2025年12月23日から放送開始となったTXQ FICTION第4弾『UFO山』第4回の感想と考察になります。放送のネタバレも含まれますので注意してください。本作は、Tverなどでの見逃し配信が行われています。
UFO山(4)
蜂谷さん最後の映像
吉岡空さんから送られてきた最後の映像から始まった今回のお話、前回ラストの映像から続いて、蜂谷さんの最後の姿が描かれることになる。
カメラを設置し、一心不乱に映像に向けて、UFOが来るまで待っていると叫び続けるその態度はなかなか狂気的。手袋、上着、帽子と脱ぎだしているのも、蜂谷さんが全裸で発見されたことに繋がっているようです。
今回、この映像について、カメラが妙に揺れていたことを気にかけ、第三者が撮影していたのではないか?という質問がされていましたが、三脚を使っていても強風で揺れることもあると説明される。さらにこの映像は、前回登場した同期の石井さんにも見せられており、当時の状況が語られ、途中まではサークルのメンバーでUFOの飛来地を見に行っていたことがわかる。しかし、天候が悪くなる中戻ろうとするも、蜂谷さんは一人で山を登っていったとのこと。警察の捜査でも、誰かが一緒にいた可能性は否定されたと語られており、その可能性はないことが改めて示されました。
ただ、ここで、ちょっと気になったのは、1話の遺留品の中にはカメラの三脚のようなものはなかったということ。これに関しては、カメラもそこには描かれていないので、一緒に回収されており、たまたま、そこになかったというだけなのかもしれません。
蜂谷さんの死
蜂谷さんの最後の映像を送るとともに、取材を許可した空さん。それまで、取材を頑なに断っていたのは、冷やかしのような軽い気持ちで話を聞きに来る人が多かったからとのこと。今回送った映像は、蜂谷さんの遺留品とのことで、自ら管理していたものだったようです。
そんな空さんがいよいよ本編に登場。これまでは、一切その姿を見せることはなくどのような人物なのかと思っていましたが、どうにもUFOや宇宙人の存在を信じ切っている様子。ここまで詳しく蜂谷さんの事を調べあげてきた番組スタッフが、今回新たに出した情報を、どのように考えたのかを楽しそうに聞いてくる姿は、どこか不気味さを感じさせるものでした。
空さんから語られたのは、蜂谷さん本人はアブダクションされており、自分が見た死体は宇宙人によりすり替えられたもの、という話。蜂谷さんの顔を見ることができなかったこと、更に唯一触ることができたその手が、父の物とは思えないほど小さかったことがその理由。
顔の傷を見せなかったのは、おそらく子供に見せられるものではないと母が判断したから、そして、手の小ささについては凍傷により小さくなることもある、と説明されていたようですが、どうにも納得しきれてはいない様子。
この実際に蜂谷さんが本人かどうか信じられなかったという描写を見ていると、1話の蜂谷さんの葬式の際、奥さんが蜂谷は本当に死んだんでしょうか?という疑問を投げかけていたことが頭に浮かびましたが、しっかりと見た奥さんですら本当にそれが蜂谷なのかを疑ってしまほど変わり果てていたということなのかもしれません。
なぜそこまでUFOを信じるのか?
