2023年秋に放送開始した『葬送のフリーレン』アニメ。1~4話は金曜ロードショーにて放送、その後通常放送が開始しました。こちらの記事は13話『同族嫌悪』の感想文となります。ネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
13話『同族嫌悪』
今回冒頭はいきなり泥にはまったザインの姿で始まるので、一瞬何か見逃したかと思いましたが、そこからスタートでした。幼き日の夢を突然語りだすザイン、それを聞いているフリーレン。ただそれだけだと、何となく雰囲気が良いいシーンなのですが、実際のところザインは底なし沼にはまり、フリーレンに助けを求めるという図でした。
大人は汚い手を使うものだぜ、に対して、実際に手が汚いケースは初めてだな。という流れには、ちょっと笑ってしまったり、その後のフェルンに怒られるフリーレンなど、どこか軽いノリで進んでくお話。
状況的には切迫しているはずなのに、この流れが実にシュールに描かれいるるこの独特な感じはフリーレンらしいくだりでした。
ザイン
今回登場した、ザイン、天性の聖職者としての才能を持つ人物。幼き頃仲の良かった友人に冒険に誘われたとき、それに乗らなかった事を後悔し続けている。
今回のサブタイトルの”同族嫌悪”というのが、一体何を指しているのか、始まる前は全くわかりませんでしたが、フリーレン自身が、かつての魔王討伐は機を逃してしまったと諦めていた自分自身と重ねたうえでの、同族嫌悪であったとわかりました。
ヒンメルの言葉で、再び魔王討伐に向けて歩みだしたフリーレン。かつての自分を見るようで嫌いなザインを、かつてのヒンメルの言葉で、今度はフリーレンが歩みださせようとするという流れは、やはり、人を知ったフリーレン自身の成長を感じさせるようでよかったです。
フリーレン一行は様々な手段でザインを誘い出しましたが、本当は旅立ちたいという気持ちを持っていても、それでも頑なに拒むザイン。しかし、そんな彼を最後に動かしたのは兄の言葉でした。
かつて、兄がハイターに誘われた際、ザインから故郷を奪うのは嫌だと拒んだことをザインは陰で聞いていた。だからこそ、兄の事を気にし、友人に誘われたときに旅立たなかった。しかし、ザインは自身が旅立たなかったことを後悔したのに対して、兄は成都への誘いを断った事を後悔していない。だからこそ伝えられた兄の言葉にザインの気持ちが動くという流れは、互いが思う故に生じていたちょっとしたすれ違いを解決する気持ちのこもったやりとりといった感じがしました。
優秀な弟と兄というお話だと、兄が弟に嫉妬するという話が多い気がしますが、素直に兄が弟を思っているというのは、前回のシュタルクの兄に引き続き、何となくこの作品の登場人物らしい優しい感じがあります。
こういう、人同士の関係の根っこにある素直な優しさというのが、この作品の一つの魅力のような気がします。
ちょこちょこ挟まれる小ネタ
今回の話、ザインに絡んで挟まれる小ネタが、フリーレンらしく笑えるものが多くてよかったです。
ある意味ザインが仲間になる最初のきっかけであった、危険な毒性生物がいるから注意しろよ、というザインの忠告からの即シュタルクが毒蛇に噛まれるスピード感。行き過ぎた清貧さによるミニチュアのような道具たち。お姉さんのフリーレンと、一切お姉さんとして認めないザインとそれに対する投げキッス。ギャンブルでシュタルクが身ぐるみを剥がれたかと思いきや、横で一緒にはがれているザイン。酒は百薬の長なのですよ、ととんでもない持論を披露するフェルンの普段真面目そうな姿とのギャップ。僅か30分の間にこれでもかとちょこちょこと挟まれてくる小ネタの数々。
今回も本筋は、結構シリアスな話ですがところどころでこういう小ネタが挟んで空気が軽くなるのも、この作品の良いところな気がします。
14話若者の特権
フェルンとシュタルクの会話らしきものがちらちらとみられる予告。ザインの言葉で語られた若者特権という言葉から察するに、何となくこの二人の間の間での微妙な距離感が描かれるお話となりそうです。
互いに相手の事は信頼しているようですが、特にフェルン側からのシュタルクへのあたり方が不器用。このあたりは、フェルンがあまり年の近い知り合いがいなかったからというのもありそうですが、シュタルクからするとその態度がどういう意味なのか理解しかねて怖がってしまう。この二人の微妙な距離感に対して、次回どう切り込むのか、楽しみです。
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