます。
木良市の不審火
今回発生した事件は、最初は園芸部が借りていた場所のボヤ騒ぎ、そこから続いて西森のゴミ箱、小指の資材置き場、茜部の自転車置き場、そして、今回ラスト小鳩君が発見した長良川沿いの車の爆発となりました。
この四つの事件には共通点がありそのすべてが10月以降の毎月第二金曜の深夜、日付が変わるころに発生しているとのこと。更に、火事の勢いは増してきており、火事がエスカレートされているのではないかといった感じ。
今回気になったのは、瓜野君が消防車の出動を見た際に、消防車の所轄を見て何やら閃いていたこと。結局、それが何なのかは明かされませんでしたが、彼が何を思ったのかを考えてみる。
今回の事件は、岐阜の西の方を中心とし、更に南下しているとのこと。この西の方と消防署というのを結び付け、特定の消防署の担当範囲で事件が起きているのではないかと考えたのかなと思う。
ちょっと気になったので、今回の事件現場を岐阜の消防署の位置を地図にまとめてみたところ以下のような感じになった。最初の三件は、作中で描かれていた地図の場所。5件目の長良川沿いの車の炎上は、小鳩君が発見前に歩いていた忠節橋南の階段の場所にしています。
瓜野君が気にかけていた消防署という観点から見てみると、2件目以降の西森、小指、茜部の中心あたりに、一見消防署があるのが気になる所。この消防署に関係する人物、もしくはこの範囲内で事件を起こそうとしているのかなとも思えてきます。
またこの見方をすると、1件目の葉前での園芸部のボヤ騒ぎは場所がずいぶん遠いようにも思えてくる。これが1件目の事件であることを考えると、1件目自体はただの事故、もしくはただの別件だったものを一連の事件のように思わせるために、第2金曜にエスカレートさせて火災を続けていたなんて味方もできるのかも。
最初の事件は、何やらハンマーがなくなり、それを園芸部で弁償したという話もあり、何かの手違いでハンマーをなくしてしまった生徒が、胡麻化すためにちょっとした事件を起こしたなんてこともあるのかなと思いました。
そして、1期ラストでも意味深に描かれていた5件目の長良川沿いの車発火事件。こちらは、何やら小佐内さんとのつながりもあり、小鳩君が悩む羽目になっていますが、果たして小佐内さんがどこまで絡んでいるのか、気になってくる事件となりました。
余談
今回、園芸部の葉前の事を知ったあと、瓜野君たちが火災現場に向かったシーンにVIVAホームというホームセンターらしきものが映っていたこともあり、ここがどこなのかなと気になる。知らべてたのでついでに、先ほどのマップの黄色いピンの位置を立てておきました。
VIVAホームの看板に加え、オレンジ色のアパートのようなものや、白い工場も映っており、正確な場所は不明ですがどうもこのあたりをベースにして書かれたシーンの様です。ちなみに、作中で描かれていた葉前や他の場所とは全く異なる場所のようなので、良いシチュエーションを探して岐阜市の中を探して回られていたのかもしれません。
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