アニメ小市民シリーズ 5話『伯林あげぱんの謎』春期限定いちごタルト事件感想

2024年夏より放送開始の作品、米澤穂信による『小市民シリーズ』を原作とし、監督：神戸守によるアニメ化作品『小市民シリーズ』 5話『伯林あげぱんの謎』の原作未読での感想文となります。ネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。

5話『伯林あげぱんの謎』

5話『伯林あげぱんの謎』

ベルリーナー・プファンクーヘン

今回の話は、ベルリーナー・プファンクーヘンなる揚げパンにまつわるお話。何やら新聞部の面々が集まり会議をする中呼ばれた小鳩君。4つあったパンの内一つにマスタードが仕込まれているというミニゲーム。しかし、なぜか4人とも食べた中にはそんなものは一つもない。果たしてその消えたパンはどこに行ってしまったのかというお話。

今回の事件を見ていて最初に頭に浮かんだのは、誰かがマスタード入りを食べたにもかかわらず、それを隠し通そうとしているのではないかという可能性。マスタード入りのパンを食べた人は、今回のミニゲームに関する記事を書かざる負えないという話もあったので、そのあたりの動機を突き詰めるのかと思いながら視聴していました。

しかし、入っていたのはマスタードではなく、激辛のハバネロということが判明し、食べたことを隠し通すのは困難。更には、部屋にあらかじめいた一人も、最初こそ誰も来なかったと言っていたが、作業に集中するあまり気づけなくなっていたという話が加わることでその可能性は破綻。

更に実はもう一つ揚げパンはあったという可能性が登場し、最終的には、元々机の上にアンケート回答者へのお礼として置かれていたお菓子と、ご自由にという言葉を勘違いした小佐内さんがハバネロ入りの揚げパンを食べてしまったという答えが導き出される。つまり、新聞部員は誰も食べていないというのが正解だったようです。

小佐内さんの涙

冒頭の小佐内さんの涙は、生徒指導という言葉と重なることで、今後の話に繋がる事件が何かあったのではないかと考えていました。そのため、小佐内さんが食べたという可能性は完全に視野の外。終盤、外部の存在が示唆されたあたりで、机の上を片付けたという話が頭の中で結びつき、そのあたりでようやく小佐内さんが間違えて食べたという答えを推測することができました。

そんな小佐内さんの涙の件ですが、生徒指導室という言葉が結構頭にこびりついており、果たしてあれは何だったのかと気になる。改めて冒頭を見てみると、小佐名井さんはあくまで「これって私が悪いのかな…」と涙を流していただけ、生徒指導室の件は小鳩君がそう推測して口に出したもの。このあたり小佐内さんの迫真の涙と小鳩君の言葉がきれいにミスリードになっていたようです。

今回、小鳩君が色々とこねくり回した今回の事件でしたが、冒頭のシーンに繋がり、あの綺麗な涙がただの激辛を食べた反動だったということが判明したあたりでは、小鳩君と同じようにちょっと笑ってしまいました。

しかし、今回の小佐内さん、アンケートの回答にお菓子を貰っただけなのに、何やら激辛の物を食べさせられてしまうという実に可哀そうな役どころ。しかも、揚げパンは5個あったはずなので、その中から1/5を引いて激辛を食べてしまうというのはなかなかにかわいそう。小佐内さんのかわいそうながらも、可愛いエピソードでした。

小佐内さんはわかっていたのではないか？

ただ今回の話、最後まで見て改めて冒頭を見てみると、ちょっと気になった点が一つ浮かぶそれは、小佐内さんほど聡い女の子が、果たして本当に間違えて揚げパンを食べたのだろうか、というところ。

アンケートのお礼に用意されていたのは味気ないお菓子、そして、その横には甘くておいしそうな揚げパン。一つ自由にとっていいという紙は籠に張り付けてあり、シンプルに考えれば籠からお菓子を持っていくはず。それでも小佐内さんは揚げパンを手に取った。

ここからは完全に想像ですが、もしかしたら小佐内さんは、揚げパンはご自由にの内の一つではない可能性もちゃんと頭に浮かんだうえで、あえて間違えて揚げパンを貰っていったではないでしょうか。

激辛のパンを食べてしまい、涙するほど辛かったのに、新聞部員には分からないように耐えてその場から離れたという点も少し怪しい。さらに冒頭の「これって私が悪いのかな…」という言葉も改めて思うと少し違和感。明確に自分が被害を受けたのに自分が悪いのかなという考えに至っているのは、彼女にもちょっと後ろめたいところがあったからこそのようにも思えます。

もしかしたら、甘いお菓子の誘惑に負けた小佐内さん、ご自由にのグレーゾーンにあった揚げパンに手を出してしまったがゆえに、1/5の天罰を引いしまったというお話でもあったのかもしれません。