2025年1月22日に発売された週刊少年サンデー2024年8号にて、小山愛子による漫画『舞妓さんちのまかないさん』の最終回『ごはんですよー!』が連載されましたので、最終回と全体の感想記事です。
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舞妓さんちのまかないさん
最終回『ごはんですよー!』
前回の話から続く、すーちゃんの黒髪の舞と共にそれぞれの今が背景に描かれる。何か大きく話が動くわけではなく、言葉すらもなく描かれ続けた果てに、ごはんですよー!というキヨちゃんの呼びかけで終わるという流れが実に本作らしく良い感じ。
舞妓を目指して上京してきた彼女たち、それぞれのこれから先の生きる道をきっちりと描き切って終わる作品という感じで、実に雰囲気にあふれた最終回となりました。
作品全体の感想
舞妓になるために来たはずなのに、まかないに入ってしまったキヨちゃん。どことなくいつもほわほわしている彼女ですが、やはり、そのいつもほわほわしている部分こそある意味彼女の軸であり、最初から最後まで一切ぶれることなく話が進んでいくというのはなかなかすごいお話。いつの間にやらそこにいなくてはならない人物になっていくキヨちゃんの当たり前故の力強さを確かに感じるお話でした。
話の主軸はどちらかと言えば、彼女を中心とした周囲の人々の方にあり、それぞれの舞妓を目指す夢、それ以外の悩みと多くの問題に直面していく。どこの話を取ってみても、人と人と関わりあうことの大切さ、そして、舞妓という伝統芸能の厳しさの両面を描いており、それゆえに時につらい場面もありますが、そんな中をキヨちゃんの当り前さが支えてくれるお話が多い。皆が頑張れるのはスウちゃんがいるからと話をまとめていける屋台柱とでも言わんがばかりの独特の魅力にあふれる主人公となっていました。
屋形の面々の話では、百子さんと屋形のおかあさんとのエピソードがなかなか印象に残る。その性格や気質なんかは全然違っていますが、どことなくこの二人の関係、すーちゃんとキヨちゃんの二人の関係を連想させる。一度は互いに距離を取り合ってしまっていた彼女らが、すーちゃん、キヨちゃんとの付き合いの中で再び接点を持ち、お互いの大切さを再び伝う事ができる流れも非常に良かったです。
そんな本作健太の京都で選んだ道の話の先に、最後までキヨちゃんはキヨちゃんのままといった感じで最期を迎える。終盤では大きく話が動くなんてこともあるのかなとも思っていましたが、静かながらも実に本作らしい最終回となりました。
そんな本作、29巻は3月12日頃発売、最終巻は6月ごろになるとのことです。
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