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映画 バイオハザード(2026年) ゲームらしさとラストへのほのかな不満 感想

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2026年10月16日に公開された2026年版の映画『バイオハザード』の感想記事です。この記事には本作のネタバレも含みますので注意してください。

バイオハザード(2026年) 感想

カプコンより発売されているゲーム『バイオハザード』シリーズを題材とした映画。舞台となるのはラクーンシティで、ゲームを意識した内容ながらも、ただの一般人であるブライアンを主人公としオリジナルの物語が展開されるという作品。

陰の使い方が上手い

本作を見ていて最初に感じたのは、陰の使い方が非常に上手いという点。

特に序盤のホラーパートでは、画面の中に何かがあることはわかるものの、具体的に何が潜んでいるのかは、ギリギリのところではっきりと見えないように描かれています。

そこに何かがいるかもしれない。しかし、実際に何がいるのかはわからない。そんな見えそうで見えない状態をうまく利用することで、観客側に想像させる余地を残し、恐怖を生み出していたように思います。

特に序盤は、暗い場所での探索が続くこともあり、ブライアンが何かを探している場面でも、画面の隅や奥まった場所に何かが潜んでいるのではないかと、つい身構えてしまう。実際に何かが現れるかどうかにかかわらず、画面の中にある影そのものが恐怖を生み出す仕掛けになっていました。

逆に、明るい場所ではそれまで見えなかったものがはっきりと見えるようになり、暗闇の中で感じていた不安とは違った怖さが生まれる。何がいるかわからない恐怖と、わかりやすい怪物を目の当たりにする恐怖。その両方の使い分けは、バイオハザードらしさと言えるものだったように思えました。

また、暗い場所を探索するブライアン自身も、決して頼もしい存在ではありません。何かが出てくるのではないかと警戒しながら進む彼の姿は、観客が抱く不安とも重なります。

シリーズのゲームでも、限られた視界の中で先に進むことには独特の緊張感がありますが、本作は映画ならではの光と影の使い方によって、その感覚をうまく再現していたように思えました。

コミカルさとホラーのちょうどよさ

本作はホラー作品としての怖さをしっかり描きつつ、その合間にコミカルな描写を挟み込んでいるのも特徴的でした。

ジャンプスケアでの驚かし、肉体の損壊を伴うグロテスクな描写は、ホラーとしての刺激をしっかり持っている。一方で、そうした緊張感のある場面が続いたかと思えば、ブライアンの行動によって思わず笑ってしまうような場面も描かれる。繰り返される緊張の波があるからこそ、ホラーパートも際立つつくりになっていたように思えました。

そんな本作のコミカルさを生み出すうえで大きなウェイトを占めていたのは、ブライアンという主人公のキャラクター性。鍵を見つけては銃で破壊するというお約束の流れを失敗したり、鍵のついた柵に車で突撃したら車が壊れてしまったりと、ゲームなら成功するようなシーンを見事に失敗して笑いを生んでくれる。

そんなブライアンですが、これ以上追いかけたら死にそうなところで引くという選択肢を取れたり、意外とギリギリのラインの見極めができているのも面白い。そこであえて動かず、引くことでピンチを切り抜けるというのは、ブライアンという一般人が主人公だからこその展開ともいえそうです。

また、個人的に面白かったのが、彼が最初に車で轢いてしまったゾンビを助手席に乗せ、シートベルトまでつけてあげる場面。見ている側としてはかなりコミカルなのですが、いざ動く死体なんてものと対面した時に、最初の出会いが車で衝突だったら、まず相手を心配してしまうのも仕方ない。そのため、ゾンビに襲われそうになっても、それが異常な存在だとすぐに受け入れられず、簡単には銃を向けられない。そんなブライアンの反応にも納得がいく展開。

ホラー作品では、登場人物が危険な相手に不用意に近づくことで、観客がもどかしさを感じることもあります。しかし、本作の場合はブライアンの人柄や、それまでの状況を踏まえると、彼がそうした行動を取ってしまうことにも理由がある。

コミカルな場面で笑わせながら、同時に彼が一般人であることを印象づけている。このあたりのバランスが、本作の魅力になっていたように思えました。

バイオの主人公ではないがバイオっぽさはたくさん

バイオハザードの主人公かと言われると疑問が残るブライアンですが、だからといってこの映画にバイオハザードっぽさがないというわけではなく、むしろ、ゲームのバイオハザードらしさが様々な場面で感じられる作品となっていました。

まず、ブライアンが手に入れる武器が、ピストルから始まり、ショットガン、マグナムと、より強力なものへと変わっていく流れも一つのバイオらしさ。

ゲームを遊んでいると、最初は頼りない武器しか持っていなくても、探索を続けるうちに新しい武器を手に入れ、少しずつ戦える相手が増えていきます。本作でも、武器の変化がそのまま物語の進行を感じさせるものになっていました。

もちろん、武器を手に入れたからといって、ブライアンが急に歴戦の戦士になるわけではありません。強力な武器を持っていても、使いこなせるとは限らないというところに、彼らしさも残っているのが本作らしくてよかったです。

