2025年春より放送開始、戯作・監督・脚本 渡辺 信一郎によるLAZARUS(ラザロ)最終回13話『THE WORLD IS YOURS』の感想記事となります。アニメのネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
13話『THE WORLD IS YOURS』
アクセルVS双龍
最終回で大きく描かれたのは、アクセルと双龍との戦い。天使の見つめる場所、バビロニアタワーの屋上で待つとのアクセルへの誘いの連絡をする双龍。この二人のバトルシーンや、崩れ落ちるビルでのアクションなんかは、流石の描写。ただ、どうにもこの双龍というキャラクターがあまり話になじんでいないというか、スキナーとハプナ中心の話に突然放り込まれた異物感が凄く、単にバトル展開を入れるためだけに入れたキャラクターといった印象が残ってしまったのが残念です。
混沌にまつわる話や、彼の出自なんかは今回きっちりと語られてはいましたが、それはそれとして本筋との関りがあるかというと、あくまで軍人が証拠隠滅のために雇った殺し屋という範囲から出ることもなく終了。
顔に穴をあけられた混沌は死んでしまったという伝説は、ある意味記憶を消された彼自身の事も意味していたようで、最後にそれを思い出して死ぬという流れ自体はなかなか寂しさを感じさせるもの。もう少しハプナに絡んで敵対する関係だったり、アクセルとの因縁ももう少しあればまた気持ちも違ったのかなという気もします。
ラザロの真実
そして、今回ラザロのメンバーが選ばれた理由についても説明される。イレイナがハプナの熱から回復できたこと、以前のクリスがテロの現場で一度死んで蘇ったという話、アクセルがハプナの実験を受けてなお死ななかったという理由。それ等はすべて、あのスキナーの事件が起きた場に皆がおり、一度死んで蘇っていたからだったとのことです。
ただ、どうにもラザロにそのメンバーが集められた理由というのがいまいちわからないのがちょっと引っかかり、もっと言うならより大きな秘密があるのかと思っていましたが、思ったほどではなかったなと思ってしまう。また、空港での事件の件、全メンバーがあの場にいたというのなら、もうちょっとそれに絡んだ話が合ってもよかったんじゃないかなという気がしてしまいます。
スキナー博士との決着
スキナー博士が作ろうとていたハプナを、米国陸軍が生物兵器として利用しようとし、それを拒否したスキナーがリークしようとしたというのが、過去の空港での事件の原因だったようです。
そして、その事件で、無関係な命が奪われるのを見て、人間は生きるべきなのか?という問いかけを持ってしまったのが、今回のハプナ事件のきっかけ。
スキナー博士は、やはりあのホームレスの回に映っていた盲目の男性とのことで、その目をサングラスで隠していたのも、ハプナによる目の症状を隠すため。
前回既にイレイナによりスキナーの居場所を把握していたラザロの面々ですが、さらに珍しいチューリップの情報にを頼りに本人の特定まで至る。ここまでの調査で見つけていたものが、最後回答に繋がる流れはよい感じでした。
全体の感想
個人的には、ハプナ周りの話や、双龍なんかの話の本筋に関わる部分の話は、ちょっと肩透かし感のある作品という印象に落ち着く。
ただ、むしろその部分よりもラザロのメンバーのそれぞれのお話を描くスキナーを探しているパートのお話の空気がが非常に好みな作品でした。そして、一度は自由にすることを許されつつも、これまでのスキナーを追う流れでラザロ再結集というラストなのもすっきりした終わり方でよかったです。
最終回のEDでは、これまで登場してきたそんなハプナ探しの中で登場してきた人たちのその後が描かれていたのもよい感じ。イレイナの幼馴染も外の世界に出てコーヒーに挑戦していた李、借金で首が回らなかったおじさんも自らのシェルターから最後に出てきたり、何より良かったのは最終回でもその正直っぷりがいかんなく発揮されていた警察のおじさんが、世界を救った英雄になっていた事。ラザロのメンバーの件は表に出せないが故という面もあったのでしょうが、序盤ちらちら出ていて人の好さを見せていたあの人が報われるというのが良かったです。
ラザロのメンバーがなかなか良い感じで、サブストーリー的な話もよかったので、再結集した彼らが新たな事件に挑んでいく話なんかも見てみたいなと思わせるお話でした。
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