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映画 バックルームズ 感想・考察 【backrooms】

感想
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2026年9月5日に公開された映画『バックルームズ』の感想記事です。

この記事には本作のネタバレも含みますので注意してください。

バックルームズ 感想・考察

バックルームとは人の記憶が作るものなのか?

映画で描かれたbackroomは、所謂ネットミームでのbackroomと比較すると少し異質な存在でもある。本作ではbackroomとは、人の記憶を元に作り上げられた場所であると語られる。自らの強い記憶の複製のような部屋・人が、折り重ねられるように作られ、記憶が忘れられていくのと同様に、繰り返しの中で少しずつその原型を失い、残るのが不自然に元の記憶の要素が残った黄色い部屋だったというものでした。

私のイメージしていたバックルームでは、不意に壁抜けバグでlevel0に放り込まれ、そこを調べる中で様々なlevelに逃げ込む中で運が良ければ元の世界に戻ることができる、というもの。本作もそういう感じのストーリーになるのかと思っていましたが、そのほとんどが黄色い部屋、level0をベースにしたもので、そこに加えて作中の登場人物たちの記憶が重ねられた空間が描かれる程度となっていました。また、入り口が家具屋の一か所に定められており、出入り自由だったというのも、ちょっとした違和感。

黄色い空間の不気味な雰囲気なんかは非常によくできていた本作ですが、果たしてこれはbackroomなのか?という点に少し疑問を感じるところもあった本作。映画の監督が思い描くbackroomを描いたものであると言われればそうなのかもしれません。ただ、私は1990年代の世界でbackroomを描いたことに、このあたりの違和感の理由があるのではないか、と思うに至りました。

backroomとは?

まず、そもそもタイトルにもあるバックルームはなんなのか?という点について少し触れる。本作が題材とした『backroom』とは海外のネットコミュニティにて生まれた都市伝説のような存在。

壁や地面の物理判定をすり抜けてしまう『壁抜けバグ』により突然黄色いオフィスが無限に続く不気味な世界へ放り込まれてしまうというもの。

あの黄色い回廊はlevel0と呼ばれており、多数の奇妙な世界へ続く入り口のような場所。ネット上の有志により様々なlevelが追加され、無数に広がる巨大な不気味な世界、そして、そこを徘徊するエンティティと呼ばれる未知の怪物たちが蔓延る魅力的な世界とそこに纏わる物語が作り上げられています。

1990年代であることの意味?

その点について考えてみる中で、本作が作中の年代を1990年としたところが鍵だったのではないか、という考えが頭によぎる。そもそも、backroom自体がインターネットの世界があってこそ作られたものであり、1990年といえば、インターネットの始まりの時期でもあります。

backroomは、2019年に投稿された一枚の画像を元に始まったものではありますが、Youtubeで製作された動画などは1990年代を題材としたものもあり、1990年代はbackroomは、既に存在していた、始まりの時期と取ることもできる。

今回の映画の中では、黄色い部屋であるlevel0のような空間しか描かれず、作中でbackroomを調査していた団体も、家具屋の記憶から生成された物体は全く新しい物として認識し、凄い発見と称していた。これらの点から考えると、まだまだbackroom自体の調査が始まったばかりなのではないかと推測することも出来そうです。

backroomの成り立ちが、ネット上で多数の人々が最初の黄色い空間から派生する世界を作り上げていた点を考慮すると、映画で描かれた1990年代のbackroomとは、まだ様々なlevelが増え始める前のbackroomであり、今後backroomのlevelが数多の人の手により増えていく事を、人の記憶によりbackroomの世界が広がっていく事を重ねて描いたということなのではないでしょうか。

ストーリーは少し退屈、しかし、動き出してからは面白い

ここまでは、本作のbackroomとはなんなのか?という点について色々考えてみましたが、映画としても1990年代であることをよく生かしたものとなっていました。特に、冒頭や途中で描かれた古いカメラの少しぼやけた一人称視点での映像は、何ともいえない臨場感を描き出している。

綺麗な映像で見えてしまうと、その単調さ故にどこか緊張感に欠ける部分もあるものが、カメラを通してみると何とも言えない不気味さを持ち始める。そして、その映像という媒体であるからこそ、それが記録として残されるであろう理由を想像させ、同時に何かが起きるだろう予感を感じさせてきました。

本作は、序盤のキャラクターの状況を整理するような現実でのシーンや、キャラクター同士の関係なんかは背景が見えてくる程度であまり深い意味を感じられず少し退屈に感じるところもありましたが、いざbackroomで事件が起き始めた際の緊張感はなかなかのもの。

戻れると余裕をもって過ごしていた最初の時期から、何かが起き始め迷い込んでからの逃げる道を失った瞬間や、一度逃げ切ったのかと思えたシーンでも、それはあくまで記憶を再現したよく似たbackroomの部屋の中でしかなかった時の絶望感が良く出ていました。

正直、本作で描かれたストーリーそのものは、それぞれの登場人物の背景が見えてくる程度で、どちらかというと記憶がbackroomの部屋を作るという設定を描くために用意されたもの、といった感じでしたが、それもまた映画のbackroomの世界を描き上げることに力を入れていたが故、余計なストーリーを入れないことで、backroomそのものを描くことにこそが重要としていた、という事なのかもしれません。

バックルームズ 感想

4.0

バックルームの雰囲気は非常によく出ており、前半の展開は少し退屈ながらも終盤は常に緊張感があり面白かった。普通に存在する家具や物体が少しずれていることによる違和感が感じさせる不気味さをしっかりと描いた作品となっていました。本作のbackroomの設定については少し疑問も感じましたが、バックルームそのものを描こうという勢いを感じる作品となっていました。

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人鳥三郎

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