Turkey!
2025年夏より放送開始。監督:工藤 進、脚本:蛭田直美、キャラクターデザイン・総作画監督:武川愛里によるボウリング×タイムスリップのオリジナルアニメ、Turkey! の9話『みんなでジャストポケット』の感想文となります。
アニメのネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方はご注意してください。
みんなでジャストポケット
朱火と寿桃
今回は、朱火と寿桃、二人の関係と戸倉家の謎が明かされるお話。双子である二人のうち朱火が家の中に隠れて過ごし、そのことを気に病んでいる寿桃の悩みの理由が語られることになりました。
戦国という時代であるが故に、占いにより双子の内片方は忌子として殺し、娘の内一人を嫁によこせという理不尽な要求が突き付けられた戸倉家。その忌子として死んだことにされたのが朱火であり、そのことを悔やみながら生きているのが寿桃。さらに今回、本来は寿桃が忌子であったのに、朱火に庇われていたことがわかり、これまでの寿桃の今の自分の立ち位置をひどく気にしていた理由がよくわかる展開でした。
その二人の問題を解決するのはボウリング。麻衣が最初これを言い出した時は、この深刻な状況をボウリングでどうやって…?と思ってしまいましたが、今回はなかなかよい感じにまと待っていたのが良かったです。
これまでの作中でのボウリングの使い方は、ちょっと力技かな?というものが多かったですが、今回はたとえ死にたいと思っていても、楽しいと感じてしまう瞬間もある、だからこそ生きようと繋がっているのが良い感じ。
隠れて過ごさる負えない朱火、朱火に責任を負わせたが故に責任を感じていた寿桃が、一人でも遊べるボウリングはまさに二人にとっての楽しいものの象徴。だからこそ今回の話では、ボウリングであることの必要性がしっかりとあったように思えます。
そして、死にたくてもその楽しいことがやってくるという事を伝えた麻衣に関しても単にボウリングが楽しいから、というだけではないのが話に深みを与えている。ここまで描写してきた麻衣の両親の死により、麻衣も楽しいだけではなく二人と同じように死にたいと思った時期もあったはず。それでもなお、ボウリングに触れて楽しい瞬間を知ることができた彼女だからこそ二人に言えた言葉という感じがしてよかったです。
今回の朱火に対する利奈の言葉も、どれだけ突き放しても自分を手放そうとしない麻衣たちあってこそのもの。これも、ここまでの利奈の物語があったが故に、出てきた言葉といった感じなのがよかったですね。
死にたい中でも楽しくなってしまうものがボウリングである必要があるか?と言われれば必ずしもそうではないのでしょうが、ここまで作中で描いてきたボウリングに絡む人間関係があったが故に、きちんと説得力が生まれているように思えました。
ここからどうなるのか?
ひとまず、戸倉家の中の問題は解決し、更には落雷が発生いよいよ現代へと戻るという展開で終わった今回。ただ、まだ今回は9話、全12話と考えるならもう一波乱残っていそうなのが気になる所。そこで、気になるのが、今回サプライズで行われたOPの変更。冒頭には、寿桃が現代にいるようなシーンがあり、もしかすると素直に現代に戻れるわけではなく、寿桃が未来に行ってしまうなんて手回もあるのかと思わせてきます。
また、仮に素直に皆が現代に戻れたとしても、過去には課題は残る。温泉を掘り当てたことにより、戸倉家の領地もこれからよくなっていることは示唆されていますが、それもすぐに効果がでるものはない。何より結局のところ、戸倉家の領地が庇護されているという関係である以上、どうしようもないという問題も残ります。
結局、寿桃が嫁にいくしか解決しようがない問題。何とか自由な未来を掴みたいとしていますが、これ以上はどうしようもないようにも思える。それを全て、未来から来た麻衣たちが解決するのか?と言われると、それも確かに疑問で、自分たちで解決すべき課題ではあると思いますが、それらを手放しに終わる作品とも思えず、この大きな問題をどう片付けるのかというのは終盤に向けて気になる所となってきました。
OP変更点に絡む考察
今回のOP変更は歌い手の変更に映像の切り替え、追加などなかなかに量が多くかなり驚かされました。そんな映像の追加・変更された描写の気になった部分や、まだOPの中で拾われていなさそうな点について考察記事を書いたのでよろしければそちらもどうぞ。
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