更に空さんから蜂谷さんの話が語られる中で、蜂谷さんがUFO撮影に再び熱意を出し始めたのは、空さんが発したUFOを見たいという発言がきっかけだったことが語られる。
今回のラストの映像でも、天体観測をする息子がUFOを見たといった時に、軽い調子で流していた様子を見るに、蜂谷さんもその時点では既にUFOに向ける熱意が薄れつつあったなんてこともありそう。しかし、蜂谷さんはその息子の言葉をきっかけに、再びUFOに対する熱意を燃やし始めていたとのこと。
今回語られた話では、その時点で既に奥さんとの関係はうまくいっておらず、その果ては二人は離婚まで進んでしまった事がわかる。つらい現実に一人残された蜂谷さんにとっては、息子が望んだUFOが見たいという願いが、蜂谷さんにとっての唯一すがるものになっていたのかもしれません。死ぬ前に一人軽装で冬山を登って行ったのも、その苦境の中自殺を考えながらも、最後の最後に自らがすがるUFOに対する熱をぶつけていたなんてことはありそうです。
そんな死を迎えた蜂谷さんの死が、息子にも大きな影響を与えてしまったようにも見える。空さんからすれば、自分がUFOを見たいといった願いが故に、父が死んだと考えてしまったもおかしくはない状況。そうなると、彼が父の死体が宇宙人により入れ替えられたと考えるのも、父は宇宙人にアブダクションされ夢を叶えたんだと考えることで、もしかすると自分のせいで、という考えを遠ざけるためのものだったのかもしれません。
荒れている部屋の中を見ても、何やらうまくいっているわけではなさそうな空さんからしても、もしかすると、宇宙人を信じることが救いになっていたなんてことはあるのかもしれません。
そんな空さんですが、最後蜂谷さんの死の際に送られてきたメッセージは、インタビューの時の様子とは少し異なり、どこか落ち着いた感じで、父の死を受け入れているようにも見える。
果たしてなぜこんな変化が生まれたのかと考えましたが、もしかすると、父の死の真実に迫るために、あれほど調べ上げた熱意のある番組スタッフが、それでもなお宇宙人に対して懐疑的な態度を示すのを見て、自分の中のUFOにアブダクションされたという真実ではない、父が死んだという真実についても向き合う覚悟ができたなんてことはあるのかもしれません。
シロクマや顔の傷は何だったのか?
つらい現実の中、UFOに救いを求めた父と子、という話でまとまったように思える本作ですが、色々と疑問が残った部分も残る。
まず、そもそも顔の傷は何だったのか?という話は、結局その理由は不明のまま終わることになりました。また、結局なぜ蜂谷さんのメモの中にもシロクマがあったのか、というのもはっきりとはせず終わる。
シロクマに関しては、他にも目撃情報があったりと、そもそも牧舎のあの映像は何だったのか?という点も謎のまま。ただ、映像に関しては、自殺した息子さんが薬でハイになっているという描写がありましたので、その状態の彼による悪ふざけがカメラに残ってしまっただけなんてこともあるのかもしれません。
そんな小さな疑問こそ色々と残る本作ですが、全体的には不審死事件や、誰かが一緒に登っていたのでは?といった作中で生じた疑惑を一つ一つ潰しながら進めていくような進行が印象的でした。ただ、ある意味でこういった複数の無関係な事実を関連付けてしまう事こそが、今回の話の軸でもあり、UFOという存在を信じる原動力にもなるように思える。
そういう意味では、UFO山を見たうえで、更に残った謎のようなものを追い求め、そこに関連性と隠された事実を求めてしまう私の考え自体もまた、今回のUFOというテーマに通ずるところもあるのかなという気もしました。
UFO山感想
作中に生じた疑問に対して、作中で答えを出していく流れは、なかなか丁寧な作りで、最後のオチまでわかりやすく見ることができた作品でした。いろいろな疑問が生じては、きっちりと作中で否定されていく本作ですが、その中の蜂谷さんに同行者がいた説なんかは、警察の証言があったとすれば1話の時点で否定できそうなもの。それを4話で否定する流れにしたのは、あえて考える余白を残してくれていたのかもしれません。
そんな本作ですが、ちょっと思うのはインパクト不足、というか、個人的にTXQFICTIONに求めてしまうものからは少し離れていたかな、ということ。
モキュメンタリーは、フィクションをドキュメンタリー風に描くものなので、今回のUFOにまつわるオカルト話がオチではなく、UFOを信じた父と子のエピソードによるドキュメンタリーでしたというのはわかるもの。ただ、やはりTXQFICTION自体が、『イシナガキクエを探しています』を第一作目として始まり、続く飯沼一家に謝罪しますもその色の濃い作品だったことを考えると、ぞくっとする怖さを期待してしまう。
そういうものばかりではない、というのもわかりますが、個人的には少し物足りなさも感じてしまう作品でした。
Tverにて配信
Tverでテレビでの放送終了後より配信開始しております。
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