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ここから先は自己責任です じゆうちょうQ 10話 呪いのビデオ 感想 【フェイクドキュメンタリーQ】

じゆうちょうQ10話呪いのビデオ感想 感想文
感想文
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じゆうちょうQ 10話 呪いのビデオ

2025年12月27日に幻冬舎plusにて公開された記事じゆうちょうQ 10話 『呪いのビデオ』の感想記事です。ネタバレも含むのでご注意ください。

みちこちゃん、届いていますか? 第9話「郵便ポスト」|じゆうちょう「Q」|フェイクドキュメンタリーQ
この連載は、とある事情にてお蔵入りとなった資料を、一部再編集のうえ公開できるようにし、掲載したものです。第9話の今回は、某局で制作予定だったものの諸事情によりお蔵入りとなったドキュメンタリー番組に関する一連の制作資料について。みちこちゃん、どうか戻ってきてください。*   *   *『時を越えた手紙:奇跡の再会を求めて 40年目の失踪事件(仮)』制作資料——2012年 某局で制作予定だったドキュメンタリー番組の資料群―――――――――I. 番組企画書(初版)タイトル(仮)

じゆうちょうQ 10話 『呪いのビデオ』

毎月月末に更新されるじゆうちょうQ、2025年最後の更新は、呪いのビデオに関するエピソード。ホラーとしては定番の題材ではありますが、今回のものは高校生による文化祭の出し物のために作られたもので出所は明確。当時の文化祭の準備の際には、怖くないと笑われてしまったとのことで、その出来栄え自体は高校生による作り物という評価を越えるものではなかった様子。

ただ話はそこから話は大きく変わり始め、映像の制作者である小園が、殺鼠剤で自殺。唯一その映像を笑わなかった友人であるに対して出した遺書では、自らの死をもって映像を作品として完成させたと語る。更にその後、映像を笑った友人たち3人が死亡。唯一生き残った筒井は、自らにそのビデオを広める様に考えたとのこと。

そこまでなら、よくあるホラーエピソードといった感じなのですが、そこから更に話がもう一段周り、筒井が死んだと語った3人の人物は今でも生きており、話ではむしろ筒井に殺鼠剤により殺されかけたということが明らかになる。筒井が映像をホラーにするたえめに、小園を殺したのか、そもそも、ここまでが小園との共謀なのか、と疑念が生じることになる。

本作は、更にそれを文章にした酒井のエピソードが挟まれており、彼は最初こそそれを表に出して位はいけない話と考えましたが、昨今のフェイクドキュメンタリー、偽りのホラーの氾濫ゆえに、かつての高校生が本物の呪いを作り上げようとした想いに動かされることになる。

誰かに悪意があったのか、誰かが狂っていたのか、そういった考察的な要素は一切無視し、酒井は彼らの行動を作品に対する情熱であると解釈し動く様は、序盤で書かれた考察あり気になる偽物のドキュメンタリーであるフェイクドキュメンタリーに対する疑問がはじけたが故という風にも思え、果たして何が正しかったのか、という考察の無意味さを感じさせるものでもありました。

そんな本作、最後に挟まれていた小園の作った映像は、このエピソード抜きでは確かにどこかチープさも感じさせてしまうもので、ある意味で今回語られたエピソード込みで完成したホラーであるように思える。

小園により作られ、作者自ら死をもって完成させたこの映像が本当に人に害をなす呪いとなったのかは定かではありません。ただ、それでもなお、自らの命を懸けた作品に対する想い、ホラーにかける想いは、友人である筒井氏を動かし、更には筆者をこの文章の執筆に向けて動かしてたというのは確かな事実。

本作のエピソードでは、オカルト的な側面こそ薄いものの、小園が込めた作品に込めた念が人を動かしたという意味では、一つの呪いを確かに作り上げることに成功していたのかもと思わせるものでした。

フェイクドキュメンタリー

今回の作品、冒頭の考察に絡む文章を見るとフェイクドキュメンタリーそのもののあり方に対する疑問を投げかけているようにも思える内容でした。その辺を見ていたら、てっきり今回でじゆうちょうQ自体が最終回なのかとも思ってしまいましたが、特にそういうわけではないようです。

そんな今回のお話は、フェイクドキュメンタリーという偽りのホラーに対して、真実のホラーに対する熱意に動かされる人物を描いた話。しかし、そうなるとそもそもこの作品自体がフェイクドキュメンタリーであることに、どことなく矛盾を感じてしまう。

そのあたりが気になり色々と考えてみた結果、頭に浮かんだのは、本作全体を通じて感じるフェイクドキュメンタリーに対する疑問もまた、読者の元でこの作品をより生々しく感じさせるための演出だったのではないかというもの。

フェイクドキュメンタリーとして作られる作品は多数ありますが、私はどうも実写の映像ではなく文章やイラストによるものは、どこか作り物であると捕えてしまう事が度々ありました。しかし、今回の一橋による文章は架空のもののはずなのに、どこか作り物とは思えず最後まで読み終えてしまうものでした。

これは、現代のフェイクドキュメンタリーに対する明確な疑問を読者に投げかけられたからこそ、読者は酒井という架空の人物のフェイクドキュメンタリーに対する疑問に共感でき、酒井という人物を現実的に捉えさせようという狙いにハマってしまったのかなと思う。

そういう意味では、本作はフェイクドキュメンタリーを好む読者を巻き込んだ実にフェイクドキュメンタリーらしい、フェイクドキュメンタリーだったのかもしれません。

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又三郎

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