また、道をふさぐ錠前の存在も、ゲームを思い出させる要素のひとつです。

先に進みたいのに扉が開かず、何かを探したり、別の道を進んだりしなければならない。ゲームを遊んでいると何度も経験するような状況が、映画の中でもあまりにも露骨に登場して少し笑ってしまう。

また、序盤のよくわからない建物を探索する展開から、街の中を進み、地下水路を通り、最終的には研究所へとたどり着く流れも、シリーズ作品を思い出させるものでした。

物語が進むにつれて探索する場所が変わり、少しずつ事件の全貌が見えてくる。単に怪物から逃げ続けるだけではなく、次々と新しい場所へ移動していく構成には、ゲームのステージを進めているような感覚があります。

最初は何が起きているのかもわからず、暗い場所を恐る恐る進んでいく。しかし、状況を理解し、武器を手に入れ、より危険な場所へと踏み込んでいくうちに、物語の雰囲気も変化していく。このあたりの変化は、ゲーム版『バイオハザード』シリーズで感じられるプレイ感覚にも近いものがある。

シリーズの有名キャラクターを登場させたり、過去作の物語をなぞったりするのではなく、ゲームを遊んでいるときの感覚を、映画のオリジナルストーリーの中に落とし込んでいる。そんな作り方が、本作の面白いところだったように思います。

ブライアン自身は、最後までシリーズの歴戦の主人公たちとは違う存在です。それでも、そんな彼がバイオハザードの世界を進んでいくからこそ、ゲームらしい展開と一般人らしさを感じることができたのだと思います。

ラストの展開が少し不満

個人的には楽しめた本作ですが、最後の研究所に入ってからの展開だけは、しっくりこないまま終わってしまったのが唯一残念な点でした。

最終的にブライアンの治療が間に合わず、怪物になってしまうという結末そのものは、理解できなくもありません。

本作の主人公であるブライアンは、レオンやクリスのような特別な訓練を受けた人間ではなく、あくまで一般人です。シリーズの主人公たちとは違うどこか緩い一般人を主人公にした作品だからこそ、彼の頑張りが必ずしも報われるわけではないという結末にも、ある程度の説得力はあります。

ただ、そこに至るまでの過程が、研究者たちのコントのようなやり取りの果てだったというのが、どうにももどかしいところ。

それまでのブライアンは、人を轢いてしまったら迷いながらも助けに向かい、怯えている子供には素直に手を差し伸べられる人物。何かあるたびに愚痴や文句をこぼし、状況に振り回されている姿は情けなくもありますが、なんだかんだで人を見捨てきれない。自分の身が危険にさらされている中でも、他人を心配できる優しさはある。

物語の序盤では、自分の子供についても中途半端な態度を示していた彼ですが、命の危険にさらされながら行動する中で、自分自身のことを見つめ直し、成長する様子も描かれていました。

そんな彼の頑張りがあったからこそ、最後まで何とか生き延びてほしいと思わせたうえで、それでもどうにもならなかったという形なら、一般人である彼が主人公だったことにも意味が生まれたように思えます。

しかし、物語の肝となるブライアンの行く末を決める研究所でのやり取りは、かなりばかばかしいコントのような雰囲気の中で行われてしまう。そんな流れの中で、ブライアンに悲劇が訪れてしまったがゆえに、どうにも受け入れがたいラストとして私の中に残ってしまいました。

もちろんコミカルな部分も、本作の独特な雰囲気を作るうえで重要だったのも思います。しかし、最後にその要素が大きく出すぎてしまったように思えました。悲劇として描きたいのか、それとも最後までブラックコメディとして描きたいのか。その両方を狙っていることはわかるのですが、個人的には、ブライアンという人物に愛着がわいていたからこそ、もう少し彼の最後を丁寧に描いてほしかったです。

とはいえ、この不満も、裏を返せばそれだけブライアンという主人公を気に入っていたからこそ出てきたものなのかもしれません。最初は情けなく、頼りない人物に見えていた彼が、危険な状況の中で少しずつ勇気を見せ、何とか頑張っていく。そんな姿を見てきたからこそ、最後には救われてほしかった。

ゲームの主人公たちとは違う、特別な力を持たない一般人が主人公だったからこそ、彼がどうなるのかという部分にも興味を持てたのですが、だからこそ最後に待っていた彼の結末には、虚しさの方が強く残ってしまいました。

バイオハザード(2026年) 感想まとめ

3.5

陰の使い方が上手いホラー演出や、恐怖とコミカルさのバランスが印象的だった本作。一般人であるブライアンを主人公にしたことで、歴代シリーズの主人公たちとは違った視点から『バイオハザード』の世界を楽しめたのも面白いところでした。

一方で、最後の研究所での展開はコミカルさが強すぎてしまい、ブライアンに愛着がわいていたからこそ、結末の描き方には少し不満が残りました。ホラーとしての演出やゲームらしさは楽しめたものの、最後の展開が惜しかった作品でした。

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又三郎

自分の中の流行りに従いぴょこぴょこと更新中。
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