2024年冬に放送開始の作品、総監修:出渕 裕、監督:堀 元宣、キャラクターデザイン:川元利浩による『メタリックルージュ(METALLIC ROUGE)』3話『境界の街』の感想文となります。ネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
3話『境界の街』
ウェルズタウン
境界の町とのサブタイトルが示しているだろう、今回の舞台となる『ウェルズタウン』。前回、バスを共にした人たちもちらちら登場するお話でした。
ウェルズタウンには、火星最大のネアン居留地もありましたが、ゲートで内外の出入りも厳格に取り扱われ、ネアンの待遇が他の町と比べてよいというわけではなさそう。はじめは、簒奪者との間に休戦協定が結ばれ、戦場から帰還したネアン達のためにつくられた町で、初めは自治が認められていたとのことですが、今となってはただのネアンの保管所といった感じになっているように見えました。
この街に住むネアンも、軍人として活動していたネアンを雇う事で支給金が会社に出るとのことで生かされているだけ。今回、金星のテラフォーミングに投入されているネアンという話もあり、人間らしさを持っていながら、人間扱いを受けないネアンという存在について、また一つ疑問が投げかけられるようでした。
そんなネアン居留区にて、ネアン達の自由を守ろうと活動する、自由ネアン評議会、その代表ユバルは。インモータルナインも所属するアルターという組織が力でそれを成し遂げようとするのに対して、少し違う志を持っているように見えます。
自由な意思を持つ人造人間であるルジュに対しても仲間になることを望んでいましたが、、同じ志を持ってくれるだけで希望になると、あくまで彼女の力を求めていたわけではない。
そんな、ユバルの死と、その死体を見つけたことで、ユバル殺しの疑惑をかけられたルジュ。明らかに誰かにはめられたこの状況から次回に続く形となりました。
ルジュとナオミの喧嘩
始まりは前回登場の兄妹に、勝手にルジュのチョコをプレゼントしてしまったナオミに対しての怒り。しかし、その口喧嘩はヒートアップ。ナオミは、勝手に自分の意思で動くなんてエージェントとして失格、そして、後々反省していましたが、勢いに任せて真理部の道具・備品という発言をルジュに対してしてしまう。
ルジュ、これだけ大きな反応を見せたのは今回が初めてな気がします。怒って一人動くルジュの、ばーかを繰り返すさまなんかは、実に子供らしい感じが出ていました。しかし、ナオミとの喧嘩の中でルジュが自由という言葉を発したのは、前回登場のカメラマンジルとの会話がルジュに与えた影響の大きさを表していそうです。
そういえば、1話でのエマ(煉獄のヴァイオラ)を倒した際には、ルジュに対して何やら無感情な感じを感じました。今思うと、あれもあくまであの時点ではルジュ自身が任務を果たすためだけに動いていたからこそということなのかも。
前回の兄妹とのやりとり、そして、ジルとの夜のやり取りによるルジュが変わってきている様子が描かれており、今後、エマと同じようなインモータルナインと遭遇したときにどのような対応をとるのかというのは少し気になるところです。
初顔合わせが第1話だったことを思うと、この二人が喧嘩をしたというのも初めての事なのかもしれません。ルジュの変化、そしてそれに伴い二人の関係が少し変わってきたことを示唆しているように思えます。
ジーン・ユングハルト
宇宙にてピアノを弾いて登場した新キャラクター『ジーン・ユングハルト』。
ユングハルトという名前から察するに、ネアン研究の第一人者であるとされ、世間的には赤い人影に殺されたとされているロイ・ユングハルトと何らかの関係がありそうです。
見た目や年齢から考えると血縁者という可能性が高そうですが、ルジュが前回話していたお兄様なる人物でもあることを踏まえると、ルジュよりも先に作られたルジュと同じような人造人間なんて可能性もあるのか。ルジュはジーンの話になると、10歳という年相応の子供らしさがしっかり出ていたあたり、かなり信頼している人物の様子。
ロイ・ユングハルトとの関係も深そうなこの人から仕事を託されているあたり、やはり、ロイ・ユングハルト殺害は、何かの理由があったか、そもそもルジュは殺害していないなんて可能性も高くなった気がします。
