2025年春より放送開始、戯作・監督・脚本 渡辺 信一郎によるLAZARUS(ラザロ)6話『HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』の感想記事となります。アニメのネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
6話『HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』
次の目標は新興宗教
前回のデルタ製薬の件は失敗に終わり、再びスキナー博士に関する手掛かりがなくなったラザロ。今回は、若い頃のスキナー博士が訪れていたと言われていた新興宗教に目をつけ、そこにスキナー博士がいるのではないかと調査に向かう事になる。
何やらそのコミューンの神は、ナーガと呼ばれるシンギュアリティを迎えたAIであり、さらにはエレイナもそのコミューン出身であることが明かされる。子供だけならば怪しまれずに潜入できるとのことで、リーランドと二人での潜入ミッションが始まることとなりました。
持て余して体を動かしているアクセルの姿の様子で会ったり、クリスが二人を心配していたりと、なんだかんだラザロのメンバーが互いを気にかけている様子がよくわかるのも良いお話でした。
今回のラスト、エレイナはクリスのベッドに入り眠るというシーンがありましたが、ここはエレイナが母を求める気持ちが出ていたのかもしれません。最後にどこか安らいだような表情を浮かべたエレイナ、彼女にとって既にラザロは家族のような存在になっているように見える良いシーンでした。
潜入
エレイナの生まれである新興宗教に忍び込んだエレイナとリーランドですが、エレイナのかつての友人である、ハンナとの再会を経て潜入自体は問題なく進行。
二人の持つ通信機器は預かられ、外の情報とは完全に断ち切られたコミューンの中で時給持続の生活が描かれる。しかし、コミューン内部でスキナーを見つけられなかった二人は、いよいよナーガにハッキングをかけようと動き出すも、ハンナに聞かれており先回りされて捕まってしまう。牢屋に捕まった二人は、ハンナから聖祭の詳細を聞き、二人を燃やして汚れをはらい、更にはそのまま信者たち皆で死ぬという計画を進めていることが明らかになる。
コミューンの中の事しか知らないハンナが、自分の信じる神にどこか疑問を持ちつつも動けない中、一人外へと出て行ったエレイナに対して憧れや嫉妬、様々な感情を向けていたことに気付くシーンはなかなか心に響くもの。おいていったことに後ろめたさがありながらも、友達だと思っていたエレイナからしててもなかなかショックを受ける者だったようです。
聖祭は始まり、炎の上でつるされる絶体絶命の二人でしたが、外への興味と、ここでしか生きられないという諦め、その葛藤に揺れていたハンナはリーランドの言葉により、発煙筒を投げる。それを見て動き出すラザロでしたが、正直今から向かっても間に合わないのでは?と少し思ってしまう。しかし、発煙筒の炎により祭りは混乱し、なんとかギリギリ助けられることになりました。このあたりの信者たちの行動は、ある意味自分たちの考えを放棄してナーガに託していてしまっていたが故に、想定外の事態に乱れてしまったが故に助かったのかなという気もします。
そういえば、外は汚れ、嘘にあふれている情報を信じているコミューンのメンバーで下が、その中でハンナが外で何があったのかをリーランドたちに問いかけてきたという事に少し違和感がありました。しかし、全体を見たうえで思い返すと、ハンナがエレイナの母たちのように完全にナーガを信じ切っている信奉者たちとは違う事を表しており、最後彼女が二人を助けることの説得力を高めるためのシーンだったのかなという気がします。
神を求められたAI
今回、自らが壊れても信者たちに何一つ語らなかったナーガですが、最後に廃墟となった地でメモリーを拾ったアクセルにだけはその真意を話す。神であることを求められたAIであり、神の行いとは人の命を弄ぶこと、ただそれだけの理由で、信者たちを殺そうとしたようです。
今回ラザロの面々は、スキナー博士の脳をベースにしたAIであるが故に、彼と同じようにナーガも自分の世界を壊そうとするのではないかと予測していました。それ自体は信者の集団自殺という形である意味正解でしたが、ナーガが行なおうとした信者の殺戮は、果たしてスキナー博士がハプナを使って世界に巻き起こしたそれと同じなのかと言われると少し疑問が残る。
スキナー博士は、人類の滅亡するような行動をとっているとはいえ、自分を見つけるという救われる道も一つ残していることもあり、何やらナーガとは根本的に思想が違うように思えます。ここに関しては、むしろ支配欲や承認欲求をインプットされてしまい、さらには周囲から神であるという立場を求められてしまったが故にAIが神というものを定義し暴走してしまったのかなという気もします。
ただ、今回スキナー博士の脳をモデルにしたAIが登場したということは、何か意味があるような気もする。もしかすると、ナーガ以外にもそんなAIが存在し、ハプナの件には、また異なる何かがインプットされたAIが絡んでいるなんてこともあるのかもしれません。
そういえば、以前エレイナが回想でハプナの件が判明する前のスキナー博士の事を神様のような人と思っていたというのも、彼女の原点がここにあったからというのもあったようです。
43NF
結局今回も無駄足、かと思いきやアクセルが回収したメモリーにより何やら進展がみられる様子。最後のシーンでは、解析結果らしき表示に43NFという単語が浮かび上がる。この文字の意味は分かりませんが、スキナー博士に由来のあるAIから出力された文字という事で重要なものとなりそうです。
ただの短い文字列であることから考えると、何かの座標、はたまた略称、何かの計画の名称、などなど推測できるものはたくさんありますが、次回これが明かされるのか気になるところ。また、あくまで解析の一部である可能性もあり、更に文章が続くなんてこともあるのかも。
そういえば、これまでのエピソードでも、スキナー博士が母の元に送った花や、スキナー博士の家でクリスが見つけていた錠剤など、まだ回収されていなさそうな伏線も用意されていることを考えると、それらと同じく今後どこかで拾われる伏線なんてこともあるのかもしれませんが、ラストに意味深に映った事を考えると次回のエピソードに絡むものなのかもしれません。
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