2025年春より放送開始の作品、米澤穂信による『小市民シリーズ』を原作とし、監督：神戸 守によるアニメ化作品『小市民シリーズ』 21話『黄金だと思っていた時代の終わり』の原作未読での感想文となります。アニメのネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
21話『黄金だと思っていた時代の終わり』
ひき逃げ事件の犯人
今回、看護師の女性が現在のひき逃げの犯人であることが判明する。これまでの話で妙に描写が多めだったので、何かあるのかなという気はしていました。ただ、事件の犯人が病院の看護師で担当につくという流れはあまりにも出来すぎていたのであまり考えをそちらに向けていませんでした。
更にその看護師の女性も、何やら日坂君の姉だったとのこと。本当に殺したいだけなら病院でやるチャンスもありそうですし、弟が自殺したのに、中学時代その自殺に絡んだ小鳩君が彼女と一緒に歩いているのを見たことで、かっとなって牽いてしまったといった感じなのでしょうか。
小鳩君の睡眠時間が妙に長く、二人がすれ違ってしまう事も看護師さんの仕込みだったようで、飲ませていた水に睡眠薬が仕込まれていたとのこと。現代だとスマホがある故に、恋仲二人をすれ違わせるのも大変であるが故に、こういうシチュエーションを作り上げたものだとばかり思っており、事件と関連があるとは思いつきもしませんでした。これに絡んで、前回の水をあげてという話も、貰っていた水に睡眠薬が入っているが故に、花瓶に水を隠すようにとの忠告だったようです。
さらに今回小佐内さんが妙に病院内の詳しいことから、チョコレートを入れ替え、その中にきっちり盗聴器を用意していたり、狼の人形はそのフェイクだったりと色々なことが明かされる。盗聴ではなく、傍聴というくだりは小佐内さんなりのこだわりが感じられて面白かったです。そういえば今回、小鳩君がバニラが二個あったと言っていましたが、もしかするとあえて同じものが被るように入れ替えたことで、暗にチョコレートが入れ替わった(中に仕掛けがある)事に気付かせようとしていたのかもしれません。
今回の小佐内さん、命の恩人である小鳩君に対する素直な感情の吐露がなかなか良いシーンでした。あまり表立って感情を見せることのない彼女ですが、今回に限っては非常にわかりやすくその胸の内を明かしており、それだけ小鳩君に向ける気持ちの大きさがわかるようでした。
車の隠し方
今回は過去と現在二つの事件で大きな謎となっている、車がどこに行ったのか、という点にも触れられました。
現在の事件の方は、車を川の中に沈めて隠していた様子。ただ、ある日を境に車がなくなった、なんて話は色々と疑われそうですし、最終的にはバレてしまうようにも思えます。また今回中学時代のひき逃げ事件の方も話が進み犯人の逮捕まで進んでいましたが、確かこの事件の際は川は増水し河川敷への入り口は封鎖されていたとのことで、おそらく同じ方法を使うことは不可能。小佐内さんもメモで何やら今回の事件は違うといった内容を伝えていた気がするので、おそらく別の方法なのではないかと考えられます。
そして今回の回想では、コンビニの生徒が再登場。中学時代のひき逃げの件を知り何やら答えを言い当てていました。コンビニのオーナーの娘がすぐに思い浮かぶ考えとなると、犯人はコンビニのバイトで、コンビニのカメラに映らない位置に駐車しそのままバイトとして働いていたなんていうのはありそうな気もします。
日坂君と姉の謎
概ね事件の全貌は見えてきた気がしますが、唯一わからないのは今回犯人出会った日坂君の姉と、日坂君の間に何があったのかという事。
今回、捜査を進める小鳩君の元に日坂君の父親を名乗る人物が登場し、事情を聴いていましたが、どうにも彼は日坂君がその日退院するという事は知らなかった様子。小鳩君は犯人なのでは？と考えていましたが、わざわざ自分から事情を探りに来るというのもおかしい話ですし、日坂君の対応から考えてもどうやら違う様子。
しかし、どうにも今回の日坂君の態度を見ていると、父親に姉と自分が一緒にいるところを知られたくなかった、といった印象を受けました。日坂君の父親が、入院している日坂君の事情を知らなかった辺りを考えると、両親が離婚しており、姉は父親の方にいっており別で暮らしているなんてこともありそうにも思える。
ただ、その程度であるなら別に姉が弟と一緒にいること自体は問題がないように思え、これがその後、日坂君の自殺に繋がるという流れもいまいちわからない。果たしてこのあたりどのような事情があるのか気になるところです。
配信やVOD情報
冬期限定ボンボンショコラ事件
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