死亡遊戯で飯を食う。 44:CLOUDY BEACH
2026年冬アニメ、MF文庫Jより発売されているライトノベル『死亡遊戯で飯を食う。』の映画『44:CLOUDY BEACH』の感想記事です。筆者は原作未読、アニメの内容のネタバレ等含まれますのでご注意ください。
44:CLOUDY BEACH
幽鬼の葛藤が中心の作品
原作は未読、アニメは全話視聴済みということで映画の方も視聴。今回のお話はテレビ放送で最後に描かれた『CANDLE WOODS』との関連が強いものとなっており、アニメのラストでの師匠である白士が死んだと思われていた状態から生き残っていた件についても拾われていました。
絶海の無人島、最初は脱出型のゲームなのかと思いきや、その中で殺人事件が発生といった感じのあらすじを聞いていたので、てっきり人狼のようなゲームに突入していくのかと思いきや、内容的にはそこまでミステリー的な要素はほぼなく、淡々と人が死んでいき、最後に少し驚きの人物が犯人といった感じで落ち着く内容となっていました。
状況や作品の雰囲気的にミステリー要素、他プレイヤーとの駆け引きが中心になりそうでほとんどそういう要素がない点は、テレビ放送されたお話の際にも似たような感想持っていたので、この作品らしさともいえる部分。その分、話の主軸には主人公である幽鬼の心理面を中心に描かれることになる。
今回の被害者の殺され方が、テレビ放送時の最後の敵となり、師匠を殺した伽羅の手法とそっくりという事で、精神的にかなり揺さぶれた幽鬼が、自らの記憶すらも危うくなり自分が犯人なのではないか、という点で悩むことが今回の話の中心となっていたようです。
幽鬼の心については、テレビ放送時も常に人を殺すことについて迷い悩み続けていた事が伺えますが、今回のお話はそれがまさに限界にまで達していたかのように思えるほど。既に44回もこれだけ人道を無視したゲームに参加して、たくさんの人を殺して進んできただろう幽鬼ですが、未だにその点を悩み続けているようで、今回のお話では伽羅の妄想の元、自らを傷つけるに至っている。自らを幽鬼として、他人事のように語っていた彼女ですが、いよいよそうやって目をそらすことが難しくなってきているように見えました。
他のクリア回数の多い参加者たちを見ていると、割と人を殺すことはゲームの上では仕方ないと割り切っているよう人が多いように思えますが、この点について悩み続けている幽鬼はかなり特殊な状況なのかも。
ただ、それならもういっそゲームを辞めてしまえばいいのでは?と思いはするのですが、彼女が今生きる意味は師匠がなせなかった99回のゲームクリアにしかないというのが大きい。ゲームを達成することしか生きる目標がない彼女が、人を殺す苦しみを背負いつつもゲームに挑むという非常にアンバランスな状況が続いているように見え、何となくそうやって心を保っている彼女の限界も近づいてきているように見えます。
師匠の白士が最後に語っていた、辞めるならそれでもいい、という言葉は、やはりそういった幽鬼の内面を理解しているが故の物なのかも。
とはいえ、99回クリアという大きな目標を達成したら幽鬼には何が残るのか、というのは疑問。結局、目標を達成したとしても、残るのは人を殺して生きのびてきたという罪悪感だけなのではないか、という気もしますね。
映画としては少し微妙な点が多め
幽鬼の心理面を伺ってみていくと色々と面白差もある本作ですが、一作の映画としてみると少し微妙な点が目立つ。
相変わらず音の使い方、楽曲の使い方は非常に印象に残る作品なのですが、映像はどれだけ動かさずに音と雰囲気で作品を作れるか、という実験をしているのかと思うほどに淡泊。テレビシリーズと同じような演出が続くのですが、会話シーンではキャラクターを映さず背景を映したり、喋っているキャラクターとは他のキャラクターを映して、ひたすらに立ち絵だけで回したりと、劇場で見る作品としてはあまりにも単調すぎた気がする。
音を重視するうえで映像の静けさのようなものを演出するために動きを極力抑えているともとれますが、アップのシーンなんかの表情もそこまでこだわっているかと言われると微妙に感じる。
また、キャラクターの紹介シーンが背景で描かれたので、誰が誰なのか映画を見ているだけだと非常にわかりにくい。ただ、今回のお話は先述した通り、淡々と人が死んでいくだけなので、一人一人をしっかりと覚える必要もなかった気はします。
登場人物はほとんど何か語られるでもなく、思い入れが湧く前に死んでいくうえ、生き残った面子も、特に目立った活躍もないせいで誰が死のうが生き残ろうがどうでもいいお話といった印象が残る。なんというか、幽鬼の内面だけがひたすらに描かれるようなお話になっていたように思えます。
今回の犯人のギミックである、白士の弟子であるが故に、白士と同じように体をめちゃくちゃにされても生きていた最初の犠牲者が犯人だった、というのは、終盤、彼女の回想が始まった時点では繋がっていくあたりは少し面白さもあった。しかし、そもそもテレビ放送の最後で白士が生きていた件があまりにも意味不明だったので、驚きよりも唐突感の方が勝ってしまう。
最後の銃撃戦は、運営がガバガバすぎるという感想の方が残ってしまい、運営は面白ければそれでいいのかもしれませんが、個人的には大分力技で話を終わらせたな、という印象が残ってしまいました。
意味深な引きはアニメ二期へのフラグ?
そんな今回の映画、ラストはゲームを勝ち抜いた幽鬼の元に、クラウディービーチの裏で起きていたゲームで、80人の参加者が3人しか生き残らなかったという情報が語られて終わる。まさにアニメの二期に向けた前振りのようなセリフ、これが最後に語られた意味を考えると、アニメ二期の製作が既に進んでいるなんてこともあるのかもしれません。
現在のゲームは幽鬼は44回目でまだ半分にも未到達、今回のお話は原作ではまだ3巻とのこと。まだ2期の発表は行われてはいないようですが、今後放送される可能性も十分ありそうです。




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