2023年秋に放送開始した『葬送のフリーレン』アニメ。1~4話は金曜ロードショーにて放送、その後通常放送が開始しました。こちらの記事は16話『長寿友達』の感想文となります。ネタバレとなる要素も含みますので未試聴の方は注意してください。
16話『長寿友達』
誰かの記憶に残る
葬送のフリーレンでは、長い時を生きる種族が多いからこそ、誰かに覚えていてもらうことがお話の中心に来ることが多いですが、今回の話もまさにそういったお話の一つでした。
フリーレン一行が今回寄り道した村は、400年近く村を守ってきたドワーフのフォル爺がいる村。フリーレンと付き合いがある人物で、数少ない旧友の一人であったようです。
本来ドワーフの寿命は300年ほどとのことで、特に長生きなドワーフでもある様子。その戦い方は、フリーレンをして卑怯な戦法と言わさせる、年老いボケた様子を装い不意打ちを仕掛けるというもの。しかし、その生きるための戦い方も、本人の技量があってこそ輝くのだろうなと予想される、内に秘めた実力を感じさせるキャラクター。不意打ちを仕掛けられ、動けなくなったシュタルクの修行までつけてくれました。
しかし、そんな彼にも確実に過ぎる時間の影響は避けられない。村を守る理由、人間の妻との約束までも忘れかけてしまった彼。普段ボケたふりをしているからわかりにくい部分もありますが、長い時はフリーレンの旧友すらも変えていってしまう。
同じ長寿であっても、エルフであるフリーレンと、ドワーフであるフォル爺はその生きる時間のスケールが違うというのを感じさせる。それでも、より長く生きるフリーレンがそんな彼の記憶を継いでいくというのが、情緒ある雰囲気で描かれているお話でよかったです。
もしかすると、フォル爺とフリーレンは、これが今生の別れとなるのかもしれません。それでも、フォル爺が大切に思っていたことはしっかりとフリーレンが覚えていてくれるというのが、良いお話でした。
忘れられた英雄
そして、今回後半のお話で描かれたのは、まさに忘れられた英雄と、忘れられぬようもがく人間という対比を感じさせる物語。
ザインと、彼の探し求める戦士ゴリラに関するお話でした。戦士ゴリラ、そして相方であるザインの僧侶アゴヒゲという名前は、皆不思議に思い、私としてもどういう意味なのかわからないものでした。
しかし、そんな不可思議なネーミングが、今回の話の中で忘れられた英雄の像を見つけたことから、忘れられない英雄を目指すという二人とハイターの過去に繋がり、誰かに忘れられないために、特異な名前を名乗りだしたことの意味が分かるという流れがきれいでした。また、今回の忘れられた英雄の一人は、以前に冬山を超える前に出会っていたクラフトだったというのも、この世界における人々の繋がりのようなものを感じさせて良かったです。
その馬鹿らしい名前は、確かにここまでの道筋で皆に覚えられており、確実に効果は残している。しかし、長い時の中、いつかは魔王を倒したヒンメルでさえきっと忘れられてしまう。この瞬間覚えられていたとしても、それがいつまで覚えていてもらえるかはわからない。でもそれでも、忘れられないように頑張るその姿こそが人の美しさなのかなという気がしました。
今回は前半のお話で、忘れられても誰かが覚えていてくれるという話に対して、後半で描いたのはまさに忘れられないようにもがく人間の話。過ぎ去った時代を生きた人の姿を描くことで、まさに今を生きる人達の振る舞いが魅力的に感じられる流れになっていたように思えました。
しかし、今回のお話のラストにてザインの追いかける戦士ゴリラが向かった町は、北側諸国中部、オイサースト、フリーレンたちの目的地とは反対方向という事が判明。どうしたもんかね。とはザインの言葉ですが、今回、後半の村へ着いた際、道が分かれる村と言っており、うっすらそんな気はしていましたが、ザインとの別れが近づいているのかもしれません。
17話:じゃあ元気で
今回ラストで感じたザインとのお別れの話となりそうです。まだ出会って数話、いきなりの別れとなるのも。しかし、こういった人との出会いと別れがあるからこそ、人と人が触れ合う時間、誰かを覚えるという事に意味が生まれるのかもしれません。
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