そして、ジーンの元にある、イドと呼ばれる謎の球体。今回冒頭、ジーンの使いである人物に渡していた虹色の球体と同じものが、既にジーン・ユングハルトの元に2つあり。ルジュは、本編以前に2体のインモータルナインを既に破壊していた描写がここまであり、その2体のイドではないかと考えられます。
インモータルナイン絡みで重要なもののようですし、このイドと呼ばれる球体こそが、インモータルナインが、アジモフコードに縛られない鍵という事なのかもしれません。
アフダル先生
前回バスに同乗していた医者アフダルが今回メインキャラクターとして登場。ネアン居留地にてネアンの医者として活動、そこの管理をする警備員達には、ネクタルを袖の下にすることで便宜を図ってもらっている様子。
しかし、医者としての働きや、今回の発言を見ていると、ネアンのことは大切に思っているように見えました。
気になるのは、何かを志そうとするネアン達の行動に「はじめはそういうもの、それでは足りなくなる。」と何やら意味深な思いを持っている様子。果たして、何があって、彼がそんな風に思うようになったのかという点は、今後の話で重要な意味を持っていそうです。
幻影のヴェルデ
ネアン居留地に隠れているとされる、インモータルナインの一体、幻影のヴェルデ。今回登場したキャラクターの中では、アフダル先生が一番それっぽいかなという気がしました。
黄泉のジャロンからの接触を受けていたネアンはアシモフ先生に声をかけており、はめられたルジュを呼び出したのがその助手であるリオンでした。さらに、この事件内密にと、指示したわりに既に警察に伝わっている様子も描かれており、アシモフが警備部に話しているような描写があったことを考えると、この件を漏らしたのはアシモフという可能性もありそう。
そういえば、ルジュは今回、ネアン居留地に入りたいことをアフダルに伝える際に、「探してるやつがいる」と言いましたが、、その時の「そうだったな」という返しはルジュの目的をはじめから知っていたようにも思えて、少し違和感を覚える。とはいえ、これに関しては、単に話を合わせるための返しというだけかもしれません。
移動式カーニバル
冒頭、ルジュがウェルズタウンに来たこととの関係を匂わされていた移動式カーニバル。
ラストでは、不穏な雰囲気を感じさせるように音を鳴らし動き始めていました。空からやってきた飛空艇のようなものとも何か関係がありそうですが、果たしてこれらは何なのか。
タイミングがあまりにもドンピシャでしたし、今回のユバルや、幻影のヴェルデとも関係があるのかもしれません。
メタリックルージュ 3話感想まとめ
次回と合わせて、本作では初の前後編の二部構成のお話となりそう。人と変わらないようにも見えるネアンという人造人間が、道具なのかどうかという点が改めて投げかけられたお話。前回、少し成長し自分が自由であると考えるに至ったルジュでしたが、彼女は果たしてこのネアンの現実をどう捉え、どう動くのかというのか。このあたりは、今回のお話だけではなく、作品全体を通して触れていくことになるのかなという気もします。
私は、1話ではルジュに対して何を考えているかわからない不気味さを少し感じていましたが、少しずつ成長しているルジュを見ていると、1話の時点では子供故にただ使命に準ずるだけで本当に何も考えていなかったのかなという気もしてきました。果たして、今後ルジュはどのような選択を取っていくのか、今回のインモータルナイン、幻惑のヴェルデと戦う際には、以前のエマと戦ったときとはまた違う感情を見せるなんてこともあるのかもしれません。
メタリックルージュ Webtoonによる漫画連載決定
何やら3月ごろより、メタリックルージュが漫画化されるようです。詳細は以下の記事にて。
配信情報
以下の記事でメタリックルージュのネット配信情報をまとめています。地域によってはテレビ放送より早めに見れる場合もあるようなので、気になる方は各サービスに登録されてみるのもよいかもしれません。
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